くろねこなてんし

コードギアス~反逆のルルーシュ~のスザルル小説を載せたブログ。

ハチミツ

2009-04-13 22:46:17 | スザルル小説
今日は朝からジノがルルーシュにべったりだ。
今朝、会長が突然考案した「相方、または親友を交換しちゃおう祭」と言うわけのわからない最悪な祭りのためだ。
祭りの内容はその名の通り、自分の相方や親友を他人の人のと交換するものだ。
昨日の夜にルルーシュの部屋に泊まった僕は、今朝はルルーシュと仲良く手を繋いで(手を繋ぐとルルーシュが嫌な顔をしていた気がするけどきっと気のせいだ)登校していると、会長の突然の校内放送により祭りが行われ、ジノが勢い良く僕たちに走って近寄ってきたと思うとそのまま僕とルルーシュ間に割り込んで引き離して。
僕の代わりにジノがルルーシュと手を繋ぎ、教室前につくとジノは年下のくせに同じ教室に入り、ルルーシュの席の隣にちゃっかり座りやがった…!
あ、いけない、心の中だからうっかり口が悪くなるところだった。
強引にルルーシュとジノを引き剥がそうとすると、ルルーシュが会長がうるさいし祭りだから我慢しろと言われる始末だ!
無理に二人を離すことなんて簡単だけど、もしうっかりルルーシュを拗ねさせたら、きっと一週間くらいは口をきいてくれない。
今までの経験からはわかるし、一週間もルルーシュと口をきけないと生きていけないよ、ルルーシュ…。
そのため僕は我慢しなくても良い我慢を強いられている。
ちなみになぜかアーニャが僕の側にいる。
アーニャは別にジノの相方とか親友じゃないだろ!
アーニャは、とぼしそうな表情からもわかるくらいに嫌な顔をして、ルルーシュから離されて座っている僕の隣にいるのだ。
アーニャもルルーシュの隣にいたかったらしく、じゃんけんでジノに負けたから仕方なく僕の隣にいるそうだ。
何でも良いから、お前たちは学年が違うんだから、とっと自分のクラスに帰れ!
あ…持ってたシャーペンが折れた…。
これは後でジノに請求させよう。
祭りが終わったらどうなるか覚えていろよ、ジノ…!



