「聖(sacer,sacra, sacrum; sanctus,a,um)と俗(saecularis,lis,e)」雑感(156)
西村眞悟氏の『眞悟の時事通信』から『No.606 イスラム情勢、TPP、草莽崛起 平成23年 2月 28日月曜日』 をご覧ください。
イスラム情勢、TPP、草莽崛起
No.606 平成23年 2月28日(月)
本日は、まとまり無く書きます。
まず、ここ数週間何時も見つめていたのがエジプト、リビヤをはじめとする北アフリカと中東情勢だ。
そして、その北アフリカ・中東の独裁政権の崩壊が、東アジアの中国と北朝鮮の体制に如何なる動揺をもたらすのか。これを見ている。
北朝鮮の金正日は、既に死亡しているか植物状態に陥っているとの情報がある。その中で、やはり政権への不満を訴える人民の具体的な抗議行動がある旨、伝えられてくる。
中国の大都市部では、ネットの呼びかけで人々が集まり始めるが、治安当局が虱潰しにその動きを取り締まっている様が、TVの画面に映る。
中国内の今や華やかな光景になった都市部でのこれらの動きの背景には、年間十万件にも達するという内陸部の「暴動」があり、さらにチベット、ウイグル、モンゴルその他の被支配民族の不満が渦巻いている。
北アフリカ・中東の民衆の不満は、世界的な投機資金によって上がり始めた食糧価格によって火がつけられたと言われる。
しかしそれ以上に、内陸部の低賃金を最大の資源として繁栄している共産党独裁下の中国では、内陸部に十億に達する民衆が押し込められているのであって、その体制的構造的歪みと不満の大きさは、計り知れない。
さらに、北朝鮮の民衆は、家畜の域に押し込められているではないか。
そこに、いよいよ中国の不動産バブルが弾ける兆候を見せ始めた。韓国は銀行が危ない。そして、北の金正日が噂通り死んでおれば、朝鮮半島は、どうなるか。
北アフリカや中東どころか、アジアの東、我が国の海を隔てた西こそ、タダでは済まないのだ。
つまり、東アジアこそが、世界の火薬庫の要件を備えている。
そこで、日本の国内状況であるが、
まさに私利私欲だけの「人栄えて國亡ぶ、盲いたる民世に躍る(昭和維新の歌)」、である。
例えば、鹿児島でO氏が「解散は早い」といえば、日教組のおっさんのKが、「解散は困る」といっている。
解散風を吹かして寄る辺のないチルドレンを集めるいつもの手である。解散が有ると言ったりないと言ったりは、まさにマッチとポンプ。二人一組の漫才だ。己の身を心配する輩だけであり、ここに、国家の危機に対する心構えはこれっぽっちもない。彼らは、「政治家」ではない。
そこに加えて、私の尊敬する会津若松に住む高士が一言で片付ける「人間の屑」こと「平成の黄門」が、「菅の首と引き替えに予算と関連法案を成立させて」と言っている。
彼、民主党の最高顧問だという。最低顧問だ。
とはいえ、これらしか、我が国内の政治ニュースは無いのだ!
まったく、彼らは、急激に変化して流動化する我が国を取り巻く世界の情勢と遊離している。
ところが、この「盲いたる民」が、急に飛びついて流されているのが、TPPである。
TPPによって、我が国も「開国」をしなければならない、というもっともらしい議論である。
この議論には、我が国が、我が国の國の形即ち国体、そして固有の伝統と文化また社会の成り立ちを守ろうとする当然のことを「鎖国」と見なす前提がある。
これが、鎖国=封建・悪、開国=近代・善、という歴史観ならまだ矯正可能だ。
しかし、およそ国家が守ろうとするもの=悪という思想即ち左翼コミンテルン思想が、我が国に迫る「開国」は、我が国家を解体させる結果をもたらすものであり断じて許容できない。
何度も指摘するように、現在の民主党政権は、左翼の牛耳る左翼政権ではないか。
左翼思想とは、国家というものを弱体化させることが人々の幸せにつながるという嘘によって国民を惑わし権力を奪う思想である。従ってTPP推進論者は、我が国から国家の大きな権能である関税自主権を奪えば、国民は幸せになるというのである。
この我が国の左翼思想とアメリカのハイエナである巨大多国籍企業のマネーゲーム戦略が、絡み合って推進に動いているのが、我が国のTPP議論である。
このTPPこそ、今まで毎年アメリカから押しつけられてきた「年次改革要望書」の年度ごとという手間を省くために、一括して、我が国の国土と国民を巨大多国籍企業の餌場にするという意味の「開国要求」なのである。
