鉄人 須藤 將のホームページ

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RX7物語その34

2009-08-23 05:37:48 | 車・バイク
梅田が、FCが市場導入された直後、開発メンバーにやり残したことはないかと気って回った。すると、すでに開発に着手しているもの、構想で頭の中にあるものなど、かなりのアイテムが出てきた。
梅田は、営業に「開発メンバーにはスポーツカーにこだわりを持った人が多いので、開発者の想いを入れた限定バージョンを作ろうではないか」と持ちかけたところ、国内営業本部の商品企画をまとめる本岡が「面白い、しかし一回ポッキリではだめだ。シリーズとして続けるなら国内営業は協力を惜しまない」との返事で、いっきに現実味が出てきた。

このことには小早川主査もおおいに共感し、∞(アンフィニ)バージョンの開発がスタートした。

∞バージョンは、「開発メンバーのスポーツカーに対するこだわりや想いを実現する限定バージョン」をコンセプトに、実用性やコスト、量産と言う制約をできる限り取り去った開発を行うことになった。

∞Iバージョンの開発が始まった。
まず、最初にこだわりの名乗りをあげたのがエアロチューニングである。
空力実験研究部、デザイン、設計のメンバーは、コンピューターシミュレーションを基に大型のフロント・エアダムスカートとリア・スポイラーを開発した。この大型のフロント・エアダムスカートはフロントから床下に流入する空気をせき止めることによりダウンフォースを増大させる効果があり、大型のリア・スポイラーは、リアエンドの空気の剥離をスムーズに行わせることにより、揚力の減少とダウンフォースを増大、及び空気流の整流効果による空気抵抗の減少を図ることができる。

次が、ハンドリングのチューニングである。
ダイレクトでリニアーなハンドリング特性はドライバーとクルマの一体感を増大させる。特にハンドルを切りクルマがロールし、ハンドルを戻しそのロールが回復してくるときのフィーリングを支配するのはダンパーフリクションである。このフリクションが少ないほどリニアーな感じになる。このフリクションを低減して圧縮側と伸び側のつながりをよくし、減衰力の立ち上がりをスムーズなものにするヒステリシス特性改善を行うのがシングルダンパーである。営業からの要望で、このシングルダンパーは一見して特別仕様と分かる赤色に塗装された。
シングルダンパーを採用したが、標準仕様では採用できない極めて高い工作精度と品質管理が要求された。
さらにハンドリングのチューニングを行うために、ヨー感性モーメントをさらに低減することにした。ボンネットのアルミ化とリアオーバーハング先端に搭載してある応急用スペアタイヤのホイールのアルミ化を行ってヨー感性モーメントを20%低減した。

その他、走りのイメージを鮮明にしたストレージボックス付の2シーター、湿式多板クラッチタイプのリミッテッド・スリップ・デフ、BBSアルミホイール、フィン付ワイパーを採用し、1986年8月に発売された。

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