このお話は、犬耳高校生スザク(と言っても、前回のお話で犬耳がなくなりました;;)と猫耳小学生ルルのお話です。
今日は、ルルと一緒に街中を探検だ。
ルルがブリタニアからここにきて何ヶ月かたったけれど、でも知らない場所だってたくさんある。
僕は、小さな頃からずっと住んでいるこの街をよく知ってるけど、ずっとブリタニアにいたルルは知らない。
だからこうして僕が住んでいる街を知ってもらいながら、二人で探検と言う形で遊びに出た。
僕も小さな時って、見知らぬ場所をドキドキと胸を高鳴らせながら歩いて探検するのが、楽しかった。
だから、ルルにもそんなドキドキをしてほしくて、遊びに連れ出したんだ。
でも、僕とルルはやっぱり違う人間で、もしかしたらつまらないかもしれない。
心配になって隣りのルルに目をやれば、愛くるしい大きな瞳が弛んで、ぱっとそこに花が咲く。
握っている手に、離れたら嫌だよって気持ちが伝わってきて、手に少しだけ力がこもる。
ルルのふさふさの猫の耳が嬉しそうにぴるぴる揺れていて、しっぽが僕にまきついてくる。
何て、何て可愛いんだろう、愛らしいんだろう!
こんなに僕が好きだって、全身で伝えてくれている。
「ルル、可愛い!」
愛しい気持ちが自然と溢れて来て、たまらず僕はルルの脇に手を添えると、抱き上げる。
本当に可愛くて、ぎゅって抱き締めると伝わってくる愛しい体温に、ドキドキしすぎてしまう。
「スザク、ここ外だよ」
そう言いながらも、ルルも僕の首に腕を添えて、頬を擦り寄せてくる。
声にも甘さが含まれていて、そこからも僕への好意が示されていた。
「でもスザクと出かけるの嬉しいから良い。それに初めて行くところって、すごくドキドキしてわくわくする。きっとスザクのおかげだね」
大好きな君が僕が望んでいたことを言葉にしてくれている。
僕も君と出かけられるのが幸せで、嬉しいよ。
ここが外でなかったら、大好きな君にキスしたいくらいなんだ。
嬉しい、楽しい、可愛い、愛しい。
僕が君と一緒にいて、僕の中で生まれる大切で綺麗な心たち。
全部君にだけに渡したい心なんだよ。
「今日はたくさん色んなところに連れていってあげるね。ルルに僕が住んでいる街をもっと知ってほしいんだ」「うん!」
僕は、ルルを抱え直すと、歩き出す。
首に回された小さな手が、とても愛しくて君が側にいてくれるんだと暖かい気持ちにさせてくれて。
自然に笑顔が浮かんでくるのは当たり前だった。
本が好きなルルはきっと喜んでくれるだろうと、市立図書館に連れていってあげた。
とは言っても、ここは大分廃れていて、人が余りこない静かな図書館だ。
それでもルルは僕に飛び付いて喜んでくれた。
知識を吸収するのが大好きな子だから、喜んでくれると思ったんだ。
図書館に入ると、子供向けの本には行かず、大人向けのハードカバーの本のところへまっしぐら。
次は何だか難しくそうな専門書なんかを手にしていて、年上の僕ですら絶対に読まないような本を選ぶ。
そう言えば、本屋に行っても難しい本ばっかり読んでいたような…僕より頭がきっと良いんだね。
「んー」
小さな身体で跳ねて本を取ろうとするから、すかさず僕が抱え上げて取りやすくしてあげる。
本を棚から取り出すと、小さな手が分厚い本を重そうに持って、ふるふると震える。
僕は、少しでもルルが楽になるようにと、重そうな本に手を添えた。
手にある重さから、小さな子にこの重さはきついんだろう。
「ありがとう、スザク」
猫の耳をぴるぴるさせてルルがふわりと微笑むだけで、辺りに花が咲いたみたいに空気が華やぐ。
僕の宝物は本当に可愛いくてその笑顔に接しているだけで、とても幸せになれる。
胸の奥がふんわりと穏やかでわたあめみたいなふわふわの幸せな気持ちになれるんだ。
だから、僕も僕の手で君にもっと幸せな笑顔を浮かべさせてあげたい。
