日高敏隆氏の著書を読み、以前から読んでみたかったコンラート・ローレンツ著の「<動物行動学入門>ソロモンの指環」を読み終えた。
まわりから変人と思われた程に、愛情を持って動物達の観察や研究を行った深い思いが記されている。
読んでいて、目の前にコクマルガラスが…、他の動物達が…、生き生きと現れる。面白い。
そんな中、印象に残った箇所2つ。
ペットについては、檻の中で健康を保たせるのに世話のかからない、飼いやすいものに限れと忠告している。
「飼いやすい」という性質は、「飼える」とか「抵抗力がある」とかいう概念とはまったく切り離して考えるべきものである。……… じつに困ったことに、たんに抵抗力が強くて死ににくい動物、もっとはっきりいうならば、死ぬまでに長い時間がかかるにすぎない動物を「飼える」というのが普通である。実際には死ににくいだけで……、無知な飼い主がしつらえた不十分な条件のもとでも、この哀れな動物は三年・五年・あるはもっと長い間生きている。そしてもはや回復のしようもないほどにまいって死ぬ。だが正確にいえば、「飼われだした」その日から死にはじめるのである。
動物のモラルと武器については、オオカミや他の動物の同種どうしのケンカを紹介し、
自分の体とは無関係に発達した武器をもつ動物が、たった一ついる。したがってこの動物が生まれつきもっている種特有の行動様式は、この武器の使いかたをまるで知らない。武器相応に強力な抑制は用意されていないのだ。この動物は人間である。彼の武器の威力はとどまるところなく増大していく。……… だが生まれつきの衝動と抑制が生ずるには、ある器官が発達するのと同じだけの時間がいる。……… 武器を創りだすことと、責任感、つまり人類をわれわれの創造物で滅亡させぬための抑制を創りだすことと、どちらが容易なことだろうか? われわれはこの抑制も自らの手で創りださなければならないのだ。なぜならわれわれの本能には到底信頼しきれないからである。
もう60年以上も前から動物行動学者は危惧しているのに、人間ってぇのは…まったく。
武器と抑制だけでなく、放射性物質も瞬時に無害化にするすべ、または有益なものに変えるすべが無いまま原発を再稼働しようとは…。
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