1/25 ジュニア・ボナーとキャデラックそしてホース・トレーラー(1/25 Junior Bonner with Caddillac and the horse trailer)
「ジュニア・ボナー(華麗なる挑戦)」(Junior Bonner 1972)は私が初めて封切で観たマックイーンの新作かもしれない。ロデオ興業を渡り歩く主人公が故郷の大会に出るために戻ってくるところから始まる。現実主義の兄と夢を追い続けている父、父に愛想をつかしながらもどこか情でつながっているような母。どこにでもあるような田舎の家族。主人公のボナーは父の気持ちはよく分かっている。兄の考えも分からないでもないが性格的に相容れない。そんな家族が田舎のロデオ大会が開催される中で淡々と語られていく。それぞれが微妙にすれ違って反発しあったりしながらも家族として思いやり繋がり合っている不思議な温かいそして寂しい映画である。言われなければサム・ペキンパー監督作品とは思えない穏やかな作品。1970年代は西部劇も下火になっており、牧場跡の父の家が壊されるシーンは何か古い西部開拓時代の終焉を象徴しているようで見ていて辛いと当時思った。
この作品には特に思い入れが深く、大好きで、とにかくこのポスターのポーズでフィギュアを作りたかった。フィギュアだけではつまらないのでキャデラック62/64のモデルを探した。運よくJOHANのヴィンテージプラモ(1/25)をゲットできた。これが5年以上前。次にホース・トレーラーを作ろうと思い立つ。それから試行錯誤を重ねながらようやく完成にこぎつけた。
先ずキャデラックについて。これはリアのスカートを切り取った以外はほとんど素組み。改造した所は後部にトレーラーとのジョイントを作り足し、フェンダーにスポットライトを付加したくらい。このライトが何なのか当初は分からずアメリカの友人に訊いて判明した。この外付けのスポットライトは珍しいと思う。キャデラックはこの年式からテールフィンがおとなしめになった。映画の車はフロントがベンチシートになっているがそこは改造しなかった。
次にホース・トレーラー。これはフルスクラッチで製作した。先ずプライザーの1/25馬フィギュア(47021)を入手して、それが格納できるような大きさにした。そしてリアのドアをミニ蝶番で開閉できるようにしフロントのウインドウも透明アクリル板を使って覗けるようにした。ストップランプの金網部はFinemoldのAE-12を使用している。窓の細い桟は、レジン製ということを考えると脆くなるため少し太めに作っている。とにかくこれは思っていたよりかなり時間がかかった。
そして人物フィギュア。これはわりと早めに原型が出来上がったが車やトレーラーの彩色が終わってからまとめて彩色した。特にチャップスや鞍の鐙のなど複雑な造形となった。当初は簡略化して誤魔化そうかなとも思ったが、結果的にストラップ等も付加(これは紙製)することになってしまった。鞍の脱着も考えていたがこれは本体と接着固定した。余談だがマックイーンのデニムはいつものLeeのライダージーンズ。カウボーイといえばWranglarが定番だが、Wranglarがロデオの公認のジーンズになるのは1973頃かな。
最後に、これらの製作中にJADA toyから1/24キャデラックが安価で入手できたのでこちらの改造も進めていた。またダイソーで1/24で馬フィギュアを見つけたのでそちらを最後の写真に2枚追加しておく。これは友人へのプレゼントとして特別に製作したもの。トップを外してオープンにしてソフトトップとサンバイザーを製作、ボディも黒をリムーバーで剥がして白にした。元々付いていたインチアップのタイヤを外してノーマルにしているのでシャコタン気味になっている。
(SSS Project No.0013)
激走5000キロのACコブラ427S/Cとフェラーリ365GTS/4そして優勝トロフィー(Cobla427 and Ferrari 365GTS in"The Gumball Rally")
70年代にはノーテンキなカーチェイス映画がたくさんあった。そのうちのひとつ激走5000キロ(The Gumball Rally 1976)はニューヨークからロングビーチまで大陸横断のタイムトライアル。名車がたくさん登場する金持ちの道楽レースと言ってしまえばそれまでだがその中でも主人公の乗るACコブラ427とライバルのフェラーリ365GTS/4を1/18で作ってみた。
