鉄人 須藤 將のホームページ

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ロータリーエンジンとモータースポーツ その3

2009-07-23 03:27:35 | 車・バイク
2.ヨーロッパのツーリングカー・レース

1969年のレースシーズンを前に、ファミリア・ロータリークーペが発売された。コスモスポーツは、ロータリ-エンジンのデビューを飾るクルマで、量産を前提としたものではなかった。ファミリア・ロータリークーペは、マツダの世界戦略車種として位置づけられ、量産を前提に開発されたクルマである。このクルマによって、マツダは大きく成長しようとしていた。したがって、レース参加が単なるロータリーエンジンの研究開発を推し進める目的だけでなく、欧州の老舗の自動車メーカーがレース活動の成果を量産車のブランド確立と販売促進に活用していることから、世界戦略車種であるファミリア・ロータリークーペのブランド確立と販売促進に役立てるという営業サイドの要望を受けたものであった。
ファミリア・ロータリークーペ・レーシングバージョン(以下R-100)の開発が開始された。1968年末までには、ロータリーエンジン研究部で、開発ナンバー3883と呼ばれたレーシング10Aエンジンが開発され、実験室レベルでは204bhpの出力を得ていた。このレーシング10Aエンジンは、市版ファミリア・ロータリークーペに搭載されているサイドハウジングが鋳鉄製のM10 Aエンジンと異なり、コスモスポーツのオールアルミ・ハウジングをベースにペリフェラル・ポートにしたものである。
このオールアルミ・ペリフェラル・ポートのレーシング10Aエンジンがレース主催者に認められるか心配であったが、メーカー代表で構成されているJAF技術委員会の申請に対しレース主催者の承認が降りた。もっとも、これは、レース主催者にとってロータリーエンジンが未知のものであり、よく知られていなかったことが幸いしている。後にレースで好成績を挙げるに連れて厳しくなっていく。

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