鉄人 須藤 將のホームページ

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「水素ロータリーがル・マンを制覇する日」その73

2009-10-04 07:35:04 | 車・バイク
2009年1月、トヨタレース監督兼渉外担当の大橋孝至は、TMG会長兼チーム代表の冨山務に、F1ドライバーのラルフ・シューマッハーとヤルノ・トゥルーリにF1スケジュールの合間を縫ってル・マンに参加する手配をしていた。その2人を富士スピードウェイの24時間耐久走行に参加してもらい、関谷と3人で走行する相談を冨山にした。
丁度、F1のシーズンオフの時期なのでドライバー達も快く承諾してくれた。

関谷は、ラルフ・シューマッハーとヤルノ・トゥルーリにTSH021の説明とドライビングのポイントを話した。
シューマッハーとトゥルーリが交互に2号車に乗り込んで習熟のドライビングを開始した。
彼らは、ハイブリッド・ドライビングに最初は戸惑ったが、さすがにF1ドライバー、すぐにコツをのみ込んで、関谷のベストラップを上回るタイムをたたき出した。

スタートは関谷がハンドルを握った。シューマッハー、トゥルーリの順に約1時間ごとに交替した。
チーフメカニックの 野茂英寿を中心に編成されたピットクルーも、実戦さながらの動きを見せていた。
ピットクルーは、トヨタのサービス部門から公募で手を上げた約100人の中から選ばれた若者で、この日のためにピット作業の訓練を受けていた。毎日の訓練が終わると、お得意の「かいぜん」ミーティングが行なわれた。1チームがピット作業をしている間他のチームは、ストップウォッチを片手に一挙手一踏足を見守り、改善提案をまとめた。それを、「かいぜん」ミーティングで議論した。その結果を、次の日のピット作業訓練で行なってみていた。
美雪と大橋(孝)は、ピットでトヨタ・テレメーターシステムのモニターの前で、彼らのドライビングと車両の状態を監視していた。
関谷のドライビングでセットアップしたキャパシタであったが、F1ドライバー達のドライビングでは、容量が不足であることが判明した。
コナーの突込みが深く、急激な減速と加速であった。
彼らのドライビングと関谷のドライビングでは、燃料の消費量に約1割の差があった。
それに、コントローラー、モーターの発熱が大きく耐久性に影響がでそうであった。
大橋(孝)は、F1ドライバー達に関谷のドライビングに合わせるように指示を出したが、彼らはなかなか従おうとはしなかった。
そのため、カーボンディスクの磨耗が激しく3スティントでディスクの交換を行なった。
10時間を過ぎるころから、熱バテで出力が下がり気味になる症状が出てきた。
急遽、ドライアイスを取り寄せて冷却すると、元の状態に復帰した。

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