BEAST SIDE 1

ジュエリーアーティスト太田マリ(タバサ)です。工房からの制作風景、プライベートでやってるロックバンドの話も少しだけ。

ハワイアンリングのフィッティング調整

2018-04-29 11:38:13 | リペア、お手入れ
お花や葉などのモチーフが彫り込まれたハワイアンリング、一周ぐるっと彫りが入っているものが多く、リングがきつくなってきた場合などのお直しにはたいへん手間がかかります。




今回、お客様からお預かりしたリングです。

地金は14金ホワイトゴールドです。

はめられないことはないのですが、お指にきつく、つらいので、少しゆるくならないかしらというご依頼でした。

サイズは7.5番でしたが、できれば9番くらいにとのご希望です。


サイズを広げる修理には、リングをたたいて伸ばす、切って地金を足す、内側を削るなど、いくつか方法があります。

地金を足すような、表面の彫りに影響がでる方法の場合、サイズ修正後、その部分の彫り直しが必要になります。

彫りには職人一人一人の個性があるため、それをうまく修正するにはタガネの形状などで都度研究が必要になることもあり、どうしても工賃や時間がかかってしまいます。





今回はリングにかなり厚みがあり、内側を削って修正しても、充分しっかり感のあるリングとして仕上げられると思いましたので、彫りに影響のでないこの方法をご提案しました。




また、リングがきつい理由には、サイズ的な理由のほかに、内側の形状によるものもあります。

お預かりしたリングは内側が平らな形状でしたので、この部分にカーブをつけてあげることでも装着が楽になりそうでした。

ご希望のサイズアップは1.5番でしたが、内側の形状に丸みをつけることできつさがなくなる可能性を考え、1番アップくらいで様子をみていただくことにしました。


内側に日付などの彫りがございましたが、それらは消えてしまってかまわないというご許可をいただきました。





ヤスリやリューターなどで、内側を削って成形していきました。

リングサイズは1番UPで8.5番くらいにしてあります。






写真で、リングの下の方で光っている部分、ヤスリで角を落としていっています。

内側全体を、まんべんなくなめらかなカーブになるよう、調整していきました。









内側にゆるいカーブがついているのがおわかりいただけるかと思います。







内側を磨き上げ、外側は彫りの風合いをそこなわないよう、軽く照りをだすだけの磨きをしました。






試着していただいたところ、だいぶ楽になったとのことで、とりあえずこのまま様子をみていただくというご判断をいただき、お渡しをいたしました。



リングのフィッティング調整は、お客様の考え方など主観的な部分もあり、なかなか難しいのも事実です。

リングの形状や重さ、お客様のお指の形だけでなく、お仕事の内容や生活のご様子などによっても変わってきたりします。

お気に入りだったはずのリングが、いつの間にかしっくりとしなくなってきて、タンスの中で眠ってしまうこともありますよね。

そういうジュエリーのためにも、少しでもヒントになる情報を今後もご提供していけたらなと思っています。



ジュエリーTABITHA


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