先日、知人がFacebookで荒々しくも力強さを感じさせる一人芝居を観たと書いていた。確か、「濾過されきっていない」という表現をされていたと思う。「濾過されきっていない」ということは「未完成」であり「洗練される手前」であるということを言っているのだと僕は解釈した。
その「未完成」の魅力というものは、僕も非常に共感を持つ。
沖縄の八重山地方の唄に「月ぬ美しゃ」という子守唄がある。
僕はあまり八重山の民謡には詳しくないので、ここでは突っ込んだ話は出来ないが、この「月ぬ美しゃ」という唄こそ、その「未完成」で「成熟する直前」の美しさを歌っている。
月ぬ美しゃ 十日三日
女童美しゃ 十七つ
ほーいちょーが
要するに「月が美しいのは十三夜、女性の美しいのは十七歳」と言っている。
つまり「満月になる直前」と「大人になる直前の女性」が美しいということだ。成熟する前が。
同じようなことを、四方田犬彦が昔に言及していたが、彼は「枕草子」にそれを見つけている。
昔の沖縄(琉球)を日本に入れるかどうという話は別として、
日本人は昔から『未完成」「未成熟」のものを愛でるという文化があった。
それは現代の日本において、さらに顕著なものになっている。
多くの人は僕が何を書こうとしているのか、すでにお分かりかと。
アイドル文化というものが、正にそれに当たる。
前述の知人の観た一人芝居とはちょっと、いやかなり意味合いが違うだろうが、魅力的に感じるという点だけは一緒だ。アートでも同じようなことが言える。
日本のアイドルというものは、必ず何か未熟な部分を持つ。
それも、時に芸能的にダメじゃないかという部分があったりもする。
最近のアイドルを観ていて(といってもそこまで詳しいわけではない。知っているのはほんのわずか)思うのは、個々のメンバー(アイドルグループに限定しているけど)の未熟な部分がそれぞれ違うということ。
例えば、あんまりかわいくなかったり、歌が下手だったり、ダンスがいまいちだったり、トークが出来なかったり……。(どう考えても芸能としては失格だとしか言えない)でも、他は及第点かそれ以上。
つまり、未熟で未完成な人の集まりが今のアイドルグループの特徴だと思う。
昔、秋元康が『AKB48』を作った時に、クラスにいそうな子たちを集めたというのも、そういうことなんだろうなと、最近ようやく思った。でも、もはやクラスという単位を超えていくつかの学校が出来ちゃったという感じだが。
日本では、そんな「未完成」で「未成熟」なもの、でも「完成」したらきっとすごいだろうな、「成熟」したら美しくなるんだろうなと想像出来るものを“かわいい”と呼ぶのではないか、と思う。実際はそうではないけれど。
日本を代表する“かわいい”は多分『きゃりーぱみゅぱみゅ』だと思うが、彼女は「未成熟」そのものだと思う。演出かもしれないけれど。彼女は「性」というものを感じさせない。でも女の子である。その「何かあいまいなもの」がファッションやパフォーマンスなどで“かわいい”をまとっている。『きゃりーぱみゅぱみゅ』は外国人にも理解しやすい“かわいい”なのだと思う。
さて、僕の好きな『ももいろクローバーZ』だが、彼女たちもまた「性」というものを超えている。そして、数多くの「未熟」で『未完成」なものを持っている。(持っているという言い方は変だけど)正直な話、それほどかわいくもない。メンバー同士で「ブスだのなんだの」言い合っているくらいだから、本人たちは少しはそう思っているに違いない。
でも、彼女たちは日本人が愛でた“かわいい”を持っている。でも、その“かわいい”をも超える突出したものも持っているからこそ、数多くのアイドルの中で抜きん出た存在になったのだと思う。
突出したものは身体能力だったり、歌唱力だったり、お笑い的要素だったりといろいろで、しかも突出しているのは誰かひとりだけで、ほかのメンバーは違った分野で突出している。
『ももいろクローバーZ』には「箱推し」と言って、メンバー全員を推す人が多いのは、それぞれのメンバーが突出した部分を合わせるとものすごいものになるからだろう。そうでなければ、ダメな部分を全部合わせると手を差し伸べないとという気持ちになるからかもしれない。多分そんな人もいるはず。
僕が昔からお世話になっているサエキけんぞうさんが名付け親(最近知ってびっくりした)である、『でんぱ組.inc』というグループが日本武道館をいっぱいにしたという。正直な話、僕には信じられないことなのだが、本当のことらしい。(見た目は平均かそれ以下。キャラは立っているけど)まあ、僕は『でんぱ組.inc』のことはほとんど知らず、たまたま見た「でんぱの神神」というテレビ番組で彼女たちの存在を知った程度なので知ったような口をきくつもりはないけどれど
でも、サエキさんのFacebookにアップされた『でんぱ組.inc』の武道館ライブのことを知った時、僕は今の日本のアイドル文化は成熟期を迎えてしまったような気がした。
なぜ、マイナスな感じの言葉になってしまうかというと、秋葉原という小さな街で生まれた文化が今や大きなビジネスになったからだ。
