エゾ中村のブログ

「藤圭子」から「現代医学の功罪」まで、思いの丈を綴ります。 ・・・ From 北海道 ・・・

“ウポポイ” と「アイヌ新法」

2020-07-14 08:09:03 | “アイヌ文化”関連

7月12日、“ウポポイ”(民族共生象徴空間)が、北海道・白老町に“オープン”しました。 アイヌ民族の悲願が、120年の時を経て達成されたと思います。 『おめでとうございます』 「土人保護法」から「アイヌ新法」と、一歩前進しました。 しかし 手放しで喜べるのか、今後の政府対応を注視する必要があります。 オリンピック・パラリンピック開催を前提に、国連や世界に対する“一時しのぎ”の対策であれば“ウポポイ”も“アイヌ新法”も、一時の“宴”に過ぎません! 

国会で「アイヌ協会にアイヌの血を引く方は 2割しかいない」と、ある議員が証言しています。 それは事実です。 国勢調査で 北海道に住む“アイヌ民族”は、1万3000人程と激減しています。 それは、明治時代 軍国主義下の法律「土人保護法」による“同化政策”の結果です。 “先住民族”と認めず、野人に等しい“土人”として扱ったのです。 要するに、人間と見做していなかった! 
そこで 偏見・差別・虐めが 30万人ものアイヌ民族を、他県や国外に移住を強いたのです。 僅かに残ったアイヌ人は、生きる為に止む無く日本人と結婚し、血筋を繋いで来た。 それを「北海道に純粋なアイヌ人は少ない」とする政治家の“穿った神経”が問われます。 我々“北海道民”も、歴史の真実を見極める必要があります!

 

・・・ アイヌ新法 ・・・

< 目的 >
先住民族であるアイヌの人々が、民族として誇りを持って生活することができ、
その誇りが尊重される社会の実現を目指す。 すべての国民が人格と個性を
尊重し合いながら、共生する社会に資することを目的とする。

< 基本理念 > 
アイヌであることを理由に差別すること、その他の権利利益を侵害する行為を
してはならない。

< 責務 >
国や自治体は基本理念にのっとり、アイヌ施策を策定・実施し、国民の理解を
深めるよう努める。

< 民族共生象空間 >
アイヌ文化の振興等の拠点施設。 アイヌ指定法人への管理委託、料金徴収
も可能。

< アイヌ文化振興・環境整備施策 >
① 市町村が作成した地域計画に記載した事業に対する交付金。 ② 特例措置
(国有林の林産物採取の規制緩和、サケ捕獲に関する都道府県知事の配慮、
商標登録の手数料の軽減)

< アイヌ政策推進本部 >
施策の推進のため、関係大臣で構成。 内閣官房長官が本部長。 

・・・・・ 2019年 「新法案」を衆議院が閣議決定 ・・・・・

政府は 2020年度に成立を目指し、アイヌ民族の復権を進めると決めた。 最大のポイントは、政府が始めて アイヌを先住民族 と明記した事です。 まだスタートしたばかりの法案ですが、1899年に制定した「北海道土人保護法」から120年、余りにも遅すぎます! 果たして、アイヌ人に光明があるのか? 開設された民族共生象徴空間“ウポポイ”だけが強調され、アイヌ民族の権利である土地や漁業権の返還は、新法案には全く盛り込まれていません。 「鮭や山菜は 申請があれば採取を許して上げる」では、“旧土人保護法”と大差はありません!

このアイヌ新法は、一体 誰のものなのか? 思うに、“東京オリンピック・パラリンピック”で来日・来道する外国人に、日本は先住民族(アイヌ)に手厚い配慮をして来たと見せかける、政府側の安直なアピールと感じます。 おそらく 東京オリンピックの後は、アイヌ人に対する偏見・差別・虐めは、今までの様に復活すると思います! 今後とも 日本政府が、アイヌ民族に優しく接するとは、素直に考えられません。

我々北海道民は、昔から「返せ北方領土」と言うスローガンを聞き続けて来ました。 政府は、“北方四島”は日本の領土と位置付けていた筈です。 今になって、四島は“アイヌ民族”の土地と、方針転換する事は出来ないと思います。 それが、問題です。 ロシアは、150年前の蝦夷地侵略の経緯を知っています。 単に 北方四島は、第二次世界大戦(サンフランシスコ条約)で勝ち取った土地と言う、軽い認識では無い筈です。 サハリン(旧樺太)に住む“ロシア・アイヌ”と“蝦夷・アイヌ”は、元々同一民族なのは確かです。 日本が、アイヌ民族問題を解決しない限りロシアは、北方四島を返還するとは思えません。 要するに “北方領土問題”・“先住民族問題”は、日本政府の思惑で解決できる様な、単純な問題ではないのです!



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