鉄人 須藤 將のホームページ

ホームページとして利用しています。モータージャナリスト、Webコンサルタントとしての活動をここに記載します。

ロータリーエンジンとモータースポーツ その48

2009-09-09 06:18:16 | 車・バイク
787は、こうした数々の最新技術を採用して、767Bに対して飛躍的に戦闘力を向上させて誕生。ル・マン開催まで2か月前の4月6日にシェイクダウン走行を行なった。フルモデルチェンジの場合は最低でもレース半年前の12月にはシェイクダウンする必要があった。
しかし、予定していたインターチャレンジ富士1000kmレースが大雨と濃霧でキャンセルとなり、実戦で熟成させる時間はなかった。
富士での確認走行とシルバーストーンでのテストでル・マンへ向けてのセッティングが行なわれたが、多くの問題を抱えたままであった。
松浦は、過去の経験から、レースに勝つための以下の4つの品質を定めていた。
①設計品質
① 製造品質
② テスト品質
③ メンテナンス品質
設計品質は、オーバー350km/hカーコンセプトで構築されたが、途中でユーノディエールの直線シケインが2ヶ所設けられる情報が入った。シケインに対応するには、最高速重視でなく、ダウンフォース、コーナリング特性重視に変更する必要があり、耐久性面でもブレーキング・チェンジ回数の増加に伴い、ブレーキ、トランスミッションの強度問題も大きかったが、すでにオーバー350km/hカー・コンセプトで最高速を上げるデザインで設計が終了していたため、小改造ですませた。そのため設計品質は不十分なものとならざるをえなかった。
さらに、製造品質の確保も不十分であった。
テスト品質にいたっては、ほとんど時間がなかった。目の前のトラブルに忙殺されて、十分な耐久テストを行うことなく、ぶっつけ本番となった。
そうした状況であるから、メカニックの訓練、習熟がまったくできなかったので、メンテナンス品質も確保できなかった。
すなわち、勝つための4つの品質のどれ1つも満足に確保できない状態でル・マンに臨まなければならなかった。

最新の画像もっと見る