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【鉄人】電気自動車の将来と未来のクルマ社会を占う《前編》その3

2009-10-01 08:40:14 | 車・バイク




97年12月発売の初代プリウスに搭載した「THS(トヨタハイブリッドシステム)」は、駆動用のエンジンとモーター(回生ブレーキ時には発電機になる)のほかに、発電専用の発電機を持っているのが特徴だ。これらの3つの要素を、プラネタリー(遊星)ギアを介して組み合わせ、それぞれの駆動力をコントロールして配分することで、低燃費を実現している。2代目プリウスからはモーター出力向上などの改良を加えて、「THS II」と呼ばれている。

THS IIの基本になるのは、まずエンジンだ。プリウスは初代モデルから現行の3代目まで、熱効率を高める「アトキンソンサイクル」エンジンを採用している。通常のレシプロエンジンは、圧縮比と膨張比が同じだが、アトキンソンサイクルエンジンは、圧縮比に対し膨張比が大きくなっている。

エンジン内部で燃料が燃焼すると、燃焼ガスが発生する。この発生した燃焼ガスの圧力でピストンを押し下げ、クランクシャフトを回して動力に変換する。膨張比が大きいということは、圧縮時のピストンのストロークに対して、膨張時のストロークが大きいことを意味する。

この大きくなった分だけ、燃焼ガスは圧力を下げながら、さらにピストンを押し下げる。膨張が終了した時点で排出される燃焼ガスの圧力は、通常のエンジンよりも低い。つまり、燃焼ガスの持っていたエネルギーをそれだけ効率的に動力に変換できるわけだ。

プリウスは、この効率の良い低燃費なエンジンをベースに、発電機とモーターを組み合わせて走行する。3代目プリウスは排気量を1.5Lから1.8Lにアップしたが、これは小排気量エンジンを高回転で使うよりも、排気量が大きめでトルクに余裕があるエンジンを低回転で使うほうが燃費が良くなるためという。またエンジンが駆動力の主力になる、100km/h以上の高速走行時の燃費向上にも役立っている。



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