拈華微笑 ネンゲ・ミショウ

我が琴線に触れる 森羅万象を
写・文で日記す。

 ワニの涙

2012年11月25日 | 人間観察録
  ニコルの友達に 面白い話をいつもニコルに 聞かせに来る 50代の T女史 がいる。

  ボクは最初に彼女に会った時から"ワニのような女”と その目付きや 話し方や 衣類からはみ出ている皮膚の感じを見て
  イメージするのだが、それは別に“悪い”という事ではなく 爬虫類が持つ 神秘的なオーラから由来していた。

  最近ニコルが 聞いてきた面白い話は この女史の恋にまつわる話で

  恋の相手の男性には 二十歳前の娘がいて このT女史 との交際に大反対したうえ 誰彼ともなく T女史 のことを
  フランス語で” 売女 ”的な 言葉を使って 反対を表明している・・・というのだ。
  それを知った T女史 いくら恋の相手の娘でも 酷い言い草・・・と ある日 意を決して娘がいくバイト先の店長に
  わけを話したうえ その店長の事務所をかりて 娘と対面することになった。
  (ニコルも驚くのは 店長が自分の事務室まで 貸してくれるとはねぇ・・・!)

  そんなことも知らないでバイトに来た娘 店長に「あなたに会いたいという人が来ているから事務所に行きなさい。」と
  いきなり T女史と対面でさせられた。

  まぁ、そこでどんなことが起きたか・・・想像するしかないが、T女史が 言ったことを要約すると

  「あなたが私達の交際に 反対することは 構わないけど 私を ”売女” 呼ばわりすることは 私にしても あなたの
   お父さんに対しても 失礼極まりない言葉で 絶対に許さないわよ。」・・・的な事を言ったらしい。

  娘が泣きだした時 T女史は 「そんな嘘泣き(フランス語で=larmes de crocodile=ワニの涙)してもダメよ、
  泣きたいのは 私の方なんだから・・・」

  この娘のお父さんも 多感な十代の娘の反対にあって悩んでいる時に このT女史の 奇襲対面もそれを打開する方策で
  あったのかもしれないが、 ”大人のケジメ” を見事に示してくれた なかなかいい話だと思う。

  ボクは T女史の 見せずに流した ”ワニの涙” に深く感動した。 
   

  
  


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