辞書引く日々

辞書が好きなのだ。辞書を引くのだ。

コーネル・ウールリッチ『黒い天使』(ハヤカワ文庫)

2005年09月15日 | 
1943年に出版されたミステリ小説の新訳(2005年)なり。夫の嫌疑を晴らすために、若妻が暗黒世界に足を踏み入れて奮闘する話。ウールリッチは『幻の女』の作者アイリッシュと同一人物。

けなげで、俗っぽくて、甘ったるい感じがよろしい。

解説に、決定的にストーリーが破綻しているという指摘が紹介されているので、意地悪な読者はそれを見つけ出すことを楽しむといいかもしれぬ(言われてみればなるほどという点だ)。

1943年頃の音楽といえば、チャーリー・パーカーなんぞのいわゆるバップと呼ばれるとげとげした新スタイルを思い浮かべる。しかし、たぶんレコード売り上げ的にいうと、まだまだこの時代は腐らんばかりに熟したスウィングジャズの時代なのである。

してみると、この本を読みながら聞くのがふさわしい音楽は、パーカーでもガレスピーでもなく、1944年人気絶頂の中に戦死したグレン・ミラーなのではあるまいか。

黒い天使

早川書房

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