統治行為
すべて司法権は、最高裁判所および法律の定めにより設置する下級裁判所に属する(76条)
裁判所は一切の法律上の争訟を裁判するが次のような限界がある
○憲法が明文で認めた限界(議員の資格争訟裁判、裁判所の弾劾裁判)
○確立された国際法規や条約に基づく限界(治外法権)
○事柄の性質上裁判所の審査に適しない事項(国会の自律権=懲罰や議事手続き等、政治部門の自由裁量行為、統治行為)
統治行為とは国家機関の行為のうち高度の政治性を有するため、法的判断は可能であっても司法審査から除外される行為をいう
判例
○安保条約は主権国としてわが国の存立の基礎に重大な関係を持つ高度の政治性を有し、司法審査になじまない。一見極めて明白に違憲無効でない限り裁判所の司法審査権の範囲外(砂川事件)
○衆議院の解散のごとき国家統治の基本に関する高度に政治性のある国会行為は、有効無効の判断が法律上可能であっても裁判所の審査権の外にある(苫米地事件)
違憲審査制
最高裁判所は、一切の法律、命令、規則、処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である(81条)
違憲審査制は、憲法の最高法規性や基本的人権の尊重(国民の権利自由の侵害を排除)を根拠とする
違憲立法審査権の性格は、具体的争訟を裁判する際の付随的審査権と解されている
※具体的事件と無関係に違憲性を審査することはできない(警察予備隊違憲訴訟)
下級裁判所にも違憲審査権を有し、条例や裁判所の判決も違憲審査の対象となる
違憲判決の効力については、当該判決を受けた法律は効力を必ずしも失わない(個別的効力説=多数説)
※一般的効力説(法令は当然に効力を失う)
違憲審査制の限界
○統治行為
○法律は一般に合憲性の推定を受け、明白な誤りがなければ違憲と判断すべきでない
○違憲判断をせずに事件を処理できる場合、違憲判断を避けるべき
租税法律主義
国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて行使しなければならない(83条)
租税の賦課徴収は法律によることが必要である(84条)
※財政を国会のコントロール下においている
租税とは国や地方公共団体が課税権に基づいて使用する経費に充当するため強制的に徴収する金銭給付をいう
※使用料・手数料の徴収についても租税法定主義は適用される(専売価格、郵便料金など)
租税法律主義の内容は、課税要件法定主義、課税要件明確主義の2つである
○納税義務者、課税物件、課税標準、税率等の課税要件のほか、租税の賦課徴収の手続きは法律で定める
○課税要件は法律で明確に定める必要がある
※課税要件の定めを政令・省令に委任することは、具体的・個別的であればできるが、一般的、白紙的なものは許されない
租税法律主義の例外は地方税、関税の2つである
※地方税は地方公共団体の自治権に基づく条例、関税は条約に基づく協定税率などで定める
財政に関する国会の権限として、租税に関する議決、国費支出の議決、債務負担行為の議決、予算の議決、予備費の議決(支出の承諾)、決算審査、財政状況の報告がある
※予備費の承諾は支出後のはじめての常会で得ることになっている
公金支出の制限
○宗教上の組織・団体の、使用・便益・維持のための公金の支出や財産の利用
※政教分離の原則の財政面での保障
○公の支配に属しない慈善・教育・博愛事業への公金の支出や財産の利用
※国費濫費の予防と慈善事業の公権力への依存排除が趣旨
※私学助成は監督がなされており、公の支配に属する事業のため除かれる
租税の賦課徴収について、憲法は永久税主義によるが、一年税主義(毎年議決を要する)を排除するわけでもない
通達は形式上国民や裁判所を拘束せず、租税負担者に有利な措置(減免等)を通達のみで行なうことは許されない
政策上の目的で、特定の企業、国民に有利な取扱をする措置は法律に基づく限り当然認められる
法律の正しい解釈として通達により新たに課税物品を追加することは課税要件法定主義に反しない(判例)
条例制定権
条例とは地方公共団体が自治権に基づき制定する自治法をいう
※直接憲法によって与えられ、個々の法律の授権・委任を必要としない
長その他の専属的権限に属する事項については条例を定めることができない
条例は法律の範囲内で定めることができ、法律に矛盾抵触する条例は無効となる
条例の制定範囲
○国の法令が全国一律に同一内容の規制をかける趣旨でなく地方独自の規制を容認する趣旨なら、条例の制定は可能
※全国一律に規制をかける趣旨なら上乗せ規制は不可
※法の目的を条例が阻害することがなければ条例の制定は可能(徳島市公安条例事件)
