olatissimo

この島で生まれた息子はなんと中学生。ほぼ育児日記です。

『ピアニストの・・・』(2)求められる「耳の良さ」のレベル

2019-06-14 | 読書メモ
覚え書き(2)
 
★「耳の良さ」とはどういうことか

私は、大人になってから
弦楽器をやってみたのですが、
調弦や音階で「正しい音をとる」だけで
満身創痍でした。

分かる人(先生)は
なぜ分からないのか理解できないようで、
「ピアノをやっていたなら分かりますよね?」
と簡単に仰る。

いやいや…
ピアノは、鍵盤さえ間違わなければ
ネコが踏んでも正しい音が出るんだもの。
私は、気をつけて音を聴いた事など無い。
私にあるのは、大雑把な相対音感だけ。


「聴こうと思って音に集中すれば
 誰にだって分かりますよ!
 よく聴いて、自分の耳で音を直して。」

そう言われても、雲をつかむ思い。
絶望感でいっぱい。
チューナー、大好き。

弦楽器は、子どものうちに経験するとしないとでは
天地ほどの隔たりがある(凡庸な耳の持ち主はね)
と悟った私は、
「子どもの習い事は、とりあえず弦楽器」
と心の中に太書きしたのです。


ところが。


ここ数年、ピアノの先生と話すうちに、
私は衝撃の事実に気付いたのです。

どうやらピアノでは、私が弦楽器で悩まされた
「ヘルツの違いを聞き分ける」どころではないレベルの
「耳の良さ」が求められるようだ・・・!
ヘルツの違いではないのだから、
チューナーも助けてはくれない。

ピアニストに求められる「耳の良さ」のレベルは、
この本の表現を借りれば、
「同じ鍵盤を、ゆっくり2回押さえた時の
微妙な音色の違いを聞き分けられる」
というもの。

ヘルツ(音の高低)は同じ。
音量(音の大小)も同じ。
でも、ピアニストは、音色(おんしょく)が違うと言う。

「音色」は、鍵盤へのタッチによって変わると言います。
で、タッチは、気持ちの入れ方?で変わってくる・・・らしい。
例えば、同じ音でも、#系の一音と捉えるか
♭系と捉えるかで音色が変わってくる、と。

楽譜上では同じ音でも、
#系と♭系、メジャーとマイナー、
下降音階と上昇音階で
音が違うということは
弦楽器でも言われたことがありますが、
弦楽器では実際に音の高低が
わずかに変わる(ものもある)ので、納得しやすかった。

でも、ピアノで?
音、変わるの・・・???


実は、ピアノの「音色」については
歴史的に長い議論があり、
ピアニストや指揮者は「変わる」と言い、
音響学者は物理学の観点から
「理論的に不可能」と言っていたそうです。

その「微妙な違い」が、ようやく近年、
倍音の特徴により証明されたらしいのですが、
ともかく、それくらい微妙な違いを
聞き分けるのがピアニスト(そして指揮者)なんですって。

「物理的に不可能ですけど?」と言われても、
「変わるもんは変わる!実際、変わってるじゃないか!
と、あくまで主張を貫いた
ピアニストや指揮者って・・・

すごい!!!



★「音を聴く」ことに関する脳の仕組み(本の記述より)

●聴覚野の「ヘッツェル回」
(音の情報を処理するための神経細胞)
の大きさ、機能ともに、プロの音楽家は
音楽の訓練を受けたことの無い人の2倍以上大きい。
(アマチュア音楽家はその中間くらい。)

聴覚野の神経細胞が多い人の方が、
メロディやリズムを正確に感じとる。

音を聴いた時の反応は、
普段よく聴いている(弾いている)楽器の音色に対して
特別によく反応する。


●非音楽家の場合、音の情報を処理するのに、
ある細胞が活動している間、別の細胞は活動していない。
しかし、演奏の訓練を積むと、
神経細胞同士が活動するタイミングがそろってきて、
一斉に活動するようになる。
「耳が良い」とは、
脳が、より素早く音の情報を処理できるということでもある。


次は、「良い耳」はどうしたら育つか、ということについて。


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