ビジネスが文化を潰さないことだけを、僕は望んでいる。
iPadから送信
その「未完成」の魅力というものは、僕も非常に共感を持つ。
沖縄の八重山地方の唄に「月ぬ美しゃ」という子守唄がある。
僕はあまり八重山の民謡には詳しくないので、ここでは突っ込んだ話は出来ないが、この「月ぬ美しゃ」という唄こそ、その「未完成」で「成熟する直前」の美しさを歌っている。
月ぬ美しゃ 十日三日
女童美しゃ 十七つ
ほーいちょーが
要するに「月が美しいのは十三夜、女性の美しいのは十七歳」と言っている。
つまり「満月になる直前」と「大人になる直前の女性」が美しいということだ。成熟する前が。
同じようなことを、四方田犬彦が昔に言及していたが、彼は「枕草子」にそれを見つけている。
昔の沖縄(琉球)を日本に入れるかどうという話は別として、
日本人は昔から『未完成」「未成熟」のものを愛でるという文化があった。
それは現代の日本において、さらに顕著なものになっている。
多くの人は僕が何を書こうとしているのか、すでにお分かりかと。
アイドル文化というものが、正にそれに当たる。
前述の知人の観た一人芝居とはちょっと、いやかなり意味合いが違うだろうが、魅力的に感じるという点だけは一緒だ。アートでも同じようなことが言える。
日本のアイドルというものは、必ず何か未熟な部分を持つ。
それも、時に芸能的にダメじゃないかという部分があったりもする。
最近のアイドルを観ていて(といってもそこまで詳しいわけではない。知っているのはほんのわずか)思うのは、個々のメンバー(アイドルグループに限定しているけど)の未熟な部分がそれぞれ違うということ。
例えば、あんまりかわいくなかったり、歌が下手だったり、ダンスがいまいちだったり、トークが出来なかったり……。(どう考えても芸能としては失格だとしか言えない)でも、他は及第点かそれ以上。
つまり、未熟で未完成な人の集まりが今のアイドルグループの特徴だと思う。
昔、秋元康が『AKB48』を作った時に、クラスにいそうな子たちを集めたというのも、そういうことなんだろうなと、最近ようやく思った。でも、もはやクラスという単位を超えていくつかの学校が出来ちゃったという感じだが。
日本では、そんな「未完成」で「未成熟」なもの、でも「完成」したらきっとすごいだろうな、「成熟」したら美しくなるんだろうなと想像出来るものを“かわいい”と呼ぶのではないか、と思う。実際はそうではないけれど。
日本を代表する“かわいい”は多分『きゃりーぱみゅぱみゅ』だと思うが、彼女は「未成熟」そのものだと思う。演出かもしれないけれど。彼女は「性」というものを感じさせない。でも女の子である。その「何かあいまいなもの」がファッションやパフォーマンスなどで“かわいい”をまとっている。『きゃりーぱみゅぱみゅ』は外国人にも理解しやすい“かわいい”なのだと思う。
さて、僕の好きな『ももいろクローバーZ』だが、彼女たちもまた「性」というものを超えている。そして、数多くの「未熟」で『未完成」なものを持っている。(持っているという言い方は変だけど)正直な話、それほどかわいくもない。メンバー同士で「ブスだのなんだの」言い合っているくらいだから、本人たちは少しはそう思っているに違いない。
でも、彼女たちは日本人が愛でた“かわいい”を持っている。でも、その“かわいい”をも超える突出したものも持っているからこそ、数多くのアイドルの中で抜きん出た存在になったのだと思う。
突出したものは身体能力だったり、歌唱力だったり、お笑い的要素だったりといろいろで、しかも突出しているのは誰かひとりだけで、ほかのメンバーは違った分野で突出している。
『ももいろクローバーZ』には「箱推し」と言って、メンバー全員を推す人が多いのは、それぞれのメンバーが突出した部分を合わせるとものすごいものになるからだろう。そうでなければ、ダメな部分を全部合わせると手を差し伸べないとという気持ちになるからかもしれない。多分そんな人もいるはず。
僕が昔からお世話になっているサエキけんぞうさんが名付け親(最近知ってびっくりした)である、『でんぱ組.inc』というグループが日本武道館をいっぱいにしたという。正直な話、僕には信じられないことなのだが、本当のことらしい。(見た目は平均かそれ以下。キャラは立っているけど)まあ、僕は『でんぱ組.inc』のことはほとんど知らず、たまたま見た「でんぱの神神」というテレビ番組で彼女たちの存在を知った程度なので知ったような口をきくつもりはないけどれど
でも、サエキさんのFacebookにアップされた『でんぱ組.inc』の武道館ライブのことを知った時、僕は今の日本のアイドル文化は成熟期を迎えてしまったような気がした。
なぜ、マイナスな感じの言葉になってしまうかというと、秋葉原という小さな街で生まれた文化が今や大きなビジネスになったからだ。
ビジネスが文化を潰さないことだけを、僕は望んでいる。
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