国連の宣言に賛成したのは「形だけ」のようです。
「先住民族と認めて」 首都圏のアイヌの人々が署名集め(朝日新聞) - goo ニュース
国連の昨年9月の総会で「先住民族の権利に関する国際連合宣言」に賛成したあとの日本政府の動きが弱いようです。まあ、今まで千数百年もの間ずっと迫害してきたのですから、すぐには変わらないでしょう。いろいろな説があるので断定した言い方は出来ませんが、征夷大将軍とは蝦夷征伐をする頭領ですから、歴史上にはその行為がきちんと記されています。
「先住民族 indigenous peoples」という用語に関して日本を含めて多くの国や政府は、権利概念を含む用語であると考えていて、権利概念を含まない用語「先住民 indigenous people」という概念と区別しているようです。Peopleの末尾にsがつくと国際法上の自決権の存在を表すそうです。自決権を認めると、莫大な国家賠償や分離独立の「口実」になるということで、先住民族という用語を受け入れていない国が多いようです。(詳しくはこちら)
そこで、宣言に関する政府の答弁書を幾つか読んでみました。
参議院第168回紙智子氏 「先住民族の権利に関する国連宣言」採択を受けた政府対応に関する質問に対する答弁書
参議院第168回福島みずほ氏 「先住民族の権利に関する国連宣言」の採択とアイヌ民族の法的地位に関する質問に対する答弁書
衆議院第168回鈴木宗男氏 国連総会における「先住民族宣言」の採択に関する関する質問に対する答弁書
衆議院第168回鈴木宗男氏 国連総会における「先住民族宣言」の採択に関する再質問に対する答弁書
「先住民族」については、現在のところ国際的に確立した定義がなく、宣言においても、「先住民族」の定義についての記述はないことから、我が国として宣言にいう「先住民族」に該当する民族がどの民族を指すのかは明らかではないと認識している。
だそうです。つまり政府の見解は「定義のない『先住民族』のための宣言に賛成した。アイヌが該当するかは不明」
この宣言に関する公式報告書(英文)はこちら。賛成(in favour) 143ヶ国 反対(Against) 4ヶ国 棄権(Abstain) 11ヶ国 欠席(Absent) 34ヶ国。反対はオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、アメリカ合衆国、つまり先住民がかなり多い国です。迫害され虐げられ差別を受けてきた先住民族の諸権利を認め出すと、移民・植民地であった国の支配階級である人々の脅威になるということですね。今更奪った土地や資源の補償を認めることはできないからでしょう。
日本の場合も諸権利を認めたら、過去の政府の行為に対しどれを補償対象とするのか決めることも難しいと思われます。一部でも「自治区」「保護区」を認めだしたら歯止めが無くなる。他の「琉球民族」などへの波及効果も考えられる。先住だけでなく様々な理由で我が国に居住する他民族の人々と、幾ら小さくても民族紛争を起こしたくない。そういうスタンスでしょう。ですから政府はあくまでアイヌ文化振興の「援助」はするけれど、それ以上は認めるつもりはないとして、こういった答弁になっているのでしょう。
日本政府が他国の民族問題に比べ国内の問題を重視していないように見えるのは、もしかしたらマスコミの報道の仕方にもある程度依存しているかも知れないですね。北海道と他の地域でも人々の意識が違うでしょうし。機会があったらまた考えてみます。
「先住民族と認めて」 首都圏のアイヌの人々が署名集め(朝日新聞) - goo ニュース
国連の昨年9月の総会で「先住民族の権利に関する国際連合宣言」に賛成したあとの日本政府の動きが弱いようです。まあ、今まで千数百年もの間ずっと迫害してきたのですから、すぐには変わらないでしょう。いろいろな説があるので断定した言い方は出来ませんが、征夷大将軍とは蝦夷征伐をする頭領ですから、歴史上にはその行為がきちんと記されています。
「先住民族 indigenous peoples」という用語に関して日本を含めて多くの国や政府は、権利概念を含む用語であると考えていて、権利概念を含まない用語「先住民 indigenous people」という概念と区別しているようです。Peopleの末尾にsがつくと国際法上の自決権の存在を表すそうです。自決権を認めると、莫大な国家賠償や分離独立の「口実」になるということで、先住民族という用語を受け入れていない国が多いようです。(詳しくはこちら)
そこで、宣言に関する政府の答弁書を幾つか読んでみました。
参議院第168回紙智子氏 「先住民族の権利に関する国連宣言」採択を受けた政府対応に関する質問に対する答弁書
参議院第168回福島みずほ氏 「先住民族の権利に関する国連宣言」の採択とアイヌ民族の法的地位に関する質問に対する答弁書
衆議院第168回鈴木宗男氏 国連総会における「先住民族宣言」の採択に関する関する質問に対する答弁書
衆議院第168回鈴木宗男氏 国連総会における「先住民族宣言」の採択に関する再質問に対する答弁書
「先住民族」については、現在のところ国際的に確立した定義がなく、宣言においても、「先住民族」の定義についての記述はないことから、我が国として宣言にいう「先住民族」に該当する民族がどの民族を指すのかは明らかではないと認識している。
だそうです。つまり政府の見解は「定義のない『先住民族』のための宣言に賛成した。アイヌが該当するかは不明」
この宣言に関する公式報告書(英文)はこちら。賛成(in favour) 143ヶ国 反対(Against) 4ヶ国 棄権(Abstain) 11ヶ国 欠席(Absent) 34ヶ国。反対はオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、アメリカ合衆国、つまり先住民がかなり多い国です。迫害され虐げられ差別を受けてきた先住民族の諸権利を認め出すと、移民・植民地であった国の支配階級である人々の脅威になるということですね。今更奪った土地や資源の補償を認めることはできないからでしょう。
日本の場合も諸権利を認めたら、過去の政府の行為に対しどれを補償対象とするのか決めることも難しいと思われます。一部でも「自治区」「保護区」を認めだしたら歯止めが無くなる。他の「琉球民族」などへの波及効果も考えられる。先住だけでなく様々な理由で我が国に居住する他民族の人々と、幾ら小さくても民族紛争を起こしたくない。そういうスタンスでしょう。ですから政府はあくまでアイヌ文化振興の「援助」はするけれど、それ以上は認めるつもりはないとして、こういった答弁になっているのでしょう。
日本政府が他国の民族問題に比べ国内の問題を重視していないように見えるのは、もしかしたらマスコミの報道の仕方にもある程度依存しているかも知れないですね。北海道と他の地域でも人々の意識が違うでしょうし。機会があったらまた考えてみます。