にゃんこと黒ラブ

猫達と黒ラブラドール、チワックスとの生活、ラーメン探索、日常について語ります

『心はなぜ腰痛を選ぶのか』

2019-10-20 09:54:00 | 日常

 2年前の今頃は整形外科病棟に入院していた。その年の9月下旬から股関節に違和感が起きて少しずつ痛くなり始めた。

時間は待ってくれなかった。数日で歩くことが困難なほど股関節、尾骨あたりが痛くなった。いろいろ調べて、坐骨神経痛?

月曜日の朝、職場に電話を入れて休暇の申請。もう立つことすら痛くて厳しい。1日かそこら横になっていれば治るだろうとあまい予測だった。

2日目も朝、電話で休暇申請、寝たきりで寝返りも激痛で大変。これはただ事じゃない、明日の朝、整形外科に診てもらおうと。

もっと早く専門医に診て貰えばよかった。診察は簡単に原因が分かった。仰向けに寝そべって、痛い方の足のかかとを医師が真上にゆっくりと上げていく。

5センチ持ち上がったくらいで激痛で上がらなくなる。「典型的な椎間板ヘルニアですね」これからMRIを撮って詳しく調べましょう。

うそ?椎間板ヘルニア?

尾骨から腰椎は1番、2番と5番まで番号がついている。私は下から2番目の腰椎から髄液が出てきていて、それが硬化したものをヘルニアと呼ぶらしい。そのヘルニアが腰椎の神経根を圧迫して激痛となる。

「とにかくこれからすぐ入院してください」、「痛みを緩和するためのブロック注射しましょう」と医師に言われた。ブロック注射にもいくつか種類がある。

始めの1週間は、それほど痛みの発生しない硬膜外ブロック注射を何度か打ってもらった。打って10時間くらいは麻酔が効いて完全に痛みを感じなくなる。

もう治ったのではないかと錯覚してしまうが、半日過ぎるとチクチクと痛みだして、また激痛がもとに戻る。最初の1週間はその繰り返しでトイレにもシャワーもできないくらい動けなかった。







 「硬膜外ブロック注射の効き目がないようなので、神経根ブロック注射をおすすめします」、「ただし、ヘルニアで痛みのある神経根に直接打ち込む注射なので、カミナリに打たれたような痛みが少しの間だけ発生します」と説明を受けた。

カミナリに打たれたような痛みって?
なんだそれ。カミナリに打たれたら死んでしまうだろう。どんな痛みなんだ‥‥。

効き目のある人が多いという臨床データがあるというので、こちらはわらをもつかむ気持ちで打ってもらうことにした。

これが本当に痛くて、涙がでるくらい、歯を食いしばるレベルじゃない。CT画像を麻酔医師が見ながら神経根に注射針を打ち込む。麻酔の効いていない太い神経に針を打ち込むのだからどれほど痛いか、打ち込んで場所を確定、撮影したらやっと麻酔液を流し込んでくれる。

この神経根ブロック注射が劇的に効いた。痛みはあるものの1人で歩行器の補助のもと、トイレやシャワー浴びることができるようになった。

「かなり効き目ありましたね。もう一回神経根ブロック打ちましょうか」と。迷った末、こんなに効くのであればもう一回だけ死ぬ気で我慢しようかと。







 ちょうど2週間の入院中、痛みはあるものの、たっぷり時間はあった。連れに頼んで椎間板ヘルニア関係の医学書や様々な本を買ってきてもらった。

その中に、サーノ博士が10数年前に書いた『心はなぜ腰痛を選ぶのか』にもっとも感銘を受けた。この本だけは毛色が違っていた。

現代医学をもってしても、治療法は随分確立してきたが、その病気が発生する原因が根本的にわかるケースはほんとうに少ないらしい。

ヘルニアがどうして発生するのか、根本的原因は未だ全く分かっていない。サーノ博士は外科医の専門であるが、内科的に特に心理的な心のあり方、脳が痛みを感知する部分にスポットを当てた。

その核心だけを述べると、

「何らかの巨大な精神的ストレスに心身が無意識レベルで耐えられなくなり、そのストレスを避けるためにヘルニアを発生させて、脳が痛みの信号を受けることで身体を動けなくして休ませてしまう」

何という仮説だろうか。恐ろしい逆説的見解。人間のもってる精神的防衛反応とでもいうか、回避現象としてヘルニアを捉えている。

昔はこのヘルニアを除去するために手術をしてよく施していたが、近年、このヘルニアは時間と共に自然に退化していく、消滅していくケース多いことが分かってきた。そのヘルニアがどうして自然に退化するのか、それも根本的にはまだわからないらしい。

退院後は、2週間、朝昼晩ウォーキングで歩くリハビリと身体のストレッチを続けた。ちょうど1ヶ月の病気休暇で何とか仕事に復帰することができた。







 この2年間、あれから再発することなく無事に生活できている。なな散歩は非常に役立っている。とにかく歩くことが大事。
どんなに忙しくても、ストレスの少ない状態を心がけて作ること。老いと上手く付き合って生活を楽しもう。