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ボタンボウフウの蕾はきれいだ。赤と緑と白の糸で丹念に作りこんだ手毬のようだ。それほどのものを贅沢にもびっしり寄せ集めている。残念なのは一つ一つがごく小さくてあまり気付く人もいないということか。
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咲けば真っ白になる。5本の雄しべがはじけたように飛び出している。真ん中の半透明の盛り上がった部分は普通なら子房だろうが、この花では花柱の下部が膨らんだものだそうだ。その表面が濡れているように見えるのは蜜が出ているからで、寒い中どこから来たのか小さなヒラタアブが無心になめていた。やがて雄しべが枯れ落ちる頃、二股になった花柱の先が少し伸びて柱頭が開く。
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花びらが散るとその下にあった子房が膨らんでくる。小さな花の割にはずいぶん大きくなって互いに押し合いへし合いしている。
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それらはやがて赤く鮮やかに色付いてかなり目立つ。普通、果実が赤いのは鳥などに食べられて種子を運んでもらうためだ。しかしこれは食べられた跡など見たことがないし、そもそもまだ種子は成熟していない。たまたまこんな色になっただけなのか、それとも紫外線よけだろうか。
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やがて干からびてくると褐色のはっきりした縦じまのかなり個性的な感じになる。花の繊細さからはかけ離れている。平らに押しつぶしたような形だが、それが二枚に分かれ、それぞれがさらに平らに割れて、中から黒っぽい細長い種子が一つずつ出てくる。
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本来は夏の花だが、南国のこのあたりの海岸では年中咲き続けているようだ。今も咲き始めたばかりの花の塊と咲き終わったもの、さらに熟し始めた果実、すっかり種子のできたものと一連の状態が見られる。
ボタンボウフウはボタンのような葉を持つボウフウということだそうだ。しかしボタンの葉は同じように切れ込んではいるが、もっと細く尖っていたはずであまり適当とは思えない。ボウフウとは中国原産の同じセリ科の生薬だそうだ。ボタンボウフウも長命草などありがたい地方名があるほどだから体に良いのだろう。最近ではサプリメントなどになって販売されているそうだ。まあひところブームになったアシタバも含めこの仲間はいろいろ栄養豊富で薬効もありそうだ。しかしわざわざ買ってくることはないだろう。極めて強靭な植物だし種もたくさんできているから、採ってきて庭の片隅にでも蒔いておけばいい。葉もなかなか趣があって観葉植物としても十分通用しそうだ。
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