聖イトオテルミー学院グループ 曲梶支部 ブログ

創見者 伊藤金逸医学博士の教えをもとに、温熱刺激療法イトオテルミーの温もりと実(まこと)の健康生活の普及に努力します。

「セルフ・コンパッション」の実践法 ②

2021年07月15日 | イトオテルミー

「ザ・テルミー」 夏号 2021年(令和3年)

一般財団法人 イトオテルミー親友会会報 より抜粋

 

セルフ・コンパッシションの実践法 ②         令和3年7月

関西学院大学文学部教授 有光 興記 教授

実践法はいろいろありますが、簡単に温かい気持ちになれるお勧めの方法として、有光先生は「自分をハグすること」と「慈悲の瞑想」の2つを挙げます。

自分をハグする前に、まず「呼吸のマインドフルネス瞑想」を行い、精神を落ち着かせます。

「最初は周りに誰もいない静かな場所を選びます。疲れてくると集中しにくいので、慣れるまでは昼間のほうがいいでしょう。目をつぶって鼻でゆっくり呼吸します。鼻から出入りする空気の流れを感じて、その感覚に気づくようにします。途中でさまざまな考えや感情がわいてきたら、ただ気づいて手放します。そして軽く微笑んでみましょう。慣れてくれば満員電車の中などでも行えるようになります。毎日スマホを見て過ごす10分間を呼吸の瞑想に充ててみてはいかがでしょうか」

呼吸の瞑想で精神が落ち着いたら、次にハグをします。両腕を胸の前で交差させ、自分の体をぎゅっと抱きしめて、「今日もお疲れさま、よく頑張ったね」と言うだけでいいです。

もう一つの慈悲の瞑想は、「私が幸せにありますように」「私が健康でありますように」といった4つのフレーズを唱えるというものです。

自分のことを唱えるのが苦手な人は、尊敬や感謝を感じている恩人や親しい人を対象に「あなたが幸せでありますように」と唱えることから始め、対象の範囲を自分へと広げていくとスムーズに行えます。有光先生はさらに一歩進めて「嫌いな人や苦手な人まで瞑想の対象を広げると対人ストレスが減ります」と発想の転換を勧めます。「嫌いな人を全面的に受け入れ許すというものではありません。でも、その人も頑張っている人間の一人だと思って、幸せを願ってみるのです。一種のチャレンジ課題です」

 

うつや不安、緩和ケアまで科学的に実証されている効用

 セルフ・コンパッションの効用は、さまざまな研究によって科学的に裏付けられています。有光先生によると、ハグと慈悲の瞑想によって温かく幸せな気持ちになるのは、脳内でオキシトシンというホルモンが出るためだといいます。細胞の生死にかかわるテロメアという染色体の末端が、慈悲の瞑想を行うことで長持ちする、つまり細胞の老化を遅らせることも臨床研究によって証明されているそうです。

 また、アメリカで行われた慈悲の瞑想のプログラムによる臨床研究では、うつ病、統合失調症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の患者で高い効果があったことがわかっています。さらに、最近では緩和ケアへの適応の研究も行われています。

「今はコロナ禍のストレスから疲れを感じている人も増えています。1日の終わりに自分の体の状態に気づきを向けてみてはいかがですか。体をスキャンしていき、肩が重いな、胃が悪いなと感じたら、その場所に『いつもありがとう』と感謝して『これからもっと大事にするね』とやさしくいたわりの気持ちを送ります。身体感覚に注意を向けることで体の異変に気づきやすくなり、心と体の調整も上手くいくようになります」

このようにセルフ・コンパッションはポジティブな思考、やさしさや感謝、ひととのつながりを生み出します。セルフ・コンパッションを高めれば、私たちの毎日はもっと温かいものになり、生きやすくなるのではないでしょうか。

 

 

セルフ・コンパッションの実践法

(01)呼吸のマインドフル瞑想

  ①椅子か床に座り、背筋を伸ばして堂々とする。

   肩の力を抜いてリラックスする。

  ②目を閉じるか、1メートル先の床を見るように視線を落とす。

  ③口を閉じ、鼻でゆっくり呼吸する。鼻から出入りする空気の流れを感じて、その感覚に気づいていく。

  ④一瞬一瞬、変化していく体の感覚(お腹の動き、体の温かさなど)にやさしく気づいていく。

  ⑤過去の思い出や将来の不安が浮かんできたら、「思考、思考」「感情、感情」と、ただ気づいて手放す。痛みやかゆみなどの身体感覚も同じように、ただ気づいて手放す。

  ⑥今この瞬間に生じている体の感覚に気づきを戻し、軽く微笑む。

  ⑦「吸って、吐いて、手放し、微笑む」

 

(02)自分をハグする

  ①呼吸のマインドフル瞑想から入る。自分自身にやさしい気持ちを送る。

  ②両腕を胸の前で交差させ、自分の体をぎゅっと抱きしめる。

  ③少しの間、目をつぶって感覚を味わう。

  ④自分にやさしい言葉をかける。生じてくる感情に心を留める。

 

(03)慈悲の瞑想

  

①呼吸のマインドフル瞑想や、ハグに続いて行う。

  ②呼吸のリズムに合わせ、自分の幸せを願うフレーズ(4つぐらい)を一つ一つ、心の中でゆっくり繰り返し唱える。機械的に繰り返すのではなく、自分の願いで自分自身をやさしく包み込むように丁寧にフレーズを繰り返していく。

(例)「私が、安全でありますように」

   「私が、幸せでありますように」

   「私が、健康でありますように」

   「私が、安らかに暮らせますように」

    やさしく繰り返し唱える

  ③「やさしさ」や「温かさ」といったポジティブな感情に気づいたら味わってから、フレーズの繰り返しに戻る。何も感じないこともあれば、かえって過去の記憶がわき起こってくることもある。そんなときは、呼吸のマインドフル瞑想に戻り、できそうならまた慈悲の瞑想を行う。

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