そうして最悪な授業が終わり、もっと最悪な昼休みになった。
中庭で生徒会メンバーみんなで昼御飯にしようと約束をしていたから、穏やかな空気の中で穏やかに昼御飯をする予定だったのに、またジノのせいで僕にルルーシュとの幸せな昼御飯はない。
ジノの馬鹿が当たり前のようにルルーシュの隣に座り、なおかつ口を開いたと思ったらルルーシュに、はいあーんをねだり出したのだ。
頼むジノもジノだけど、それを聞き入れるルルーシュもルルーシュだ。
「ほら、口を開けろ」
「ああ」
ルルーシュの繊細で細く白い手が箸を握って、たこさんウインナーをジノなんかの口の中に入れていく。
ルルーシュの手が汚れるから止めてくれ…!
ジノに食べさせているのは、今朝ルルーシュが僕のために作ってくれたお重に入った五段重ねのお弁当なのに…!
僕のリクエスト通りにルルーシュが作ってくれて、ハンバーグ、鳥のそぼろと卵のそぼろがかかったご飯に、しゃけと梅のおにぎり、ウサギさんリンゴにたこさんウインナーにその他にも色々と入った愛情たっぷりのお弁当なのに…それがジノなんかに行くなんて。
ルルーシュがまた作ってくれるって言ったけど、ルルーシュのお弁当はいつも僕の物だ!
今すぐにジノの首をへし折って、ご飯が喉を通らないようにしてやりたい。
僕は購買で買ったパンなのに…。
「おっ、スザク、何でもそんなに眉間にしわを寄せているんだよ」
ジノは空気を読めないのか、あえて空気を読まないのか、僕にご機嫌な様子で声をかけてくる。
今までの傾向と対策から、ジノはきっと後者だと思う。
僕も空気が読めないとなぜか言われるが、ジノみたいにあえて読まないやつよりマシだ!
「ジノ…いい加減にしろよ」
自分でも怒りに震えているのがわかる。
声が低くなり、目が据わる。
怒りによって握られた手は内側に爪がたてられて痛みが走り、怒りが増えることによりさらに爪を深くたてるからますます痛みが増して悪循環だ。
「ルルーシュは僕のだ!甘えるのも止めろ!」
「はあ?先輩がいつお前の物になったんだ?恋人だからって束縛し過ぎだろ。それに今日は祭りなんだから文句は言えないはずだ。な、先輩」
ジノは当たり前のようにルルーシュに同意を求めるような言葉を投げ、視線を彼に向ける。
けれどルルーシュの顔を見ると、ジノと僕はぎょっとして、慌てふためいた。
ルルーシュが綺麗なアメジストの瞳から、真珠のような綺麗な涙を溢れさせていたからだ。
「スザク…俺は嬉しい…」
「え?」
「スザクはジノと仲が良いからいつも俺ばかりが焼きもちを焼いていると思っていた。だからとスザクが焼いてくれて嬉しい。ジノと仲良くすればスザクが焼いてくれると思ったんだ」
「え、先輩、そうすると俺って当て馬?」
ジノは自分を指差して、少し驚いたように指を差している。
ジノのことはどうでも良いけど、ルルーシュが僕に焼きもちを焼いてもらいたいがために、こんなに健気なことをしてくれるなんて、堪らなく可愛い!
何て可愛いんだ!

しかも僕が焼きもちを焼いたら涙まで流して喜んでくれたよ!
「残念だったね、ジノ。ルルーシュは僕にメロメロなんだよ。ね、ルルーシュ?」
ルルーシュの肩に手を置いて抱き寄せれば、ルルーシュも顔を赤くして小さく頷く。
赤くなった顔も可愛くて堪らないよ!!
潤んだ瞳も堪らないよ!
こんな可愛いルルーシュは、ジノに永遠にやれるわけがない!



スザクはジノとばかり仲が良いから上手く言ったな。
隣で喜ぶスザクの隣で嬉し涙を零しながら、俺は心の中でほくそ笑む。
スザクがジノとばかり仲良くするからいけないんだ。
これくらいしても構わないだろ?
ジノには悪いことをしたが、スザクに抱きついたりするのがいけないんだ。
当て馬にされたジノがしょんぼりと肩を落としているが、次の日にはけろりとして元気になるだろう。
まあ、無理ならお詫びにでも何か食べさせてやれば元気になるだろうし。
「先輩ー当て馬はなんて酷い!俺だって先輩が大好きなのに!」
「…お前はスザクと仲が良いから、冗談きついぞ」
「ち、違います!スザクは友達だから!本命は先輩だから!いつもアプローチしてるのに!」
「はいはい」
こんな感じで俺に冗談を言ってくるからジノは信用ならない!
「スザク、ジノなんかに浮気するなよ」
嬉し涙を堪えつつ、俺はスザクの制服の袖を引っ張る。
少しだけ摘んで、軽く引っ張るのがポイントだ。
スザクが可愛いと言って、大喜びして、俺を抱き締めるから。
思った通り、スザクは破顔をして、俺に飛びつきながらぎゅうぎゅうと抱きついてくる。
「ルルーシュ、僕には君だけだよ!ジノだって君が好きだって言うから、むしろ君の方が心配だよ!」
「ジノはお前が好きなんだろ?」
「ルルーシュは鈍いな…でも可愛いから良い!いつまでもそのままの君でいて!」
鈍いと言われると、少しむっとしないでもないが、スザクがそのままでいてほしいと思うなら、気にしないことにする。
スザクの望んでくれる姿で、いつまでもいたいからな。