「帰りに本も買って行こうか?僕のおこづかいで買える範囲のものだからそんなに高い物は買えないかもしれないけど、ルルが欲しい物を買ってあげるよ」
「でも、僕もおこづかいあるから、大丈夫だよ。スザクはいつも僕に何か買ってくれるけど、自分の物は余り買わないよね?だから、今日くらいはスザクの欲しい物を買って」
ルルは気遣いみたいに、ぽふぽふと僕の頭を撫でる。
小さな子がそんな風に気遣いをすることなんて良いのに。
もっと僕にたくさん甘えてほしいし、甘えたって良いのに。
君をこうして恋人として好きになる前から、僕は君に何かしたいって思っていた。
たった一人で孤独に震える君を守りたい、笑顔を浮かべて欲しい、大切にしたいって。
恋人になってからも、僕はその気持ちは変わらないし、前よりもっとそう思うようになったんだよ。
君を大切にしたい気持ちは今も前も、変わらずに僕の心にあるものなんだ。
僕はそれを当たり前に思えるほどに、君からそれ以上のたくさんの素敵なものや心をもらっているから。
だから、それくらいは僕にも願わせてほしい。
君に何かをさせてほしいんだ。
「僕は何度も言ったけど、ルルはもっとたくさん甘えても良いんだよ。僕は君のために何かしたいし、何か買ってあげたいって思うのは、君が大好きだからなんだ。だからもっと甘えてほしいんだよ」
さらさらの髪に指を通して撫でながら、ふにふにの頬にちゅっと軽く口付けると、ルルの頬が段々と赤くなっていく。
有難う、と小さく呟かれた感謝の言葉の後に、今度はルルから唇へとキスが返された。
「る、ルル…」
僕もルルを外で抱っこするから、人のことは言えないけど、でも外で急なキスをされればやっぱり驚く。
瞳を丸くさせてルルの顔をじっと覗き込めば、可愛い顔がさらに真っ赤になっていく。
「ここ、…誰も見えないから…嬉しかったから…有難うって言いたかったから…だから…」
キスしたんだ、と蚊のなくような小さな声が返ってくる。
ごめんなさい、ときゅうっと握った跡が出来そうなくらいにジャケットを握られて、ルルは申し訳なさそうに僕を見つめる。
段々と潤んでくる瞳に、それだけで陥落だった。
僕は自他共に認めるくらいにルルに弱くて、こんな風に見つめられたら何でも許してしまうし。
場合によっては、その、理性だった危うくなってしまう。
ぎゅうっとしがみついてきた小さな体の体温を身近で感じて、暖かい吐息が首筋にかかって。
たったそれだけなのに、本当にそれだけなのに。
情けないことに、可愛いルルへの理性なんてまったくない僕は、ちょっと大変な事態になっていた。
リヴァルにやらしい本を見せられても別段こんなことにはならないのに、ルル相手だとすぐにこれだ。
本当に、どうしようもないほど、情けない。
これのために、ルルには…昨日の夜だってお付き合いしてもらったわけだし。
「ごめん、ちょっと下りてもらえるかな…?」
情けないほどいっぱいいっぱいな僕は、上擦った声でルルに話かけてしまう。
僕はルルを下に下ろして、前かがみになって自分が落ち着くのを待つばかり。
数式なんて余り覚えてないけど、覚えてないなりにも頭の中で数式を考えながら、自分を落ち着けようと努力する。
ルルを相手になかなか落ち着けるものでもないけど、落ち着かないことにはどうしようもない。
「スザク…大丈夫?」
僕の態度に何となく今の僕の状況を察してくれたらしいルルは、僕の頭を撫でて優しい言葉をかけてくれる。
もう帰ろうか?、と僕を気遣うような優しい声色で、耳元へと囁きかけてくれる。
「で、でも、せっかく、図書館に来たんだよ?もっと遊ぼう。しばらくしたら僕も大丈夫だから」
大丈夫、と確固たる自信があるわけじゃないけど、それでも大丈夫にするしかない。
ルルのためだけじゃなくて、僕だって今日こうして遊びに来れるのを楽しみにしていたのだから。
