「ぼくら党」のブログ

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テポドン怖い(1)-北朝鮮とミサイル防衛について

2006-06-21 09:57:26 | 国防問題・ミサイル防衛

■やはり、北朝鮮の脅威を梃子にして、日米一体化(米国への編入)の象徴であるミサイル防衛を前倒しで推進するようだ。米軍再編に伴って日本の負担は減少するはずだったのが、ますます、自衛隊の米軍編入が促進され、負担も増大することになるだろう。

■産経新聞の記事には『日米の出席者は「北朝鮮の弾道ミサイルの脅威は切迫した課題」との認識を改めて確認。その上で、「再編計画に含まれるMDの協力項目は、前倒しを視野に促進していくべきだ」との方針でも一致した。』とあるが、核弾頭を搭載していないテポドンミサイルが騒ぐほどの脅威であるのか疑問である。通常弾頭であれば、ほとんど効果は無く脅威ではない。切迫した課題とまではいえないのではないか。

■他にも「弾道ミサイルを探知するXバンドレーダーを青森県に配備するのに合わせ、7月にも情報共有の協定を締結する。」とあるが、中日新聞の記事を見る限りでは、情報の共有といっても、アメリカから一方的に情報提供を受ける形になるのではないか。

これでは、日本のアメリカ依存が大きくなるだけであって、米軍が主、自衛隊が従という力関係がますます大きくなり、従米路線の変更が不可能になってしまう。

■中日新聞の記事において明らかなのは、アメリカは対等な立場での一体化など考えていないことだ。これではアメリカが許す範囲での一体化であり、下働きとして自衛隊を見ているということだろう。これでは、米軍再編ではなく、自衛隊の米軍編入である。

■これほど、日本の独立を著しく損なってまで、なぜ、ミサイル防衛にこだわるのかまったく理解できない。しかしながら反論として消極的ではあるけれども肯定的な意見もある。例えば「日本は九条がある以上、反撃できない」故に「ミサイル防衛によって守るしかない」と言うものだ。しかし、これは明らかに間違っている。

■ミサイル防衛の問題点は、本当に打ち落とせるのかという性能問題や費用対効果問題がある。速度の遅いミサイルには効果的であっても、弾道ミサイルのような速度の速いミサイルには本当に効果的か実証されていない。

■実験成功の記事を見かけることもあるが、発信機をミサイルに取り付けて迎撃を容易にしたり、前もって計画を立てた上での実験と実際の戦いとは違うだろう。現在のテポドンミサイルは、人工衛星で把握することができるが、把握できるのは、テポドンの実験場にあるミサイルだけであり、移動式の弾道ミサイルであれば、存在を把握できずに突然発射される可能性もある。前触れなしに発射された弾道ミサイルを本当に迎撃できるのか疑問だ。

■それ以前の根本的な問題としてミサイル防衛に比べれば、それに対抗する弾道ミサイル技術は容易である。弾頭の多弾頭化や囮弾頭など、いくらでも対抗手段が攻撃側にはあり、それを防御側が全て無効にすることは至難の業というより、不可能と表現したほうが適切だろう。

■多弾頭化等の対抗措置を北朝鮮が取れるかは疑問であるが、ロシア、中国なら十分可能であり、現にロシアは、ミサイル防衛を無効にするミサイルを開発したと発表している。

これほど不確かなシステムに一兆円もの予算をつぎ込んで、さらに共同研究という名の資金援助を行い続けることに合理性があるとはとても考えられず、かえって弊害の方が大きい。(続く)


            
     続きの記事  テポドン怖い(2)-MDの代替案と賛成者の覚悟について

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http://www.sankei.co.jp/news/060620/sei016.htm
日米、ミサイル防衛前倒し実施も 北テポドン発射準備で
北朝鮮の長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の発射準備を受け、日米両政府が、在日米軍再編の一環であるミサイル防衛(MD)の協力について前倒し実施を含めた計画促進を検討していることが19日、分かった。ミサイルを迎撃する米軍の地対空ミサイル、パトリオット(PAC3)を年内に日本へ配備し、情報共有など役割分担も優先的に具体化させる方針だ。
 
日米両政府は15日、米軍再編をめぐる外務・防衛当局の協議をハワイで開催。5月に合意した米軍再編の最終報告書に明記した計画の優先順位や、計画を具体化させるチームの設置を検討した。
 
