SUN PATIO

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ベレッタ M1934(ウエスタンアームズ)

2010-02-27 | トイガン耽美系
東京在住の頃、散歩に出掛けるように
宮益坂のウエスタンアームズへ
脚を運んでいたものだった。
自宅を出ると明治通り沿いに
渋谷駅方向へひたすら歩いてゆく。
早足でも裕に四十分は要したが、
じつは運動不足解消の一環でもあった。
店に着くと素早く新製品をチェック。
大概に場合、購入の意思決定は
実物を手に取った一瞬の内に為された。
ろくすっぽ検討に時を費やさず、また
商品に関して一言半句の問いも発せず、
そのうえ「試射は不要」と釘を刺し、
さぞや店員達には風変わりな客に
思えたことだろう。兎も角、
あの坂道の微妙な勾配の加減から
亭々と立つ街路樹の葉脈に至る迄、
いまなお記憶に鮮明なのは
われながら驚くほどである。

あの小体な宮益坂のショップで
写真のベレッタを見せて貰ってから
既に六、七年は経過している筈なのに、
その外観は不思議なくらい若々しい。
ホワイトシルバーのフレームと
マットブラックのスライドとの結合は
タキシード姿の伊太利亜紳士の如くで、
フォーマル且つ凛とした印象を与える。
黒色のセフティレバーなどは
その喉元を飾る蝶ネクタイを連想させ、
艶やかなグリップパネルの反射光は、
地中海沿岸地方の人々に屡々見られる、
陽気さとは裏腹に翳り漂う眼窩の奥の
瞳に宿る鈍色の光と等質にも映る。
こういった類いの他愛ない空想が
銃を手にした刹那に駆け巡った直後、
私は毫も躊躇うことなく超論理的に
このベレッタの購入を決めたのだった。


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