「水素ロータリーがル・マンを制覇する日」その２５

マツダ社内では10年先を見据えた長期戦略に基づいた2007年度から2010年度までの4年間を対象とする新中期計画「マツダ アドバンスメント プラン」の検討が始まった。
2010年までの4年間、モノ造り革新を中心とする構造改革を加速し、将来に向けて前進する期間と位置付け、成長軌道を持続させつつブランド価値とビジネス効率の向上に注力していくという内容に固まりつつあった。
技術開発の長期ビジョン「サステイナブル”Zoom-Zoom”宣言」が検討されていた（サステイナブル：継続する、Zoom-Zoom”：子供がおもちゃの自動車で遊ぶときに言うブーブー）。
この宣言を通じてCO2削減など自動車産業が抱えるさまざまな課題に対応し、地球環境と交通環境のサステイナブルな未来に向けた技術開発に取り組んでいくという内容である。
それに伴って本格的な、次世代水素ロータリーエンジン車構想が持ち上がってきた。
2010年初頭には市場に出す計画である。
杉浦は、田島パワートレーン設計本部長を口説いた。
2010年初頭に、次世代水素ロータリーエンジン車を市場導入するのであれば、その実力をPRする絶好の舞台はル・マンであると。