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今まで、宇宙についての話題を中心に展開してきましたが、今後は科学全般及び精神世界や歴史についても書き込んでいきます。

「宇宙の法」を握る幾何とM理論

2013年03月04日 | 素粒子

  「カラビ=ヤウ多様体」という数学的に美しい幾何学模様に魅せられて、ついつい「E8理論」と呼ばれる理論の「幾何学的美しさ」に心を動かされてしまいました。
ここでまた、カラビ=ヤウ多様体に戻って、数回に分けて「ミラー対称性」と「T双体性」について記述します。

 超弦理論とM理論に関して、物理学者が私たちの4次元世界の物理を説明する際に、11次元的見方でなく10次元的見方からの方がより成功を収めている。
その大きな理由として、ひも理論やM理論、および宇宙論から現実的な物理を導く上で、カラビ=ヤウ多様体はどうしても切り離せない関係になっている。
少なくとも現段階では、すべての道筋がカラビ=ヤウを通っているように見え、「宇宙の法」を握る幾何、マスタープランが存在する空間だと考えられている。
6次元多様体のカラビ=ヤウ多様体は、複素多様体の次元が偶数でなければならない。
そのため、複素多様体の方がずっと行儀がよいので、理解するのもはるかに簡単で、取り扱いもはるかに容易だ。

 超弦理論は、I型、IIA型、IIB型、ヘテロSO(32)、ヘテロE8×E8と呼ばれる5つの異なるバージョンに発展してしまったのですが、これらの5つのバージョンを統合するのがM理論でした。
そして、M理論は特にIIA型超弦理論の強結合極限として定義され、さらにこれらすべての超弦理論が双対性によって互いに繋がっていることが示唆されたため、超弦理論よりも根源的な理論と考えられている。

 しかし、現時点ではM理論は超弦理論より更に未完成であり、現実の物理法則に合致するものも得られていないため、最終的に物理理論として成立するか不明瞭である。
そのため、数学的な仮説の段階だとも言える。
また、M理論を超弦理論よりも深遠な理論であるとすることに疑問を持っている研究者も少なからずいるようで、M理論を定式化するにあたっての特に大きな問題は、2次元の膜を量子化する方法が分からないことである。

 M理論における取り組みのほとんどは、間接的なルートで11次元から4次元へコンパクト化することに絞られている。
はじめに11次元時空を、10次元時空と1次元の円の積として扱う。
そして、この1次元の円をコンパクト化して半径を微小に縮め、10次元を残す。
次にその10次元を取り上げて、通常のようにカラビ=ヤウ多様体上にコンパクト化し、私たちの世界の4次元へと減らす。
だからM理論でも、やはりカラビ=ヤウ多様体が中核をなすことになる。

 このような方法は、ヘテロティツクM理論と呼ばれている。
その理論は、観測可能な私たちの宇宙はブレーン上に存在しているという、膜宇宙と呼ばれる概念の誕生に影響を与え、また初期宇宙に関する代替理論も生み出している。
少なくとも現段階では、すべての道筋がカラビ=ヤウを通っているように見える。
ひも理論やM理論、および宇宙論から現実的な物理を導く上で、カラビ=ヤウ多様体はいまだに、「宇宙の法」を握る幾何、マスタープランが存在する空間であり続けている。

 それゆえ、スタンフォード大学の物理学者でひも理論の創始者の一人であるレオナルド・サスキンドは、カラビ=ヤウ多様体は単にひも理論を支える構造や足場でなく、
「ひも理論のDNAだ」
と言っている。


 物理を導く上で、カラビ=ヤウ多様体はどうしても切り離せない関係になっている。
その理由を追ってみよう。

 1980年代後半には多くの物理学者が、物理学におけるカラビ=ヤウ多様体の役割は終わったと感じていた。
トラブルの兆候が現れはじめたのは、量子の舞台において共形不変性を保とうとした場合に関するひも理論の研究からだった。
しかし、グリーンとプレッサーがまもなく、ミラー対称性と呼ばれる考え方に対してきわめて重要な貢献を果たし、カラビ=ヤウ多様体を生き返らせて、眠気を誘うような幾何学の一分野を復活させた。

 グリーンは当時、カラビ=ヤウ多様体の数学的基礎に関する専門知識をもっており、共形場の理論に関する知識も豊富だった。
そんなグリーンが、大学院生のプレッサーやディストラーなど、やはり共形場の理論を研究する物理学科のメンバーと議論を始めた。
ディストラーとグリーン、そしてそれと独立にゲブナーは、さらに具体的に、多様体の大きさと形状が正確に定まっていれば、一組の関数として相関関数をすべて計算でき、それをすべて考え合わせると共形場の理論を完全に特徴づけられることを見いだした。

 ゲブナーモデルとカラビ=ヤウ多様体の関係性が固まったのを受け、グリーンは一九八九年に、さらに先へ進もうとプレッサーとタッグを組んで、完全にコントロールでき、しかも完全に理解できている場の理論を使って、きわめて複雑な[カラビ=ヤウ]幾何を解析するための、強力な道具を手にすることになった。
二人は、ゲブナーモデルにある回転対称操作を施したところ、場の理論の性質は何一つ変化しなかった。
しかし、同じ対称操作をカラビ=ヤウに施すと、幾何だけでなくトポロジーも異なる多様体が導かれた。

 つまりその対称操作は、カラビ=ヤウのトポロジーは変化させるものの、それに伴う共形場の理論には変化を与えない。
そのため、異なるトポロジーをもつ、二つのカラビ=ヤウ多様体が、同じ物理理論と結びついていることになる。
要するに、それがミラー対称性で、一見したところ関連性のない二つの物体(この場合はカラビ=ヤウ多様体)が同じ物理を生じさせる、「双対性」と呼ばれるものでもある。



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