主な改造点、ACコブラはボンネットピンがあるあたりにエアインテーク加工がしてある。これがこの劇中車の一番の特徴かな。それとフォグランプと無線アンテナ。改造用に安いモデル(Road Tough)を使ったので前後バンパーやテールランプまで作るハメになってしまった。ボディはリペイントした。
フェラーリも元はイエローのTECHNO GIODIのモデルを改造したのでオープン仕様にしてソフトトップを自作、ボディをスーパーイタリアンレッドにリペイント、内装もリペイントした。こちらもフォグランプと無線アンテナを追加。またどちらもドアミラーとナンバプレートを新たに作った。
そして今回はいつもと違ってフィギュアを作る代わりにガムボール・マシンを模した優勝トロフィーを1/18で作ってみた。この優勝トロフィーは映画の最初と最後に登場する。スピードレースのトロフィーでありながらてっぺんに亀が乗っているのが面白い。
今日5月31日はクリント・イーストウッドの91歳の誕生日。自分が憧れていたヒーローたちはことごとく亡くなってしまったが彼は今も元気で監督業も俳優業もこなしている。彼と同じ時を生きているというだけで幸せである。
今回のポンチョスタイルのフィギュアは当初から前開きと前閉じの二種類作ろうと思っていた。このタイプのポンチョをすっぽり被っただけの前を開けてないタイプのフィギュアはドール人形ならいざしらず、これまでなかったかもしれない。どちらかというと販売向きではないからね。だからこそどうしても一体作ってみたかった。初期のイーストウッドのイメージを強烈に印象付けたスタイルでもあるから。
三月末に作り始めたが製作中に彼の誕生日が近いのに気づき、何とか誕生日に間に合わせたかった。ぎりぎりセーフでした。個人的にはこの前閉じのタイプを作ってみたいとずっと思っていた。
イーストウッドは老いても創作意欲が衰えない。彼の監督作品はどれも質が高い。最新作は「リチャード・ジュエル」(Richard Jewel 2020)だがあと数本は撮ってもらいたい。彼は今も私にとって現役のヒーローなのだから。
幼少の頃西部劇ごっこに熱中し銃口にコルクの付いた玩具で遊んでいた。中学生になるとTV放映からマカロニウエスタンにハマってしまった。それまでのハリウッド西部劇とは違い暴力的で音楽も魅力的で拳銃の音すら斬新だった。粗製乱造ウエスタンの非常にマンガチックな設定も中学生にウケる要因だったんだろう。その中でもセルジオ・レオーネ監督の作品は別格だった。マカロニウエスタンのレオーネ作品でブレイクしたクリント・イーストウッドは自分の中ではマックイーンと並ぶアイドルの一人である。思えば彼のフィギュアをまだ一個も作っていないことに気付いた。
というわけで今回は「夕陽のガンマン」(For a few dollars more 1965)の主人公モンコ。 この映画の主人公はコスチュームに特徴満載で久しぶりに力の入った製作だった。ざっと挙げると、髭面、葉巻、ポンチョ、シープスキンのベスト、リストカフ、アンディ・アンダーソンのガンベルト、拳銃のラトルスネークグリップがある。細かいところではブーツや拍車の形や帽子の上部のほころびもマニアックなポイントかもしれない。そういったものをひとつひとつ確かめるように楽しみながら作っていった。右足に重心を置いた佇まいもイーストウッドならでは。
今回も新しい試みをしている。先ず当初考えたのはポンチョを脱着できること。ベストのみでも飾れる。この手のガレージキット系のフィギュアでは一体化が普通である。それからポンチョ裾のフリンジの表現。1/12のこの縮尺(高さ165mm)では厳しかったがポンチョ姿であればこの表現は絶対に外せないところ。レジン製のポンチョに手芸糸を植え込んで糸は接着剤でカチカチに固めている。ポンチョを脱いだ時のためポンチョスタンドも作った。
そしてとりわけ悩んだのがポンチョの色。基本的にはブラウン系だろうが、写真によってはグリーンぽく見えたりする。ブラウンやカーキやグリーン系を調合して何とか思う色が出せた。ポンチョの柄やシャツの柄の表現はデカール。
どうにか当初イメージしていた形にはできたと思う。ガンベルトに収めているピースメーカーは接着はしていないが右腕を接着固定しているので抜くことはできない。頭部のみポンチョ脱着のために外せる。ポンチョ脱着できるので次は前閉じのポンチョのバージョンを作ってみようと思っている。