車坂峠の麓の車の中で目を覚ましました。
時間を確認すると6時半です。
夜が明けて、うっすら明るい空が窓の外に見えます。
両肘を付いた半身の姿勢で峠を見上げると、山を灰黒色の雲が覆っていました。
そのまま横になって、もう一度毛布を被り、「どうしようか」とぼんやり思案しました。
昨晩、峠の下へ車を停めたのは、こんな状況も想定していたからです。
もし山が雨だったら、目的地を軽井沢植物園か信州大学志賀教育園へ変更することも考えていました。
しかし、判断を下すには時刻が早すぎます。
何度か峠を見上げて逡巡し、コンビニへ行って、朝食を手当しながら時間を潰しましたが、結局は諦めきれずに車坂峠へ上がって来ました。
峠の駐車場へ車を停めました。
ドアを開けて外に出ると、楚々とした風が肌寒く感じられます。
雲の合間から、時々小諸市街が垣間見えました。
昨晩の居酒屋でテレビが、長野県では、午後に向けて天気が回復する予報を伝えていました。
山に掛かった雲に少しずつ改善の兆しが見えるような気もします。
そして既に、私が今居る車坂峠の標高は1973mですが、目指す黒斑山は標高2,404mです。
えーっと、引き算すると431mとなりますでしょうか?
これってもしかして、高尾山へ登るよりも楽かもしれません。
それでも、「山を甘く見てはいけない」という先祖伝来の家訓を想い出して、8時頃まで様子を見ていましたが、そのうち、次々と山登りの客を乗せた観光バスが峠を上ってきました。
数十人もの団体の後ろを登ると、ちょっと面倒かもしれません。
山で渋滞なんてまっぴら御免の助です。
高度差400m強なら、何とでもなるでしょう。
団体客に背中を押されるようにして、急遽出発することにしました。
登山道を登り始めてすぐに、ニッコウキスゲとヤマブキショウマが出迎えてくれます。
ニッコウキスゲ ヤマブキショウマ
登山口に「黒斑山天然カラマツ植物群落保護林」の看板を目にしました。
そうなんです、北海道辺りではカラマツはありふれた樹木ですが、実は殆どが植栽林で、天然林は意外と少ないのです。
のんびりと山道を登って行きました。
さすがは花の百名山です。
シラタマノキやオトギリソウなどが次々と姿を見せてくれました。
シラタマノキ オトギリソウ
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