ケイトの部屋kate's room

音楽人・秋元多惠子(ミステリアスケイト)の小部屋です。
オリジナルCD「KATE SINGS」絶賛発売中。¥2000

モレイラちゃん

2006-08-22 19:49:43 | シリーズ「ブエノスアイレス観察手帖」
その、カミニートにある観光地仕様のレストラン。ほんとに堂々と観光地値段のためちょっとお高く、あとで勘定の時にびっくりしたのだけど、そこは、普段着で食事をしながらも、「ダンス芸人」のような人が来ては、音響的にひび割れそうなBGM(タンゴ)にあわせて踊ってみせる。一応、それがこのレストランのサービスなのだろう。

そこの壁には、その芸人さんたちの写真や、スタッフ、マスターのスナップなどがべたべたと貼ってある箇所があり、なにげなくわれわれはそれを見たりして、料理が届くまでの時間を過ごしていた。

と、「これって、あなたなの?」と、いわつなおこが唐突に、その店のスタッフの男性にスペイン語で問いかける。

そしたら、満面の笑みと、「よくぞ気づいてくれたわね~」という、ちょっと気恥ずかしそうなモジモジのしぐさ(女の子の・・・)を最大限にしながら、「シー!!(イエス)」と答えたらしい。
そのことをなおこさんが興奮気味にみなに伝える。
ご一同様、大興奮&大喜び。わっはぁぁぁ、そうなん?いや、そうであるはず!!そうなら楽しい、楽しすぎて悶絶しそう。

だって、そのスタッフちゃん、普段の出で立ちはキャップをかぶりエプロンをし、どう見ても、ちょっと若くてふくよかなお兄ちゃん。
だけど、(たぶん、この写真は、なにかのパーティーでこういうコスチュームに変身したのだと推測しますが)一旦、このような姿になると、イケイケなパフォーマンスが全開になると見えて・・・。

その後、食事を終えて支払いも済ませ店を出る前に、このモレイラちゃんと、あたくしケイトの二人が並んで、嬉々としてこの同じポーズでツーショットでカメラに収まったのは、言うまでもありません。


カミニートへ・・

2006-08-21 21:14:15 | シリーズ「ブエノスアイレス観察手帖」
ライブの無い日、「カミニート」地区へ遊びに行った。
ここは、観光スポットだ。

ご覧のように、さまざまな色の建物が並んでいるのが特徴。日本の町並みでは考えられないような配色だ。
なんともカラフルで、しかもかわいい。



これには理由がある。

聞くところによると、こうだ。

その昔、港に着いた船乗りは、・・よくあることらしいが・・船上での長旅のうっぷんを晴らすため、町で遊びまくる。その日の宿代さえも使い果たしてしまうのか・・しかし、なんとかして泊まらにゃならぬ。そこで、船のなかで使っていたペンキの余りを持ち出しては、世話になった宿の古くなった壁を、宿代がわりにそのペンキで塗って帰る。
そこへ、また同じようなスッカラカンの船乗りが来て泊まり、同じく宿代の代わりにペンキを塗ってかんべんしてもらう。・・前の船乗りが塗ってきれいになった壁の、その横の面を塗って。
そのまたあとに、またまた違う船乗りが・・・。
こうして、次々と色の違った壁が増えていく。なんせ、「余った」ペンキを使ったまでのことだから、最初っからは配色のバランスなんて、考えていない。

しかし、こうして見ると、なんとなく統一感というか、バランスというか、配色の感覚が楽しく、よそに類をみない家並みになっているではないか。

この風景が、話題になったのか、この地区は、これで有名になっていて、やがて、国がこの地域をそのまま景観を保存して残すようにしたという。
もちろん、そこで毎日生活をしている人々は、ずっとそこに暮らしている。

なりたちが、面白い。
そして、心意気に感心する。

そう、そういう、心の文化。なんというかな、使いもせんのに、スゴくてゴヲヂャスな建物を金かけてデザインして建てまくるばっかりじゃ、意味無いのよ、どっかの国のお役所さん、よ。
清子、ボロは着てても心のぉぉ、錦ぃ、どんなぁぁ、はぁぁ゛゛なより~、きれぇぇだぜぃぃ~!!わんんにゃっ!! て、ね。


ここの観光地は、みやげ物屋がたくさん。
洋服から、インディオの民芸品から、アクセサリー、絵、マテ茶の器、絵葉書、などなど。
ここぞとばかり、日本へのお土産をドッカと買いました。

そして、ここはやはり港町。
海から吹いてくる風が、髄までしみる冷たさ。
おお、ポルテーニョ(=港)よのう。

芸人根性

2006-08-15 21:07:59 | シリーズ「ブエノスアイレス観察手帖」
さて、そのサロンカニングでのライブ当日、いまだに消せないジサボケと、急にドスンと下がった気温(なんたって、6月のブエノスは、冬の入口)によって、体調不良がピーク。

そのライブの直前に見に行った「フェルナンデス・フィエロ」という、新進気鋭のタンゴのライブバンドのめくるめくステージも、めちゃめちゃトンガッてて「スゴイ!!」「カッコええ!!」とは思いつつ、全身が最低の省エネチャンネルになっていて、悲しい。

そして、サロンカニングでのステージの時間が来た。
寒かったらいけないと思って羽織っていたコートをステージに上がる直前、脱いだ。ちょっと寒くても、衣装は肩を出した赤いビスチェ。ううっ、しかし、寒い。

