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石破氏のMD認識について-(2)

2006-07-29 00:29:13 | 国防問題・ミサイル防衛
―  引用 ―

①ミサイル防衛は以前に比べれば精度が高くなってきている。
②ミサイル防衛は純粋に防衛兵器であるから、他国の脅威にならない。
③純粋に防衛兵器であるミサイル防衛に問題意識を持つ相手があるならそちらの方が
   問題である。



■②や③については、かなり強引な反論だと思う。確かにミサイル防衛は、純然たる防衛システムであるが、ミサイル防衛システムを使用する側に攻撃能力があった場合は、その限りではない。

ミサイル防衛によって反撃手段が無化され、一方的なミサイル攻撃を受ける状態になれば、その反撃能力を無化された国では、相手国に対する脅威の認識度は上がる事になるだろう。

よって、ミサイル防衛システムそのものは純然たる防衛兵器であっても、相手国の脅威認識は上がる事になるのではないか。但し、日本の自衛隊は専守防衛の精神の下に編成された軍事力であり、戦力投射能力がないので、本来ならミサイル防衛を導入しても他国の脅威にはならない。

しかし、日本には日米安保条約や米軍基地があり、そのアメリカが先制攻撃主義を採用している以上は、日本の隣国にとっては潜在的な脅威であるだろうし、その日本の米軍基地をミサイル防衛によって防御すれば、当然、米軍による一方的な攻撃を受ける可能性が高くなり、脅威認識の度合いは上がるだろう。(あくまで理論として)

もし、②③の理論を主張するなら、アメリカに先制攻撃論を廃棄させるか、日米安保の破棄による米軍基地の返還が必要になる。また自衛隊も専守防衛に徹して、敵地攻撃能力を保有する事はできない。(特に核兵器や弾道ミサイル等)もし今後、敵地攻撃能力を保有する方向で自衛隊の編成が組まれるようになれば②③の反論は成立しなくなる。

■③についても、②と同じ理由で疑問がある。アメリカの軍事力は、圧倒的に強大であり、通常戦力で対抗できる国は存在しない。中ロは核兵器による相互破壊保障によって、辛うじて戦力の均衡を保っているのが現状である。

この様な状況で、ミサイル防衛によって一方的に核抑止が無力化される事になれば、相互破壊保障は崩壊して、無化された国の安全保障に重大な支障をきたす事になるのではないか。

■無化された国に侵略的な攻撃意思が無かったとしても、ミサイル防衛によって核先制攻撃を受ける可能性が高まり、相手国が感じる脅威度は増す事になる。

そうなれば、ミサイル防衛に対抗するために、弾道ミサイルの増強が行なわれ、それを克服するために、新たにミサイル防衛システムの更新や増強が行なわれる悪循環になるだろう。もし相手側もミサイル防衛を導入したら、お互いが終わりの無い軍拡競争をひた走る事になる。

■いかなる兵器であっても軍備拡張の危険性があることを忘れてはならない。特にミサイル防衛は、相互破壊保障という、暗黙の了解を破壊しかねないだけに、深刻ではないだろうか。石破元長官にはここまで語ってもらいたかった。 (終わり)


関係記事  石破氏のMD認識について-(1)


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