旦那さ~ん♪ お燗ですよ! - 根津雙柿庵のブログ-

燗番女将が綴る根津雙柿庵(そうしあん)公式ブログです
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手碾き(てびき)の蕎麦屋

2016年03月15日 | 蕎麦
当店では
そばがき、〆の蕎麦用の粉を
ご予約の都度 自家製粉しています
(さらしな粉を除く)

自家製粉、今では珍しく無いかも知れません
うぃーんうぃーんと臼が回る様子を
見掛ける機会が増えました
当店にも「うぃーん」が一台ありますが
主役は もう一台の手回しの石臼
ぐるぐる ぐるぐる
旦那さんが石臼を回して
蕎麦粉を碾いています

「じゃ、今から粉碾いてくる」と言って
防塵マスクを装着し 打ち場へ入り
ゴロゴロぎぃ~ ゴロゴロぎぃ~……
一時間半ほど経って
粉まみれで打ち場から出てくると
マスクを外した顔は上気し 玉のような汗
「お疲れ様!汗流してきたら?」と声掛けるも
「今のは下碾きだから、まだ続きが」
と また打ち場へ

ゴロゴロぎぃ~、ゴロゴロぎぃ~、
シャッ シャッ シャッ
ゴロゴロぎぃ~、
シャッ シャッ シャッ

碾いた蕎麦粉がフルイに掛けられていきます

「お疲れ!少し休んだら?」
「うん、でもそばがき用の粉も 碾かなきゃ」

力さえあれば
手伝える事なら手伝いたいのですが
臼も ただ回しているのではないとのこと
電動でなく 手で碾く事にこだわるのは
さまざまな微調整がきくからだ、といいます

数時間 臼に向かい
一定のリズムで
ただただ無心に
精神を集中させながら

その時間の中で
この蕎麦を どんな粉に仕上げようか
どんな蕎麦に 打ち上げようか
根津雙柿庵を どんな店にしていこうか

そんな旦那さんの
蕎麦に対する真摯な姿に
身内である私も心打たれます

懐石でも飲み屋でもなく
「うちは蕎麦屋です」と
胸を張って言い続けていきたい
そう思っております