芸人根性とは、こんなこと。

コンフィテリア・イデアルでの「ブエノス初演」のステージであろうが、
福岡のライブであろうが、
大門のライブであろうが、
東京のライブであろうが、

やっぱり、おんなじ気合がドッとこみ上げてくる。
そして、おんなじ「やったるでぇぇぇ~」の音を出す。

さっきまでヘロヘロやったんと違うん?
テーブル席で、視線が宙をさまよってたんとちゃうんかい。

なのに、嬉々として演(や)ってる自分。

アホや。
おめでたいわ。

それが、最高におかしく、うれしい。

リリさん、ケンジさん、無愛想にしてたね、すんまへん。
谷本さん、直子さん、エジーにゴンサロくん、ありがとう。こうちんもね。

そして、この日のステージを、また万来の拍手で終了して、ミホさんチノさんは、
ようやく肩の荷が、半分以上降ろせたようでした。
きっと、このサロンカニングという場所は、そのくらい、勝負をかける(・・といっては変ですが)ような、大事な場所だったのです。
ヤマを越えた私たちに、笑顔で「お疲れさん」と、顔中喜びにして、ねぎらってくれたのでした。

よかった。

オマールさん

2006-08-08 20:31:42 | シリーズ「ブエノスアイレス観察手帖」
「さあ、今かかっているのは、何だと思う? 信じられないかもしれないけど、これは、日本のバンドのCDなんだ。このバンド、今度ここサロンカニングで演奏するよ。紹介しよう、『トリオ・ロス・ファンダンゴースッ!!』」

サロンカニングに下見に行ってたその夜、私たちはテーブル席にすわり、踊る人たちを眺めたりサロンの雰囲気を楽しんだりしていた。
場内にかかっているのは古典のタンゴ。・・と、そこへ、急に何度も何度も耳にした音がかかってきた。それは、この4月に発売開始したCD「トリオ・ロス・ファンダンゴス3」の1曲目「ドンファン」のイントロだった。ワイワイしゃべりながらテーブルにいた私たちは、一瞬「は?」と顔を見合わせ、場内の音のもとを探すようにぐるっと視線をまわした。
「これって、、、(絶句)」「ファンダンゴスやん」

びっくり。そう、この日、カニングに到着してすぐに、そのオーガナイザーのオマールさんと挨拶する機会があり、このCDを進呈していたのだった。

そのイントロに乗るようにして、オマールさんがフロアの中央に進み出て、周囲をぐるっと取り囲むお客たちにアナウンスする「トークタイム」のような時間が始まったのだ。オマールさん流のエンターテイメント、お客を楽しませる気持ちの表れだろう、アルゼンチンのサッカーチームのユニフォームを着ての登場だ。
場内のみなさんは、面白そうに彼に注目する。
そのオマールさんが開口一番発した言葉が、冒頭に書いた「さあ、云々・・」だった。

そして、そのように紹介された私たちは、大勢の注目の中、テーブルのところにそのまま起立して、笑顔でおじぎをした。

オマールさんにとっては、出演者を紹介するのにいつもしているアナウンスの一環だったのかもしれない。が、私たちにとっては、そうとうに名誉なことであり、サプライズだったのだ。

これで、いよいよ、サロン・カニングでの本番の日にむけて気合がはいってきた。

シリーズ「ブエノスアイレス」まちの雑考

2006-08-04 22:16:30 | シリーズ「ブエノスアイレス観察手帖」
「サロン・カニング」は、一番人気のダンスサロンのひとつ。
ここが、ファンダンゴスのブエノスでの演奏の二番目の会場だ。

最初に演奏した「コンフィテリア・イデアル」や、この後に演奏することになる「ビエン・プレンタ」のおもむきは、古き良きダンスホールといった感じで、(北九州市民の皆さんに分かりやすく言うなら、さしずめ、門司港レトロの大阪商船ビルの中にあるホールを、雰囲気はそのままで4倍くらいに大きくした感じ、とでもいおうか)シャンデリアや、重厚な木製のドアなどが、豪華さをかもし出していたが、この「サロン・カニング」は、比較的新しい感じで、派手な装飾はほとんど無く、ただ、踊りやすい広いスペースがシンプルに用意されていた。唯一、目につくのは、壁面にかけてある写真のコラージュの巨大な壁画。
踊りに踊り・歌いに歌い・語らい・飲み・笑いあう人々のある日ある時を切り取っては張り合わせたというようなもの。これが「大いなる賑わいを見せる場所」という雰囲気をかもし出すのに一役も二役も担っている。まるで、場内に居合わせるたくさんの生身のお客さんたちを鏡に映し出しているかのようだ。だから、お客さんの数そのものも、ほんとにたくさんいるのだけど、その倍くらいひしめき合っているように感ぜられる。

でも、ダンサーケンジさんに言わせると、「今(6月)の時期は、ブエノスのダンサーたちは、たいていよその国に出かけてる季節だから、お客もその分、少なめだよな」ですって。つまり、いつもは、人気のダンサーたちがそのミロンガでその晩にショーをやるという「催しの目玉」みたいなものを楽しみにして集まるお客が、この時期は、そんな理由で減っているということか。
・・・てことは、今晩こんなに人が多いのに、ほかの季節だったら、それこそ、「芋の子を洗う」くらいフロアはカップルで埋め尽くされるということか。

               すごい。

さて、そんな「サロン・カニング」でも、ファンダンゴスが演奏をするのだ。

演奏当日より前に、下見がてら、遊びに行った私たち。
そこで、思わぬサプライズがあって、興奮したのでした。

そのサプライズとは・・次回へつづく。ふふふ。