olatissimo

この島で生まれた息子はなんと中学生。ほぼ育児日記です。

子ども(小6)へのお勧め本

2019-01-17 | 本とか
友人が、「面白いよ!気に入ると思う!」と
息子のために貸してくれた本。





この友人が息子に勧めてくれる本は
大当たりのことが多くて。

幼稚園の頃に勧めてくれた『けんたうさぎ』は、
今もたまに読み返しては

「この本、大好き!
 ぼくのことが書かれてるみたい。」

と言わずにはいられない息子の大ヒットです。



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さて、『異国トーキョー漂流記』です。



著者といろんな外国人との交流を
描いた本なんですけどね、
まあこれが面白い。

まず著者自身が面白い。

のっけから、大学の探検部で
コンゴに幻の怪獣を探しに行くとか、
小学生男子が飛びつきそうなこと・・・
いや、小学生男子からも呆れられそうなことを
大真面目にやっている。


(そのために東京在住の、暗黒舞踏をやってるフランス人に
 フランス語を学ぶという話につながるんだけど・・・)

(私が大学時代に行っていたオイリュトミー講座は
 暗黒舞踏系の笠井叡さんが先生だったので
 なんか懐かしくて親しみが持てた^^)

(・・・と思い出して検索したら、
 写真が出てきて、記憶の中の笠井さんとは違う
 お年を召したお顔で、ビックリ!
 いや、もう20年経ってるんだから当たり前なんだけど。
 そして今も世界で踊っていらっしゃることに
 二度びっくり。さすが!!
 きっと、動いたら歳なんて感じないんだろうな。
 というか、歳がすごみ?となって、
 更にすごくなっているのかも・・・ ←この日本語の貧弱さよ


面白い人は面白い人を引き寄せるのか、
登場人物がみんな個性的で、
一つ一つのエピソードがいちいち面白くて
息子と二人で大笑いしながら読んだのですが、
その中に、コンゴ人とフランスとの関係を物語る
エピソードがありました。

コンゴのエリート、ドンガラ兄さんの言葉は、
息子がアルジェリアのプリンセスに聞きたかったこと
「フランスが嫌いで追い出したのに、
 なんで今もフランス語を話すの?」

のヒントになるな、と。

コンゴもアルジェリアも、フランスの植民地でしたからね。

楽しく笑いながら読める本なんだけど、
しっかり考える材料も与えてくれています。


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私が一番深く心に残ったエピソードは、
スーダンからやってきた全盲のマフディの話ですね。

彼は日本に来てから野球を知り、大好きになった。
もちろん見ることはできない。
ラジオ中継で知り、あの独特の興奮に魅せられ
夢中になった。

(息子の共感ポイント。
 息子も、ラジオの野球中継アナウンサーに憧れている。
 TVとは違う、あの職人芸的なアナウンス!
 将来に備えて、という名目をつけて、
 息子は日々、妄想の試合でラジオ中継の練習をしています。←かなりうるさい


マフディは日本語を
ラジオアナウンサー(野球中継)から学んだので
(あれが聞き取れるって!)、
丁寧な会話もくだけた喋りもできるようになった。
マフディの日本語には訛りのカケラも無いという。
目が見えないぶん、
聴覚が研ぎ澄まされているのかな。
にしても、素晴らしい。


著者は、マフディがなぜ
見たことも無い野球を理解できるのか不思議だった。

でも、よくよく考えれば、
人間、見たこともないものを想像し、
ワクワクすることができるのは当たり前だ
ということに気付く。

人間は、言葉と想像力で「見る」ことができる
それが、著者がマフディから学んだこと。



マフディの記憶力は抜群。

野球に関しては、各球団の選手の最近の成績から
得意なコースや球種までそらで覚えている。
松井がメジャーに行ってからは、
メジャーの情報もカバーするようになった。

勉強もよくできる。
日本滞在5年目にして
東京外大に「一般入試」で入学。
ちゃんと国語も日本史も、
日本の学生と同じように日本語で受けたってこと。


すごいよね!



私は、この本の登場人物の中で
マフディが一番好き。

人が好きで、おしゃべりで、
屈託無く明るい感じが素敵。
加えて、賢い。すごく頭が良い。
語学能力と記憶力は天才的。
彼にかかると、ハンデがハンデではなくなるよう。



息子にもその傾向があるから親近感が湧くんだろうな。

(能力の優秀さはさておき)

(そこ、似てほしいんだけどな~)


彼はその後、どんな人生を送っているのだろう。
気になる。
幸せな人生であってほしいな。



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それにしても、この著者の語学力、実はすごい。
全く「すごい」ようには書いていないんだけど、
絶対すごいに違いない。

手探り叩き上げみたいな語学学習なのに
いつの間にか文学本一冊訳して出版するくらいの
語学力がついていたりする。
(書かれていないだけで、
 かなりの地道な努力があるんだろうけど)


フランス語(コンゴ共通語)、リンガラ語(コンゴ現地語)、
スペイン語(アマゾン探検のため)、
アラビア語(フセイン政権下のイラク居住体験のため)
タイ語(チェンマイ大学で教えていた)、
中国語(タイに陸路で行くため)・・・


著者、相当な変わり者だと思うけど、
頭もいいんだろうな。ある意味。

(他人だから笑ってられるけど、
 これが身内だったらちょっと笑えないというか。
 だって、もし息子がこんなこと言い出したら、
 「アホちゃう?」と心の底から吐き出して、深い溜息をつくはず。
 あ。リアルに想像できちゃった・・・)


ともあれ、この本を読んで、
言葉は新しい世界への扉だなぁとつくづく思いました。

その言葉を使って何を得るかは、その人次第だけどね!


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