月日は百代の過客にして、
行かふ年も又旅人也...
わが人生もまた宛ら旅の如くである。
今日まで八年余の歳月を
東京の都心部で過ごしてきた。
そして今度も不思議な縁に依って、
おそらくは梅雨の明けぬ前に再び
関西での暮らしに戻ることと相成った。
そこは二十世紀の最後の十数年間を
幾千の喜怒哀楽とともに過ごした土地。
東遷してよりの歳月が二年に及び、
更に四年が経ち、八年を経てなお、
何ごとか真率に . . . 本文を読む
前回の記事へのだいじそ氏のコメントを
拝読した際、諸々感じたことの備忘録である。
私が世の工業デザインに注目するのをやめたのは、
1980年代に入って暫く経ってからだった。
それ以前の時代、たとえばクルマで言うと
“ジャパン”までのスカイラインのデザインには、
(これは“ハコスカ”にも該当することだが)
コクピットに座す者すべてをナルシシズムへと
誘わずには措かない不思議な何かが在った。
“ケン . . . 本文を読む
中性的で妖艶なニッケルフィニッシュのM10。
たおやかさとしたたかさの共存するその佇まい。
このモデルを銃火器として意識するようなことは、
私に限っては皆無といってよい。
美しい銃は須らく去勢されねばならぬ。
ウイスキーのキャッチコピーではないけれども、
なにも足さずなにも引かず、完成されたフォルム。
緩やかに滑らかに先端部へと窄まりゆくバレルは、
水を掛けるや否や、するすると伸びてゆきそうな
錯 . . . 本文を読む