SUN PATIO

My Collections, My Thoughts and Ideas

映画『森の向う側』

2011-06-25 | 身辺雑記帳
今から二十年ほど前にTVの深夜番組で見た映画のことが 長いこと気に掛かっていた。 舞台は雨の降りしきる海辺のリゾートホテル。 麗しくミステリアスな女性客、 闇夜のプールサイドのシーン・・・ 直ぐに思い出せるのはこんなところ。 作品のタイトルも出演者も何もかも一切不明のまま 十年の月日が経って、私は芦屋から東京に住まいを移した。 四年前、出演者の一人が突如判明した。 芸能通の知人が一冊の雑誌を私 . . . 本文を読む

壷にまつわる抄話

2011-06-12 | 神話、民俗学
「壷中天(こちゅうてん)」という不思議なことばがある。 読んで字の如く「壷の中にもうひとつの世界がある」という古代人の ユートピア思想の一端を示すが、それにしてもなぜ“壷”なのか? 魏・呉・蜀の三国時代が終焉したあと、晋(西晋)という国が建った。 隋や唐などの強力な政権が現れる前のやや混沌とした時代のことだ。 晋にいた葛洪という道教研究家が『神仙伝』という著書を残した。 その中に次のような神仙譚 . . . 本文を読む

おぼろなるものへの愛惜

2011-06-05 | ノンジャンル
 見わたせば山もとかすむ水無瀬川    ゆふべは秋となに思ひけむ   後鳥羽院  照りもせず曇りもはてぬ春の夜の    朧月夜にしくものぞなき    大江千里 日本人の美学の集約書ともいえる『新古今和歌集』からランダムに引用 してみたが、殊に第一巻「春歌」をつらつら眺めれば、 ほとんどが<霧><霞><雲>などの、おぼろの情感、かすみの美学を 詠いあげていることを発見する。 空がおぼろに霞んで、 . . . 本文を読む