このころ、北朝鮮は実験場の発射台にミサイルを設置するなど、発射準備をほぼ完了していた。このため、交渉筋によると、協議では急遽(きゅうきょ)、テポドン2号の発射準備に関する日米の意見交換に時間が割かれ、日米の出席者は「北朝鮮の弾道ミサイルの脅威は切迫した課題」との認識を改めて確認。その上で、「再編計画に含まれるMDの協力項目は、前倒しを視野に促進していくべきだ」との方針でも一致した。
 
具体的には、米軍のPAC3の日本国内での展開について、最終報告では「可能な限り早い時期に運用可能となる」と時期を特定していなかったが、年内に在日米軍基地に配備する方向となった。航空自衛隊も来年3月までにPAC3の配備開始を予定しており、米軍の配備はこれより前倒しの実施となる。
 
また、米軍が近く、弾道ミサイルを探知するXバンドレーダーを青森県に配備するのに合わせ、7月にも情報共有の協定を締結する。日米の「共同作戦計画」なども刷新する方針だが、MDに関する共同対処の計画策定を先行させることも検討対象になる。

【ミサイル防衛(MD)】 弾道ミサイルを迎撃するシステム。イージス艦搭載のスタンダードミサイル(SM3)が大気圏外で弾道ミサイルを撃ち落とし、失敗した場合、大気圏内に落下してきた段階で地対空ミサイルのパトリオット(PAC3)で迎撃する2段構え。自衛隊は平成18年度末から順次、SM3とPAC3の配備を始める予定で、米国が開発したものを導入する。また、日米両国は今年度から、新型のSM3の共同開発に入る。 (06/20 02:39)

http://www.chunichi.co.jp/00/kok/20060618/mng_____kok_____004.shtml米、通信網から海自排除-ミサイル防衛「緊密連携」遠く
06/6/18
日米合意した米軍再編で、ミサイル防衛(MD)について「緊密な連携」が明記されたにもかかわらず、米側が日本側に軍事通信衛星の使用を認めていないことが分かった。北朝鮮が「テポドン2号」の発射準備を進める中、今月下旬、米国が行う海上配備型迎撃ミサイル(SM3)による迎撃実験に参加する海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」は、米側と情報交換できないまま終わることになる。
 
迎撃実験はハワイ沖で行われ、カウアイ島から発射される模擬の中距離弾道ミサイルを米海軍のイージス巡洋艦「レークエリー」が探知、同「シャイロ」がSM3で迎撃する。探知した弾道ミサイルの航跡情報は米国の軍事通信衛星「ミル・サット」を通じて共有されるが、「きりしま」は米軍の通信ネットワークから外され、単独でミサイル航跡を追尾する。
 
日米のイージス艦はともに「リンク16」と呼ばれる大容量の戦術交換システムを搭載し、本来なら艦同士の情報交換も可能。しかし、米軍はMDについて「ミル・サット」経由を決めている。「きりしま」が「ミル・サット」を利用するには米側の許可と秘匿通信解除装置や新たな通信装置の搭載が必要だが、いずれも実現の見通しはたっていない。
 
海自のイージス護衛艦は1998年、北朝鮮が三陸沖に向け発射した「テポドン」を探知した実績があり、「きりしま」が模擬弾道ミサイルを探知するのは確実視される。実験参加は、多額な費用がかかるため各国が米国主導のMDに消極的な中で、日本が参加している事実をアピールすることに狙いがあるとみられる。しかし、近海にいながら米軍の情報ネットワークから外される「きりしま」の迎撃実験への参加は、米軍再編にうたわれた「緊密な連携」とは程遠い。
 
米側は日本がイージス護衛艦を建造する際、艦隊防空に優れたイージス・システムは提供したものの、陸・海・空・海兵隊をつなぐ全米軍ネットワーク「IBS」に加わることは禁じた。良好な日米関係下にあっても情報供給は制限されているのが実情だ。
 
このため、米軍再編に盛り込まれたMD関連装備のうち、米国がこの夏までに青森県の航空自衛隊車力分屯基地に設置するXバンドレーダーが探知する情報がどんな形で日本に提供されるかも不透明。米国が米本土を守るための便利な“出城”として、日本を利用するにとどまる可能性もある。