評価:★★★☆
ストーリー(Yahoo!映画より)
世界で一冊だけ残る本を運び、30年間旅をしている男イーライ(デンゼル・ワシントン)。
本に触れる者をためらわずに誰でも殺すイーライだが、彼は旅の目的地を知らず、「西へ向かう」という
手掛かりだけを頼りに歩き続けている。そんな中、彼の前に、本を探し続ける独裁者カーネギー
(ゲイリー・オールドマン)が現れ……。
アレン・ヒューズ、アルバート・ヒューズ監督
デンゼル・ワシントン、ゲイリー・オールドマン、ミラ・クニス他出演
「ザ・ウォーカー」を見た。
ネタバレあるので、ネタバレが嫌な人は読まないようにして下さいな。
キリスト教のプロパガンダ映画のようだったけど、それはそれとして、結構良かった。
ストーリー自体はあまり面白くないかもしれないけど、最後の方の10分くらいで感動してしまった私は、
西洋キリスト教的価値観に毒されているのかもしれない。
信仰の力や文明の再生というテーマに、なんかグッと来てしまった。
主人公のイーライも、敵役のカーネギーも聖書に力があると信じている人たちで、ハタから見ると
狂信者でしかないね。
心の声の指示に従うっていかにも宗教チックだし、聖書を運ぶ主人公には神のご加護があるようだし、
主人公が撃たれるとき稲妻が走ったり、いろいろと胡散臭い。
聖書は聖書でしかなく、信仰こそが人の救いとなると同時に戦争を起こしもするわけで、そのへんが皮肉だ。
カーネギーは、聖書があれば、絶望した人々の拠り所になれて、世界を支配できると信じていたけど、
聖書の言葉より、とりあえず、やっぱり食料や物資の方が力になりそうな気がする。
人はパンのみにて生くるにあらず、とはいえ、衣食足りて礼節を知る、なわけだし。
カーネギーは力による支配だけでは満足できず、宗教的な指導者になりたかったのかしら。
カーネギーは結構聖書の言葉を覚えていそうだし、聖書自体がなくても、ハッタリかませられれば、
記憶で行けそうなのに、変に真面目な?人なのかね。
イーライは聖書を守ることばかり考えていて、人のために尽くすという大切なことを忘れていた、と
言ってた。
序盤で強盗に襲われている人に遭遇したイーライが、「道を逸れるな」と何度もつぶやいて見過ごしたとき、
おいおい映画的にそれでいいのか?と思ったけど、あれはその辺のことを表現したかったのか。
イーライが聖書を口述筆記してもらったらお役ご免、神のご加護はそこまでという使い捨て感がひどい。
さすが神さまは容赦ない。
本人は使命を果たせて満足したみたいだけど。
イーライは目が見えないということで良いんだよね?
目つきに違和感あったし、点字読んでるし(点字は目が見えても読む人もいるけど)、聖書の光あれ云々の
ところでイーライの目を長く映していたし…。
目が見えないイーライの撃つ弾が当たるのは、耳と鼻の良さと神のご加護ということで。
あと舌打ちっぽい音でエコーロケーションしてるのかな?と思ったシーンが2、3あったような…。気のせいか。
私はイーライは盲目らしいというのを知っていたので、目つきがおかしいなぁ、とか変な姿勢で薄暗い
ところで本を読んでるなぁ、とか思って見ていたけど、盲目というのを知らずに見ていると、そのへんは
どんな感じに見えるんだろう。
映像の色調が独特で、終末世界ぽくて良かった。
食人の館のところは、ホラーコメディみたいで、笑いそうになってしまった。
食料が不足しているのに太り気味なデンゼル・ワシントンは、ちょっと残念。
いくつか人の感想を読んでいるけど、「日本では受けないと思う」と書いてる人が多くて面白い。
確かに日本人にはあまり馴染みがないよね。
マタイの福音書の「山上の教え」を読んで、なんでか「この世界は光に充ち満ちている!」という錯覚が
したことのある私は少数派でございます。もちろんその錯覚は数日でなくなった。
ちなみに私はキリスト教を信仰してないよ。宗教がらみの話が結構好きなだけ。