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旦那さ~ん♪ お燗ですよ! - 根津雙柿庵のブログ-

燗番女将が綴る根津雙柿庵(そうしあん)公式ブログです
ご予約は03-3827-6117まで お待ちしております

手碾き(てびき)の蕎麦屋

2016年03月15日 | 蕎麦
当店では
そばがき、〆の蕎麦用の粉を
ご予約の都度 自家製粉しています
(さらしな粉を除く)

自家製粉、今では珍しく無いかも知れません
うぃーんうぃーんと臼が回る様子を
見掛ける機会が増えました
当店にも「うぃーん」が一台ありますが
主役は もう一台の手回しの石臼
ぐるぐる ぐるぐる
旦那さんが石臼を回して
蕎麦粉を碾いています

「じゃ、今から粉碾いてくる」と言って
防塵マスクを装着し 打ち場へ入り
ゴロゴロぎぃ~ ゴロゴロぎぃ~……
一時間半ほど経って
粉まみれで打ち場から出てくると
マスクを外した顔は上気し 玉のような汗
「お疲れ様!汗流してきたら?」と声掛けるも
「今のは下碾きだから、まだ続きが」
と また打ち場へ

ゴロゴロぎぃ~、ゴロゴロぎぃ~、
シャッ シャッ シャッ
ゴロゴロぎぃ~、
シャッ シャッ シャッ

碾いた蕎麦粉がフルイに掛けられていきます

「お疲れ!少し休んだら?」
「うん、でもそばがき用の粉も 碾かなきゃ」

力さえあれば
手伝える事なら手伝いたいのですが
臼も ただ回しているのではないとのこと
電動でなく 手で碾く事にこだわるのは
さまざまな微調整がきくからだ、といいます

数時間 臼に向かい
一定のリズムで
ただただ無心に
精神を集中させながら

その時間の中で
この蕎麦を どんな粉に仕上げようか
どんな蕎麦に 打ち上げようか
根津雙柿庵を どんな店にしていこうか

そんな旦那さんの
蕎麦に対する真摯な姿に
身内である私も心打たれます

懐石でも飲み屋でもなく
「うちは蕎麦屋です」と
胸を張って言い続けていきたい
そう思っております

新蕎麦

2015年12月16日 | 蕎麦
〆のもり、常陸秋そばが
先日 新蕎麦に切り替わりました

ねかせてぐっと味乗りした蕎麦も魅力的ですが
新蕎麦の持つ
摘みたての山菜のようなさわやかさ
透明感、みずみずしさは
毎年この時期だけの楽しみ

川田さんに感謝です

湯もり

2015年11月13日 | 蕎麦
夜は だいぶ冷えて参りました
そろそろ 温かい蕎麦が恋しい季節かと…

「かけそば」とは異なる「湯もり」

蕎麦湯に浮かべたあつあつの蕎麦を
もりそばのように
猪口に入ったつゆに浸けて手繰ります

そばがきのように 食感は ほわほわ
時間との勝負!
のびない内に ハホ ハホッと手繰れば
口いっぱいに蕎麦の風味と
つゆの香りが広がります

〆のもりそばから ご変更頂けます
メニューに載せておりませんが
お気軽に女将にお申し付けください

蕎麦畑

2015年10月09日 | 蕎麦


当店の〆にお出ししている蕎麦は
下館 (現 茨城県筑西市) の契約農家
川田さんが有機栽培で育てられている
「常陸秋そば」です

可憐な白い花が一面に広がる蕎麦畑を
今年も川田さんに ご案内頂きました

先日の記録的な大雨の被害は
なんとか一部にとどまったそうです

すうっと伸びた蕎麦にみのった実が
無事収穫の日を迎えられるよう
この先大きな台風が来ぬよう
祈るばかりです

どんな方が どんな土地で
どんな風に どんな想いで育てたか
それを知り得る事は
食材の安全・安心の面だけでなく
お出しする際の
私達の気持ちにも影響します

ですので 毎年この機会を
とても大事に楽しみに思っています
実はもうひとつ…

奥さんと息子さんが用意してくださる
テーブルいっぱいの豪華な手料理!
これがもう 楽しみで楽しみで…!!!
大家族のような雰囲気に
お酒もすすんで大盛り上がり

心もお腹も すっかり充たされて

川田さん、今年もありがとうございました
新蕎麦、楽しみにしています!

~蕎麦畑から筑波山を臨む~


蕎麦汁小考3…「かえし」考(1)

2012年07月10日 | 蕎麦

「かえし」概論

「かえし」とは、 蕎麦汁の材料のうち、基本的には、濃口醤油と砂糖を混ぜ合わせたものをいいます。 これに味醂を加えている店が大多数です。

他の材料を加えたり、引いたりして、独自の味を作る店もあります。 しかし、基本的な線は変わりません。

この「かえし」に出し汁を合わせて蕎麦汁(辛汁・甘汁)をつくります。

関東の蕎麦屋のほとんどが、「かえし」を使って蕎麦汁を作る方法をとっています。

考え方としては、汁の《元》ととらえれば、解りやすいでしょうか。

「かえし」の利点と効用

〇味の強化

醤油に砂糖を混ぜる事で醤油のキツサを和らげ、同時に旨味を強化する利点があります。 「かえし」はある程度寝かせます。 熟成させる事で、醤油と砂糖は一体となり、角がとれ、当たりが柔らかくなります。 蕎麦と馴染みやすい汁を作る事が出来るのです。

〇保存性の向上

砂糖を混ぜる事で防腐効果があります。床下の様な場所に置けば、暑い時期でもある程度の期間なら大丈夫です。

〇汎用性と利便性

「かえし」を元に、天つゆ等の、色々なつゆを作る事が出来ます。

一度に量を仕込む事も可能であり、汁の《元》が常にある事で、時間およびコストを短縮する事が出来ます。

欠点がない訳でもありません。

ある程度の量を仕込んだ方が味も作業効率もいいのですが、予定通りにはけないと、保存性があるとはいえ、大量に仕込んだものが味の変質及び劣化する事となる危険性がないとはいえません。

その店に合う、より美味しい蕎麦汁を安定して作るには、「かえし」は非常に重要です。 更に考えていきたいと思います。