日経トレンディネットに2009年09月29日に掲載した記事
業界の鉄人がトレンドを斬る クルマ編・須藤 將
鉄人】電気自動車の将来と未来のクルマ社会を占う《後編》
を転載します。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20090728/1027985/?ml
電気自動車社会が実現するまでの現実的な解決策として、前編では主にハイブリッド車について触れた。後編ではもう一つの主役になりうる存在のクリーンディーゼルと、電気エネルギーを主体とした社会の具体像について述べていこう。
クリーンディーゼル乗用車は日本では人気がなく、2009年から適用される最新の排ガス規制「ポスト新長期規制」に対応している市販車は日産「エクストレイル 20GT」だけだ。欧州ではイタリア、スペイン、フランスの乗用車の過半数がディーゼル車で、欧州全体でも約半数をディーゼル車が占めている。
ディーゼルエンジンの特徴は、ピストンスピードが低い状況で大きなトルクが得られるため、回転数を上げなくても大きな出力が得られることだ。また巡航時の空気と燃料の比率(空燃比)を20:1~60:1程度のリーン(薄い状態)にできること。そしてガソリンエンジンよりも高圧縮比のため、熱効率が高く、ポンピングロスが少なくなり、燃費が良くなる。一般的にディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンより20~30%も燃費が良く、ガソリンハイブリッド車と同等の燃費性能が得られる。
ただしディーゼルエンジンには、排ガスに黒い煤状のPM(パティキュレート・マター=粒子状物質)を多く含み、PMが少なくなるように完全燃焼させるとNOx(窒素酸化物)が増えるという欠点がある。この欠点を改善して、厳しい排ガス規制をクリアしたエンジンを一般にクリーンディーゼルと呼んでいる。
バックナンバー
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