「で、でも、スザクが苦しいの嫌だ…」
ルルの僕の頭を撫でる手が止まって、泣いてしまいそうな声が零れる。
こんな風にさせてしまって、本当にどうしようもない。
いつだって僕はルルに幸せをもらうばかりで、優しさをもらうばかりだ。
「ルル、僕は大丈夫だから」
「だ、駄目、だよ!そ、それに…ぼ、僕だってスザクにされるの、嫌じゃないよ。えっと、何て言うか…その…」
真っ赤な顔で、潤んでいた瞳はそこからぽろりと涙を零す。
僕にどんとぶつかるように、抱きついてくると、顔をぐりぐりと肩口に押し付けてくる。
恥ずかしいよ、と声にならない声を耳元で呟いて。
その後に、僕だってしたいから、だから帰ろう、とさらに小さい声で、呟かれた。
聞き取れるか怪しいくらいの小さな声だったため、僕も聞き逃してしまいそうなくらいの小さな声だった。
「ルル、良いの?」
ルルの様子を確認するけれど、今も僕の肩に顔を預けたままで、顔を見せてくれない。
ただ、返事をするように額をすりすりとつけてきて、彼のしっぽが僕の背中を叩いた。 たぶん、きっと、了承の証。
「僕は…今日の事は楽しみだったけど、でも…スザクと一緒が一番嬉しいから」
だから家に連れていってほしい、と続きが唇から零されて。
顔を上げたルルは、変わらず顔が真っ赤で。
真っ赤な顔だったけど、僕の髪に唇を落して、僕の顔を見るのだってきっと恥ずかしいだろうに、それでも僕に微笑んでくれた。
僕だけが君を欲しがっているわけじゃないって、伝えてくれるように、とても優しく。
だから僕はそれが本当に嬉しくて、小さなルルに気を使ってもらっているって言う、情けない事実もあったけど、でも素直に嬉しいと思った。
ルルが嘘をついていないことは僕にはわかるから、伝えてくれたことは本当の事。
好き、なだけじゃなくて、僕の全部を求めてくれてるってことだから。
僕は立ち上がってルルを抱え上げると、図書館から音を立てないように、けれど足早に出ていった。
まだまだ僕は子供で、こんな風に君に気を使ってもらうばかりだし、自分の理性だってなかなか抑えられないし、ただ気持ちが空回りしているばかりかもしれない。
でも、それでも誰よりも君を大切に想う心は本当で、負けないって思うから。
だから、これからもずっと一緒にいて、君を大切にさせてね。
僕は時間がかかっても、君をもっと上手に守れるように、大切に出来るように、努力するから。
僕は君を大切にして、守るってこれからもいつだって誓うから。
それから、僕たちは家に帰って、言った通りに色々としてしまって。
後日またどこかに出かけようね、と二人だけの新しい幸せな約束を作ったんだ。
約束を果たすたびに、これからも新しい約束を作って、君の傍にずっといさせてほしいんだ。
今日は、ルルと一緒に街中を探検だ。
ルルがブリタニアからここにきて何ヶ月かたったけれど、でも知らない場所だってたくさんある。
僕は、小さな頃からずっと住んでいるこの街をよく知ってるけど、ずっとブリタニアにいたルルは知らない。
だからこうして僕が住んでいる街を知ってもらいながら、二人で探検と言う形で遊びに出た。
僕も小さな時って、見知らぬ場所をドキドキと胸を高鳴らせながら歩いて探検するのが、楽しかった。
だから、ルルにもそんなドキドキをしてほしくて、遊びに連れ出したんだ。
でも、僕とルルはやっぱり違う人間で、もしかしたらつまらないかもしれない。
心配になって隣りのルルに目をやれば、愛くるしい大きな瞳が弛んで、ぱっとそこに花が咲く。
握っている手に、離れたら嫌だよって気持ちが伝わってきて、手に少しだけ力がこもる。
ルルのふさふさの猫の耳が嬉しそうにぴるぴる揺れていて、しっぽが僕にまきついてくる。
何て、何て可愛いんだろう、愛らしいんだろう!
