
庭の白い梅が
ぽつぽつと咲いている。
あたりには
春めいた色があふれてきたけれど
きれいだなって思うけれど
白い梅の
この静けさの方が
こころが落ちつくことに
ふと気づく。
華やかさは淋しさを
賑やかさは寄る辺なさを
明るさは悲しみを
助長する。
だからきっと
この静けさにほっとする。

花つきはいまいちで
雪のひとひらのような
しん、とした白。
庭の反対側には
桃色のしだれ梅が咲いていて
ぽんぽんと弾むような愛らしい花が
まるで笑いさざめくようにたくさん揺れている。
とてもきれいだけれど。
シレネやムスカリの
鮮やかな彩りに目を見張り、
ミモザや花桃が
待ち遠しい気持ちはたしかにあるけれど
ひそやかな白い梅に
ほっと息をつくわたしがいる。

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