今に限ったことではないが、様々な物語にはその下地となった話が存在することが多い。
実際にあった事件だったり、歴史的な出来事であったり……。
そんな中でここ10年以上前から気になっていたのが、神話や民話などを下地にした作品だ。
神話や民話を下地にした物語は実に多い。
特に神話などは加工しやすいらしく、小説だけでなく、マンガや映画などにもなっている。
そんな作品の中でも特に良くできた作品は、神話など知らなくても物語に没頭出来るような仕組みなっている。言うなれば、単純な話に仕立てている。
正義が悪を滅ぼす。もしくは、悪を正す。
考えてみれば、そんな物語は僕が子供の頃からあったような気がする。
特にマンガなどに。当時はCGなどもそれほど発達していなかったせいだと思うが。
子供の頃、これって一体何? と思ったが、それがどんな神話からの引用なのかなど知る由もなく、まぁ調べもしなかったのだが。
それでも【◯◯◯尊】などと書いてあれば、古事記や日本書記などの話をなのかなくらいは想像がついた。でも、子供の僕にはとてもじゃないけれど、それらは退屈なだけで、そもそも理解も出来ない代物だった。
先に書いた10年以上前というのは「ロード・オブ・ザ・リング」が公開された頃のことだ。
もちろん、原作の「指輪物語」も読んだ。
《ホビット》が主役の話というのは説明するまでもないが、他にも《ドワーフ》とか何とかいろいろ出てくる。でも、それらに対する説明は一切ない。つまり、共通認識されているものだという前提で書かれているのだ。
そう言えば、子供の頃に読んだマンガに出てきた【◯◯◯尊】というのも特に説明もなかった。その他ギリシャ神話を下地にした物語も同じく特にその神がどんな神だったのかという説明は一切ない。
もちろん、読んでいけばどんな神だったのかは容易く想像出来るのだが……。
海外のSFドラマやファンタジーでも同じだ。
「指輪物語」を読んだ時、あまりにも普通にいろいろな種族(?)が出てくるので、多分それは英国及び英語圏においては普通に語り継がれているものなのだろうと思った。そして、それらについて知れば、多分この物語をもっと楽しめただろうなとも思った。
そうこうしているうちに、いつの間にか僕は海外ドラマにはまった。最初は確か「スター・トレック」シリーズだったか? 「フレンズ」だったかもしれない。まあ、それ以前に小学生の頃から好きでいろいろなものを見ていたのだけれど。
はまると、いろいろなものが観たくなる。で、「スターゲイト」シリーズだった。これは歴史、神話、民話をベースにしたエピソードがたくさん出てくる。軽い説明みたいなものがあるので(セリフの中で)、とても分かりやすいのだが、俄然そんな神話や民話に興味が出てきた。
しかし、如何せん僕には知識がなさすぎた。
そもそもどこから手を付ければいいのかも分からない。
そうこうしているうちに10年以上が過ぎてしまった。
今年の1月だった。
実家に3週間ほど帰って、東京でこれからの仕事の準備をしていた。
友人と何か約束があったのだと思う。用事が済んでからだったか、それとも早く着いて時間でも潰したか、その辺はよく覚えていない。
新宿の紀伊國屋書店に入った。
何せ、僕は本を持っていないと電車に乗れないという変なクセがある。
手持ちの本を読んでしまったのかもしれない。
それとも何か目的があったのか……、それも覚えていない。
でも、紀伊國屋書店の2階にエスカレータに上り、中に入った瞬間に目に入ったのが、
今話題になっている、池澤夏樹さんが現代語訳した「古事記」だった。
広い書店を本を持って歩きまわるのは大変なので、(特に「古事記」は分厚くて重そうだった)あとで一緒に買おうと思うのでが、忘れちゃうかもと思い、「古事記」を手に2階のフロアをぐるりと回った。
結局3冊くらい買った記憶がある。
帰りの荷物が重くて肩に食い込んでいたのだけは覚えている。
僕はようやく神話の世界に足を踏み入れた。
これから日本だけじゃなくて、さまざまな神話や民話を読んでみようと思っている。
だって、世間でいう「パワースポット」っていうのは何かしらの逸話があって、それを知っているのと知らないのとでは訪れた時の感情は違うはず。
これから、研究をする気はさらさらないけれど、本などで読んだ場所をひとつひとつ訪れてみたいと、そんなことを考えている。
多分、そのあとにこれまで見たり読んだりした、神話や民話をベースにした物語を見たら、きっと違って見えるはずだ。
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