こんなに僕が好きだって、全身で伝えてくれている。
「ルル、可愛い!」
愛しい気持ちが自然と溢れて来て、たまらず僕はルルの脇に手を添えると、抱き上げる。
本当に可愛くて、ぎゅって抱き締めると伝わってくる愛しい体温に、ドキドキしすぎてしまう。
「スザク、ここ外だよ」
そう言いながらも、ルルも僕の首に腕を添えて、頬を擦り寄せてくる。
声にも甘さが含まれていて、そこからも僕への好意が示されていた。
「でもスザクと出かけるの嬉しいから良い。それに初めて行くところって、すごくドキドキしてわくわくする。きっとスザクのおかげだね」
大好きな君が僕が望んでいたことを言葉にしてくれている。
僕も君と出かけられるのが幸せで、嬉しいよ。
ここが外でなかったら、大好きな君にキスしたいくらいなんだ。
嬉しい、楽しい、可愛い、愛しい。
僕が君と一緒にいて、僕の中で生まれる大切で綺麗な心たち。
全部君にだけに渡したい心なんだよ。
「今日はたくさん色んなところに連れていってあげるね。ルルに僕が住んでいる街をもっと知ってほしいんだ」「うん!」
僕は、ルルを抱え直すと、歩き出す。
首に回された小さな手が、とても愛しくて君が側にいてくれるんだと暖かい気持ちにさせてくれて。
自然に笑顔が浮かんでくるのは当たり前だった。
本が好きなルルはきっと喜んでくれるだろうと、市立図書館に連れていってあげた。
とは言っても、ここは大分廃れていて、人が余りこない静かな図書館だ。
それでもルルは僕に飛び付いて喜んでくれた。
知識を吸収するのが大好きな子だから、喜んでくれると思ったんだ。
図書館に入ると、子供向けの本には行かず、大人向けのハードカバーの本のところへまっしぐら。
次は何だか難しくそうな専門書なんかを手にしていて、年上の僕ですら絶対に読まないような本を選ぶ。
そう言えば、本屋に行っても難しい本ばっかり読んでいたような…僕より頭がきっと良いんだね。
「んー」
小さな身体で跳ねて本を取ろうとするから、すかさず僕が抱え上げて取りやすくしてあげる。
本を棚から取り出すと、小さな手が分厚い本を重そうに持って、ふるふると震える。
僕は、少しでもルルが楽になるようにと、重そうな本に手を添えた。
手にある重さから、小さな子にこの重さはきついんだろう。
「ありがとう、スザク」
猫の耳をぴるぴるさせてルルがふわりと微笑むだけで、辺りに花が咲いたみたいに空気が華やぐ。
僕の宝物は本当に可愛いくてその笑顔に接しているだけで、とても幸せになれる。
胸の奥がふんわりと穏やかでわたあめみたいなふわふわの幸せな気持ちになれるんだ。
だから、僕も僕の手で君にもっと幸せな笑顔を浮かべさせてあげたい。
「帰りに本も買って行こうか?僕のおこづかいで買える範囲のものだからそんなに高い物は買えないかもしれないけど、ルルが欲しい物を買ってあげるよ」
「でも、僕もおこづかいあるから、大丈夫だよ。スザクはいつも僕に何か買ってくれるけど、自分の物は余り買わないよね?だから、今日くらいはスザクの欲しい物を買って」
ルルは気遣いみたいに、ぽふぽふと僕の頭を撫でる。
小さな子がそんな風に気遣いをすることなんて良いのに。
もっと僕にたくさん甘えてほしいし、甘えたって良いのに。
君をこうして恋人として好きになる前から、僕は君に何かしたいって思っていた。
たった一人で孤独に震える君を守りたい、笑顔を浮かべて欲しい、大切にしたいって。
恋人になってからも、僕はその気持ちは変わらないし、前よりもっとそう思うようになったんだよ。
君を大切にしたい気持ちは今も前も、変わらずに僕の心にあるものなんだ。
僕はそれを当たり前に思えるほどに、君からそれ以上のたくさんの素敵なものや心をもらっているから。
だから、それくらいは僕にも願わせてほしい。
君に何かをさせてほしいんだ。
「僕は何度も言ったけど、ルルはもっとたくさん甘えても良いんだよ。僕は君のために何かしたいし、何か買ってあげたいって思うのは、君が大好きだからなんだ。だからもっと甘えてほしいんだよ」
さらさらの髪に指を通して撫でながら、ふにふにの頬にちゅっと軽く口付けると、ルルの頬が段々と赤くなっていく。
有難う、と小さく呟かれた感謝の言葉の後に、今度はルルから唇へとキスが返された。
「る、ルル…」
僕もルルを外で抱っこするから、人のことは言えないけど、でも外で急なキスをされればやっぱり驚く。
瞳を丸くさせてルルの顔をじっと覗き込めば、可愛い顔がさらに真っ赤になっていく。
「ここ、…誰も見えないから…嬉しかったから…有難うって言いたかったから…だから…」
キスしたんだ、と蚊のなくような小さな声が返ってくる。
