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この島で生まれた息子はなんと中学生。ほぼ育児日記です。

『ピアニストの脳を科学する』(1)フォーカル・ジストニア

2019-06-11 | 読書メモ
『ピアニストの脳を科学する』の覚え書き。

 

暗譜や初見のメカニズム
(使用する脳の部位、ワーキングメモリや周辺視など・・・)、
演奏(打鍵)において重要な
脱力や省エネの意味(筋肉の使い方)、
ピアニストのかかりやすい疾病、
タッチの差で本当に音色は変わるのか・・・などなど、
分かりやすく書かれていました。

練習中、疑問に思うことや
先生がレッスンでよく仰ることばかり。
簡単に分かりやすく根拠が示されているので、
読みやすく、なるほど、と思いながらサラッと読めました。

(説明が簡単過ぎて、論拠や検証に疑問が残る部分もあったけど)

(かといって、専門家向けの書き方をされると、
 素人には理解できないだろうし・・・。
 こういう本って、書く方は難しいだろうな。)


中でも印象に残ったのが、
「フォーカル・ジストニア」という病気。
初めて知りました。

腱鞘炎のように神経と筋肉の不具合から起こるのではなく、
脳に原因があるとのこと。

痛みはないのだけれど、
意図せず手指の筋肉が固まったり、丸まったり、
動かそうと思っていない指が動いたりするなど、
思い通りに手指を動かせなくなる病気なんだそうです。

その特徴は、以下のようなものです。

●日常生活では何事も起こらないが、
 ピアノを弾こうとすると、途端に症状が現われる。

●弦楽器奏者の左手や、
 管楽器奏者の口の周りの筋肉でも発症する。

●弦楽器奏者の右手(弓を持つ方)には現われない。
 (精巧な動きを、速く正確に行う反復練習で
  酷使されている部位にだけ起こる)

●多くは、自分が長年本気で練習してきた楽器を
 弾くときにのみあらわれる。
 似たような楽器でも、
 自分が本気で取り組む楽器以外だと症状が出ない
 例えば、クラシックギターでは指が固まるが、
 エレキギターだと症状が現われないなど、
 限定的に症状が現われる。

●クラシックの奏者には多いが、
 ジャズの分野ではほとんどない
 (「楽譜通り正確に」というプレッシャーがないためだと思われる)


10本の指を使うピアノは
その酷使度合い、反復度合いは
群を抜いているので、
ピアニストの超絶技巧と
フォーカル・ジストニアとは
表裏一体のものなんだそうです。

練習時間が長い人(=上手い人)ほどかかりやすいという。
なんともやりきれない病気・・・。


それにしても、
「クラシックギターでは発症するけど
 エレキギターでは発症しない」って!

ピアニストの場合、電子ピアノだと大丈夫なのかな?
ヴァイオリニストだと、エレキ ヴァイオリンはOK??

人間の脳って面白い。


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