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額賀長官の「敵地攻撃能力保有」発言について

2006-07-11 22:42:38 | 国防問題・ミサイル防衛
■北朝鮮のミサイル発射実験に伴って、政府・与党から、先制攻撃の是非についての発言がなされている。記事には ― きっかけは「国民を守るために限定的な(敵地攻撃)能力を持つのは当然」と提起した9日の額賀福志郎防衛庁長官の発言 ― とある。

現憲法においての憲法解釈も、「相手が武力攻撃に着手した時」であれば、自衛権の発動として相手基地を攻撃することが可能であるという解釈がなされている。これは理論上では日本も武力行使を実施するであろう蓋然性が高い基地を、武力行使を実施する直前の段階であれば攻撃できるという事である。

しかし、現実的には自衛隊単独では、敵地攻撃能力は保有しておらず、― 自衛隊は国土を守る「盾」の役割に徹し、敵国を攻撃する「矛」の役割は米軍が担う ― とあるように、敵地攻撃は日米安保条約により米軍が担うことになる。

■もし、「矛」の役割も自衛隊が担うようになるのであれば、当然、日米同盟の意味についても再定義することになるだろう。自主防衛が可能になるのであれば、日本を直接的には守っていない在日米軍についても、日本に存在する理由が失われることになる。(従来のようには在日米軍を優遇する必要もなくなってくる)。

■アメリカは「超スーパーパワー」だが、日本も超は付かずとも「スーパーパワー」である事は間違いないことであり、アメリカに対抗できる潜在的能力を持つ国家である。そのような潜在的能力を封じ込める意味でも、いつまでもアメリカに依存させる体制を敷く事がアメリカにとっての安全保障でもある。

その封じ込め政策を、崩しかねない自主防衛など、アメリカが容認するとはとても思えない。この事から、日本の自主防衛は、近隣諸国もさる事ながら、アメリカが一番嫌うのではないか。専守防衛や憲法9条は、実はアメリカにとっても一つの安全弁なのかもしれない。

■ 額賀長官の― 「国民を守るために限定的な(敵地攻撃)能力を持つのは当然」― の発言で最も違和感を持つのが、「国民を守るため」という部分である。何故なら軍事力は国民を守るためには存在していないからだ。軍事力は、国民国家の概念(国体)を守るために存在するのである。

平時の軍事力は抑止力としての意味合いも持つので、力の均衡によって戦争を防いでいるのなら、その状態を持って軍事力によって「国民を守っている」と言え無くはない。しかし、国家間で実力行使が行なわれれば、その瞬間から国家にとって「国民を守る」は二義的以下の義務となるだろう。

戦争になれば、国家が国民の生命よりも優先される事は当然である。国家という器が、他の力によって打ち壊されれば、その器の中にある国民は、その国の国民として存在し得なくなる(統治機関がそう考えないなら統治機関の存在理由が無くなる)。

だから戦争になれば、中身の国民が多少こぼれ落ちる事よりも、器としての国家を守る事を最優先事項として、国家は行動することになる。

政治家は、「戦争になれば国民の生命・財産は一義的には守れない(守らない)」。と言うべきだ、その上で、軍事力や国防の方法を国民全体が考えるべきだと思う。

災害予防と同様に国家間の闘争を語るべきではない。もし、その様な認識で戦争を語るならば、必ずその国の国民は手痛い仕打ちを受ける事になるのではないか。 



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―以下引用記事―
http://www.mainichimsn.co.jp/seiji/feature/news/20060711k0000m010091000c.html 北朝鮮ミサイル:自衛隊の「敵地攻撃能力」…議論が再燃 
北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、敵国のミサイル基地を攻撃する能力を自衛隊に保有させる議論が政府・与党内で再燃してきた。ミサイル防衛(MD)システムの配備が進んでいない現段階で弾頭を載せたミサイルを撃たれた場合、防御手段がないためだ。しかし、長距離ミサイルなど敵地攻撃を目的とした武器の保有を日本が避けてきたのは「専守防衛」の国是から。この見直しには国内や近隣諸国の強い反発が予想され、ハードルは極めて高いといえる。 

きっかけは「国民を守るために限定的な(敵地攻撃)能力を持つのは当然」と提起した9日の額賀福志郎防衛庁長官の発言。10日には「国民と国家を守るために何をすべきかという観点から常に検討、研究は必要」(安倍晋三官房長官)、「積極的に取り組む必要がある」(武部勤自民党幹事長)と同調する声が政府・与党内から相次いだ。 

政府は従来、自衛のためやむを得ない場合に限定し敵地攻撃は可能との憲法解釈をとる一方、大陸間弾道ミサイル(ICBM)と長距離戦略爆撃機、攻撃型空母については「他国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる攻撃型兵器」として保有を違憲としてきた。戦闘機の飛距離を伸ばす空中給油機はグレーゾーンにあったが、「防空能力の向上」などを理由に導入に踏み切った。 

北朝鮮が核拡散防止条約(NPT)脱退を宣言した03年には当時の石破茂防衛庁長官が敵地攻撃能力の保有検討に言及し、長距離巡航ミサイル「トマホーク」の導入論が浮上。中期防衛力整備計画を策定した04年には離島防衛などを目的に長射程の精密誘導ミサイル研究を始めようと防衛庁が動いたが、公明党などの強い反発で断念した経緯がある。ハードルの高さを知る防衛庁内は額賀長官の問題提起を歓迎しつつ、まずはMD導入の加速を優先する構えだ。 

そもそも、自衛隊は国土を守る「盾」の役割に徹し、敵国を攻撃する「矛」の役割は米軍が担うのが専守防衛。この見直しは集団的自衛権の行使など日米安保体制の根本的な変更につながりかねない。このため、公明党の神崎武法代表が10日、「そういう(敵地攻撃の)段階になれば全面戦争ということ。慎重に検討すべきだ」と否定的な考えを表明するなど、与党内の足並みもなかなかそろいそうにない。 小泉純一郎首相も「議論するのは差し支えない」としながらも「日本が実際に攻撃を受けていない段階で先制攻撃的な形でそれをするんだというのは別問題。慎重に検討しなくてはいけない」と語った。【古本陽荘】毎日新聞 2006年7月10日 20時24分 (最終更新時間 7月10日 23時04分)

http://www.asahi.com/politics/update/0711/004.html
「敵基地攻撃」論、米国にも波紋
2006年07月11日11時48分
敵基地攻撃」の議論が10日、米国にも波紋を広げた。メディアは「日本が先制攻撃の可能性を示唆した」と受け止め、ホワイトハウスや国務省の会見で記者団から質問が相次いだ。政府側は「日本は外交的に努力している」と受け止め、直ちに先制攻撃につながるものではないとの見方を強調した。  

スノー大統領報道官は会見で、「安倍氏は憲法改正を追求すべきだと言っていると思うが、憲法を超えて対応すると言ったわけではない」と説明し、「地域の国はあらゆる手段で自らを守らざるをえない」と矛先を北朝鮮に向けた。ハドリー大統領補佐官も「日本が安全保障に関心を持つのは当然だ」と同調。国務省のマコーマック報道官は「安倍氏の発言は、すべての選択肢を排除しないということで、外交に焦点を当てたものだ」と語った。