○法律に規制がなくても法律で画一的に定める趣旨でないなら、条例の制定は可能
※法律をおかない目的が規制をおかず放置すべきという趣旨なら、条例の制定は不可
条例と財産権
財産権の内容は法律によるとの規定にかかわらず、条例による制限は可能である(奈良県ため池条例事件)
条例に刑罰規定を課すための法律の授権は、政令による罰則の具体的委任と異なり、相当程度に具体的で限定されていればよい
一の地方公共団体のみに適用される特別法
法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票で過半数の同意を得なければ国会は制定できない
※国会の法律案の可決後に、住民投票を行って、過半数の同意後に国会の議決が確定して法律となる
手続き(地自法261条)
○国会又は参議院の緊急集会で議決
○議長が当該法律を添えて内閣総理大臣に通知
○当該法律を添えて直ちに総務大臣に通知
○総務大臣は通知の日から5日以内に地方公共団体の長に通知
○長は通知の日から31日以後60日以内に選管に賛否の投票を実施
○投票結果の判明後、長は5日以内に関係書類を添えて総務大臣に報告
○直ちに内閣総理大臣に報告
○当該法律の公布手続きをとり、衆参両議長に通知
特別法の例は、広島平和都市建設法や長崎国際文化都市建設法がある
この特別法の成立には住民投票を要件とするが、廃止には住民投票を要件といないは(首都建設法を首都圏整備法で廃止)
憲法改正
憲法改正は憲法の改正手続き条項に従い、条項の修正削除追加をし、憲法典を増補することで意識的、形式的に改変をくわえることをいう
両議院の議院のほか、内閣が発議を行うことを憲法上禁止はしておらず、認めるか否かを法律に委ねていると考えられる
改正手続きに関する法律
○投票権を有するのは18歳以上の日本国民である
○憲法改正の発議の日から60日以降180日以内に国民投票を行う
○有効投票数の2分の1を超えるときに国民の承認があったとする
憲法改正の限界
改正無限界説と改正限界説があり、改正限界説では国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を否定する改正はできない
※憲法改正手続きから国民投票をはずすこともできない
すべて司法権は、最高裁判所および法律の定めにより設置する下級裁判所に属する(76条)
裁判所は一切の法律上の争訟を裁判するが次のような限界がある
○憲法が明文で認めた限界(議員の資格争訟裁判、裁判所の弾劾裁判)
○確立された国際法規や条約に基づく限界(治外法権)
○事柄の性質上裁判所の審査に適しない事項(国会の自律権=懲罰や議事手続き等、政治部門の自由裁量行為、統治行為)
統治行為とは国家機関の行為のうち高度の政治性を有するため、法的判断は可能であっても司法審査から除外される行為をいう
判例
○安保条約は主権国としてわが国の存立の基礎に重大な関係を持つ高度の政治性を有し、司法審査になじまない。一見極めて明白に違憲無効でない限り裁判所の司法審査権の範囲外(砂川事件)
○衆議院の解散のごとき国家統治の基本に関する高度に政治性のある国会行為は、有効無効の判断が法律上可能であっても裁判所の審査権の外にある(苫米地事件)
違憲審査制
最高裁判所は、一切の法律、命令、規則、処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である(81条)
違憲審査制は、憲法の最高法規性や基本的人権の尊重(国民の権利自由の侵害を排除)を根拠とする
違憲立法審査権の性格は、具体的争訟を裁判する際の付随的審査権と解されている
※具体的事件と無関係に違憲性を審査することはできない(警察予備隊違憲訴訟)
下級裁判所にも違憲審査権を有し、条例や裁判所の判決も違憲審査の対象となる
違憲判決の効力については、当該判決を受けた法律は効力を必ずしも失わない(個別的効力説=多数説)
※一般的効力説(法令は当然に効力を失う)
違憲審査制の限界
○統治行為
○法律は一般に合憲性の推定を受け、明白な誤りがなければ違憲と判断すべきでない
○違憲判断をせずに事件を処理できる場合、違憲判断を避けるべき
租税法律主義
国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて行使しなければならない(83条)
租税の賦課徴収は法律によることが必要である(84条)
※財政を国会のコントロール下においている
租税とは国や地方公共団体が課税権に基づいて使用する経費に充当するため強制的に徴収する金銭給付をいう