それを、我が国の、国家=悪で関税自主権喪失=開国=善、
という左翼思想が受け入れようとしているのだ。
そもそも、菅総理が、昨年唐突にTPP検討を主張し始めたことも奇妙なら、まことによくアメリカに行っていて政治家として「成長し」、アメリカのペットになっている兄ちゃんがTPP推進を叫び始めたのも、怪しいではないか。
我が国の各省庁は、仮にTPPを受け入れればこうなるという試算をしているが、TPP受け入れが経済的に得か損かという側面に限っても、試算した省庁の結論は損得正反対に分かれている。つまり、TPPは、訳が分からんのである。
この状態を前提にすれば、いま唐突に菅内閣でTPPを推進しているのは、アメリカのペットであると言える。
また菅内閣に誘導されて、TPPを農業分野の問題だと矮小化してはならない。
我々の全生活分野に影響が及ぶのがTPPである。
TPPは、医療、弁護士業務、保険そして労働市場などあらゆる分野に及ぶのである。
TPP受け入れによって、例えば医療では、混合診療が当たり前となり株式会社が医者を雇って収益を上げることを競い、我が国で現在当たり前となっている、全ての人が同じ費用を負担して専門医の診察を受けることができるというすばらしい保健医療制度は崩壊する。これはつまり、アメリカをはじめ世界が見習うべきすばらしい医療制度が世界から無くなることを意味する。
弁護士業務では、「小泉改革時代」の影響で粗製乱造された法曹人口にさらに外国人弁護士が加わり様相が一変する。もはや弁護士は、「社会正義の実現」などと言っておれば生活できなくなる。
さらに、東大阪など我が国の中小企業が集まる地域では、労働者のほとんどは低賃金で働く外国からの出稼ぎ者で占められ、賃金は高くとも技術を持った日本人労働者は失業する。こうなれば、我々の住居周辺の治安状況も一変する。
もちろん、守るべき我が国の農業はどうなるか。
無くなる。
農業が無くなれば、我が国の文化と伝統はその基礎を失う。
新嘗祭をはじめとする宮中の祭祀、各地の秋祭りや伝統行事は農業の上に成り立っていることを深思すべきである。
TPP受け入れは、我が国の文化の喪失をもたらす。
これらを考えると、現在の左翼政権に断じて任せられないのである。
二月二十六日の夕方、有楽町で街頭アピールを終えてから、畏友の藤井厳喜さんに会った。そして、年末年始の長期間にわたり、彼が巡ってきた北米の状況を聞いた。
彼曰く。
アメリカ人の大半はグローバル化に反対だ。アメリカの左翼も右翼も、反グローバル化という点では一致している。つまり、ラルフ・ネイダーという極左もティーパーチーという右も反グローバル化である。
アメリカ人は、NAFTA(北米自由貿易)にも反対者が多い。メキシコからの入国者の多さに嫌気がさしている。
アメリカの大衆は、TPPなどに何の関心もない。政治課題でもない。
アメリカでTPPを煽っているのは、巨大多国籍企業だけだ。
これが、藤井厳喜さんの私に語った内容である。
従って、
日本でTPPを煽っているのは、アメリカの巨大多国籍企業のペットだ、と私は付け加えておく。
菅内閣の誰がアメリカのペットか、見極めてほしい。
最後に、現在、我が国の政界は、国家戦略無く国家運用不能の状態である。
従って、現在こそ、国民は「自ら国家に何を為すことができるのか」という立場に立ち返って、草莽崛起の思いで街頭での行動を起こすべきときである。
即ち、民主党の想定する「国から手当をもらう対象としての国民」から、「国に対して為すことができる国民」に脱却して立ち上がるときである。
それによって初めて克服することができる厳しい危機が、内外から我が国を覆いつつある。
危機克服のためには、内には菅そして民主党内閣を打倒し戦後体制から脱却しなければならない。そして外には、中国共産党の覇権主義そして軍事力に打ち勝たねばならない。
二十六日の有楽町の街頭行動の後、同志とともに、救国内閣の樹立、具体的には平沼赳夫そして石原慎太郎首班を目指した救国内閣を如何にして樹立するかを話し合ったのである。
我が国の再興の為に、必ずそのときが来る。
諸兄姉!
近き日のうちに、その行動を共にするときがあらんことを!
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