さらさらきらきら

薩摩半島南端、指宿の自然と生活

サカキ

2012-06-20 09:58:34 | 花草木


サカキは枝を神棚に捧げたり神主さんが振り回したりで日本人にとっては昔から馴染みの木だ。寒冷地でさえなければどこの神社でもたいていこんもりと年中茂っている。ふとその葉陰にそっと白い花が咲いているのに気付いた。小さな鐘を吊るしたような形で、蕾もすっきりした卵型でなかなか清楚な感じだ。



大きさは1.5cmくらい、たくさんの雄しべがあり葯は濃い目の橙色で、純白の花びらに包まれ引き立っている。雌しべは薄い緑色で先端は二又になっていてそこだけ色も濃い。ていねいに細工されたような花だ。



下から見上げると花びらは半透明で、花の中は白く柔らかな光に満たされている。



今度は上から見下ろす。花びらは外側も真っ白で艶があって硬質な感じだ。緑色の萼が小さくかわいらしくかぶさっている。横の方では先に咲いた花がもう果実になりつつある。今は緑色だが秋には黒く丸く熟す。



木を普通に眺めるとあまり花は見えない。近付いて見上げるとびっしり咲いているのに驚く。ふと微かな芳香がした。少し甘い感じの良い匂いだ。この花の付いた枝をそのまま神前に供えればよいのにと思う。しかし花びらはじきに黄色くなり散らかってしまうのでそんなことはしないそうだ。



サカキの葉は厚めでしっかりしていて、形も大きさも程よく鋸歯などのでこぼこもない。このすっきりした感じは確かに神様向きだと思う。ところでサカキの生えない地方ではヒサカキを代用にするそうだが、そちらの葉は一回り小さくかさかさしていて鋸歯もありとてもこんな上品さではない。また花はかなりの悪臭を放ち印象が悪い。

枝をよく見ると先端がくるっと少し巻いている。普通の木ではまっすぐ槍の穂先のようになっているものだが。これはサカキの特徴だそうだ。神様は枝先に降りることになっているから、まっすぐ上を向いていないと降りにくいのではないかとつまらぬ心配をしたりする。

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