olatissimo

この島で生まれた息子はなんと中学生。ほぼ育児日記です。

『ピアニストの・・・』 (3)「良い耳」の育て方

2019-06-16 | 読書メモ
覚え書き、第3弾。

 

どうすれば「良い耳」になるのか。

元々絶対音感が備わっていたり、
聴覚が過敏であったり、
先天的な能力を持つ場合もあるでしょうけれど、
そうではない普通の人であっても
良い耳を育てることはできるそうです。

この本に書かれている「良い耳の育て方」は、

●良い音楽を沢山聴く
●幼少期に楽器をはじめる(そして続ける)

ということです。
ま、常識的な結論ですよね。


幼少期云々に関しては、
「7歳までに始めると聴覚野の神経細胞が多くなる」説や
「音感は9歳で決まる」説などもありますが、
「聴覚野は成人後も発達する」という説もあり、
実際、4~8時間のトレーニングで、
アマチュアも、プロと同じくらい細かく
ピッチの違いを認識できるようになる
という実験結果があるらしいです。

ただし、その能力は一時的なものなので、
コンスタントにトレーニングを続ける必要があるとのこと。

子どもの発達に比べたら
大人の成長は微々たるもので、
しかも定着率悪そうですけど、
それでも、「やらないよりはマシ」「継続は力なり」
ということなんでしょうねー。



また、加えて重要なのが、

●実際に自分で楽器を演奏する

ということです。


「同じ量の音楽を聴いていても、
受動的に聴いているだけでは不十分で、
能動的な聴体験、
つまり自分自身で楽器を鳴らして
聞こえてくる音楽を聴く方が
聴覚野の神経細胞の働きを一層良くするのです。」


これも、常識的に納得できます。

それほど努力しなくても
気にしている音は、耳に入りやすい。
好きなら尚更、
細かい音の違いまで聞こえてくるでしょう。
が、さらにその上に
能動的に努力しなければ聞こえてこない領域がある
ということなんですね。

「自分でやってみる」ことの大切さは
音楽に限らない。

スポーツでも、語学でも、絵でも
お茶、お花等々の芸事でも、
人の活動や演奏や作品を享受するだけというのと、
下手でも何でも兎に角やってみるのとでは
得るものが全然違うと思います。

やってみると、
見ているだけでは気付かなかったことに気付く。
すると、その道の一流の人がやることを見た時、
より多くの気付きがあり、より楽しめます。

私の母は、歳をとってから水泳を始めて、
以来、世界選手権の選手の泳ぎなどを
感嘆しながら見るようになりました。
(今までスポーツには全く興味がなかったのに!)
興味が無いときは
ボーッと見るだけだったのが、
腕の動き、足の動かし方、ターンの仕方など
見ていて飽きないそうです。


ただ、楽器は、
歳を取ってから新しく始めるのは
ハードルが高いですよね。
(オカリナや大正琴や合唱はよく聞くけど・・・)

私が、ぼちぼちでも
子どもと一緒にピアノを続けていられるのは、
多少でも子どもの頃に習った経験があるからだと思います。


この本には、「昔取った杵柄」というタイトルで、
こんな風に書いてありました。

「幼少期に頑張って練習すると、
その経験は脳の中に潜んでいて「変化しやすい脳」になり、
大人になってからでも
少しの練習で大きな効果が得られるようになるのです。」


実は、ここ(p.73)で挙げられている例は
私としては「???」なんですが、
でも、結論だけ見ると
「まあそうだろうね」と思える内容。

(・・・いや、「昔取った杵柄」の話をしたいなら、
ピアニストと非音楽家を比べるのではなく、
現在は音楽に縁がないが幼少期にピアノを習っていた人と、
一貫して音楽に縁のなかった人とを比べるべきでしょう。)


昔取った杵柄が無いと、
歳をとってから新しく楽器をはじめるのは
かなりハードルが高い。

でも、だからこそ、
それでも果敢に挑戦している方々を見ると、
心から偉い!素晴らしい!と思えるのです。
(息子のチェロ教室にいらっしゃいます)

それが出来る人は、
本当の意味で気持ちが若々しいんだろうな。


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