ごめんなさい、ときゅうっと握った跡が出来そうなくらいにジャケットを握られて、ルルは申し訳なさそうに僕を見つめる。
段々と潤んでくる瞳に、それだけで陥落だった。
僕は自他共に認めるくらいにルルに弱くて、こんな風に見つめられたら何でも許してしまうし。
場合によっては、その、理性だった危うくなってしまう。
ぎゅうっとしがみついてきた小さな体の体温を身近で感じて、暖かい吐息が首筋にかかって。
たったそれだけなのに、本当にそれだけなのに。
情けないことに、可愛いルルへの理性なんてまったくない僕は、ちょっと大変な事態になっていた。
リヴァルにやらしい本を見せられても別段こんなことにはならないのに、ルル相手だとすぐにこれだ。
本当に、どうしようもないほど、情けない。
これのために、ルルには…昨日の夜だってお付き合いしてもらったわけだし。
「ごめん、ちょっと下りてもらえるかな…?」
情けないほどいっぱいいっぱいな僕は、上擦った声でルルに話かけてしまう。
僕はルルを下に下ろして、前かがみになって自分が落ち着くのを待つばかり。
数式なんて余り覚えてないけど、覚えてないなりにも頭の中で数式を考えながら、自分を落ち着けようと努力する。
ルルを相手になかなか落ち着けるものでもないけど、落ち着かないことにはどうしようもない。
「スザク…大丈夫?」
僕の態度に何となく今の僕の状況を察してくれたらしいルルは、僕の頭を撫でて優しい言葉をかけてくれる。
もう帰ろうか?、と僕を気遣うような優しい声色で、耳元へと囁きかけてくれる。
「で、でも、せっかく、図書館に来たんだよ?もっと遊ぼう。しばらくしたら僕も大丈夫だから」
大丈夫、と確固たる自信があるわけじゃないけど、それでも大丈夫にするしかない。
ルルのためだけじゃなくて、僕だって今日こうして遊びに来れるのを楽しみにしていたのだから。
「で、でも、スザクが苦しいの嫌だ…」
ルルの僕の頭を撫でる手が止まって、泣いてしまいそうな声が零れる。
こんな風にさせてしまって、本当にどうしようもない。
いつだって僕はルルに幸せをもらうばかりで、優しさをもらうばかりだ。
「ルル、僕は大丈夫だから」
「だ、駄目、だよ!そ、それに…ぼ、僕だってスザクにされるの、嫌じゃないよ。えっと、何て言うか…その…」
真っ赤な顔で、潤んでいた瞳はそこからぽろりと涙を零す。
僕にどんとぶつかるように、抱きついてくると、顔をぐりぐりと肩口に押し付けてくる。
恥ずかしいよ、と声にならない声を耳元で呟いて。
その後に、僕だってしたいから、だから帰ろう、とさらに小さい声で、呟かれた。
聞き取れるか怪しいくらいの小さな声だったため、僕も聞き逃してしまいそうなくらいの小さな声だった。
「ルル、良いの?」
ルルの様子を確認するけれど、今も僕の肩に顔を預けたままで、顔を見せてくれない。
ただ、返事をするように額をすりすりとつけてきて、彼のしっぽが僕の背中を叩いた。 たぶん、きっと、了承の証。
「僕は…今日の事は楽しみだったけど、でも…スザクと一緒が一番嬉しいから」
だから家に連れていってほしい、と続きが唇から零されて。
顔を上げたルルは、変わらず顔が真っ赤で。
真っ赤な顔だったけど、僕の髪に唇を落して、僕の顔を見るのだってきっと恥ずかしいだろうに、それでも僕に微笑んでくれた。
僕だけが君を欲しがっているわけじゃないって、伝えてくれるように、とても優しく。
だから僕はそれが本当に嬉しくて、小さなルルに気を使ってもらっているって言う、情けない事実もあったけど、でも素直に嬉しいと思った。
ルルが嘘をついていないことは僕にはわかるから、伝えてくれたことは本当の事。
好き、なだけじゃなくて、僕の全部を求めてくれてるってことだから。
僕は立ち上がってルルを抱え上げると、図書館から音を立てないように、けれど足早に出ていった。
まだまだ僕は子供で、こんな風に君に気を使ってもらうばかりだし、自分の理性だってなかなか抑えられないし、ただ気持ちが空回りしているばかりかもしれない。
でも、それでも誰よりも君を大切に想う心は本当で、負けないって思うから。
だから、これからもずっと一緒にいて、君を大切にさせてね。
僕は時間がかかっても、君をもっと上手に守れるように、大切に出来るように、努力するから。
僕は君を大切にして、守るってこれからもいつだって誓うから。
それから、僕たちは家に帰って、言った通りに色々としてしまって。
後日またどこかに出かけようね、と二人だけの新しい幸せな約束を作ったんだ。
約束を果たすたびに、これからも新しい約束を作って、君の傍にずっといさせてほしいんだ。