日経春秋111105
日本で初めてのサル山が、東京・上野動物園にできて今年で80年になる。パンダやゴリラなど見どころが多いなか、今でもサル山人気は高いらしい。群れの行動が観察できるため、サル同士の力関係までうかがえるようで何とも楽しい。
(中略)
震災を経験した現在もそうだが、困難な時期には強いリーダーの待望論が高まる。だが、自分を犠牲にしても群れを守るようなボスはなかなか現れない。サル山と同じく、これも日本社会の特性だろうか。
▼第1位のオスはケンカに強い体力自慢よりも、群れ一番の長老という例もあるらしい。サル山では親を失った子ザルの面倒を他の親がみたり、群れ全体で子ザルをしつけたりもする。いたずらにボスをあがめ、頼るのではなく、自分たちできずなを強め、秩序を保つ。人間になかなかできることではない。