※使用料・手数料の徴収についても租税法定主義は適用される(専売価格、郵便料金など)
租税法律主義の内容は、課税要件法定主義、課税要件明確主義の2つである
○納税義務者、課税物件、課税標準、税率等の課税要件のほか、租税の賦課徴収の手続きは法律で定める
○課税要件は法律で明確に定める必要がある
※課税要件の定めを政令・省令に委任することは、具体的・個別的であればできるが、一般的、白紙的なものは許されない
租税法律主義の例外は地方税、関税の2つである
※地方税は地方公共団体の自治権に基づく条例、関税は条約に基づく協定税率などで定める
財政に関する国会の権限として、租税に関する議決、国費支出の議決、債務負担行為の議決、予算の議決、予備費の議決(支出の承諾)、決算審査、財政状況の報告がある
※予備費の承諾は支出後のはじめての常会で得ることになっている
公金支出の制限
○宗教上の組織・団体の、使用・便益・維持のための公金の支出や財産の利用
※政教分離の原則の財政面での保障
○公の支配に属しない慈善・教育・博愛事業への公金の支出や財産の利用
※国費濫費の予防と慈善事業の公権力への依存排除が趣旨
※私学助成は監督がなされており、公の支配に属する事業のため除かれる
租税の賦課徴収について、憲法は永久税主義によるが、一年税主義(毎年議決を要する)を排除するわけでもない
通達は形式上国民や裁判所を拘束せず、租税負担者に有利な措置(減免等)を通達のみで行なうことは許されない
政策上の目的で、特定の企業、国民に有利な取扱をする措置は法律に基づく限り当然認められる
法律の正しい解釈として通達により新たに課税物品を追加することは課税要件法定主義に反しない(判例)
条例制定権
条例とは地方公共団体が自治権に基づき制定する自治法をいう
※直接憲法によって与えられ、個々の法律の授権・委任を必要としない
長その他の専属的権限に属する事項については条例を定めることができない
条例は法律の範囲内で定めることができ、法律に矛盾抵触する条例は無効となる
条例の制定範囲
○国の法令が全国一律に同一内容の規制をかける趣旨でなく地方独自の規制を容認する趣旨なら、条例の制定は可能
※全国一律に規制をかける趣旨なら上乗せ規制は不可
※法の目的を条例が阻害することがなければ条例の制定は可能(徳島市公安条例事件)
○法律に規制がなくても法律で画一的に定める趣旨でないなら、条例の制定は可能
※法律をおかない目的が規制をおかず放置すべきという趣旨なら、条例の制定は不可
条例と財産権
財産権の内容は法律によるとの規定にかかわらず、条例による制限は可能である(奈良県ため池条例事件)
条例に刑罰規定を課すための法律の授権は、政令による罰則の具体的委任と異なり、相当程度に具体的で限定されていればよい
一の地方公共団体のみに適用される特別法
法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票で過半数の同意を得なければ国会は制定できない
※国会の法律案の可決後に、住民投票を行って、過半数の同意後に国会の議決が確定して法律となる
手続き(地自法261条)
○国会又は参議院の緊急集会で議決
○議長が当該法律を添えて内閣総理大臣に通知
○当該法律を添えて直ちに総務大臣に通知
○総務大臣は通知の日から5日以内に地方公共団体の長に通知
○長は通知の日から31日以後60日以内に選管に賛否の投票を実施
○投票結果の判明後、長は5日以内に関係書類を添えて総務大臣に報告
○直ちに内閣総理大臣に報告
○当該法律の公布手続きをとり、衆参両議長に通知
特別法の例は、広島平和都市建設法や長崎国際文化都市建設法がある
この特別法の成立には住民投票を要件とするが、廃止には住民投票を要件といないは(首都建設法を首都圏整備法で廃止)
憲法改正
憲法改正は憲法の改正手続き条項に従い、条項の修正削除追加をし、憲法典を増補することで意識的、形式的に改変をくわえることをいう
両議院の議院のほか、内閣が発議を行うことを憲法上禁止はしておらず、認めるか否かを法律に委ねていると考えられる
改正手続きに関する法律
○投票権を有するのは18歳以上の日本国民である
○憲法改正の発議の日から60日以降180日以内に国民投票を行う
○有効投票数の2分の1を超えるときに国民の承認があったとする
憲法改正の限界
改正無限界説と改正限界説があり、改正限界説では国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を否定する改正はできない
※憲法改正手続きから国民投票をはずすこともできない