鉄人 須藤 將のホームページ

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「水素ロータリーがル・マンを制覇する日」その4

2009-07-24 02:20:25 | 車・バイク
杉浦は、エグゾーストポートがオイルのカーボンで詰まる現象の改善を担当することになった。そこで、前に世話になった父親くらい年の離れたロータリーエンジン実験の西田のところへ相談にいった。
西田は、長年の経験から、、実際に燃焼室内にあるオイルの量とエグゾーストポート付近の温度を測定し、これらをパラメーターに採って、どういう量をどういう温度の時に吹いたらエグゾーストポートにカーボンが詰ってくるのか、データをとって対策を考えたら解決策がでるのではないかと話してくれた。
早速、田島リーダーにカーボン詰まり現象改善計画書を提出して、実験の赤木リーダーに了解を取り付けてもらった。
杉浦は、毎日テストベンチに出かけては西田と一緒にデータ取りを行なった。
かなり綿密なデータ測定であったので、データ取りだけで3か月かかった。
そのデータを緻密に調べて、それを基にマップを作ってみたら、このゾーンを外したらカーボンが詰らないという環境条件が明らかになった。
データを取ってるときに気が付いたのだが、「オイルがカーボン化するのは、エグゾーストポート付近の温度が高いからで、細いウォータージャケットを設ければ、温度を下げられる、そうすればオイルがカーボン化しないのではないか」と。
早速、田島リーダーに報告したら、「細いウォータージャケットを設けよう。ロストワックスの精密鋳造でやればできる。さらに、作成したマップを基に電子制御でメタリングポンプをコントロールしよう」と言うことになった。

電子制御のメタリングポンプの開発を協力会社と一緒に半年以上かかって完成させた。
1996年の4月の段階で、多くの課題が山を越えて、「おっ、これはいける」ということで量産設計スタートさせていた。

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