仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

【昔の手帳から】 2月18日 (80年:慶應文 受驗、83年:花房晴美)

2012-02-18 00:01:00 | 昔の手帳から
【1980年】(浪人)

慶應 文

月曜日。

慶應の文學部を受驗。
9:30から英語が2時間、午後は13:00から世界史が1時間、14:30から小論文が1時間半。
前日、武藏小杉にある、高校山岳部同期のクサカの部屋に泊めて貰つたお蔭で、朝はゆつくりできた。
浪人して初めての受驗だつたので始まるまでは少し緊張したが、いざ始まつてみるとすぐに集中することが出來た。
苦手の數學がないので、終つた時點で、これなら大丈夫かなと思つてゐた。




【1981年】(1囘生)

ミヤシタ クルマでクラマ

水曜日。

ミヤシタは高校の同級生で、私より1年先に同じ大學に入學してゐた。
彼は私と同じ岩倉に住んでゐたので、時々私の部屋に遊びに來た。
今囘も、前日の夜11時頃、ひよつこりと現はれた。
彼は、高校時代に引續き大學でも自動車部に所屬してゐて、ラリー仕樣のランサーに乘つてゐた。
私はラリーの何たるかを知らなかつたので、説明して貰つたのだが、いまひとつ理解出來なかつた。
するとミヤシタは、「ぢやあ、雰圍氣を味ははせてあげよう」と云ひだした。
外は雪が降つてゐる。
イヤな豫感がしたのだが、彼のクルマは北へ向つて走り出した。
クルマでクラマ・・・
鞍馬を越えるとヘアピンやS字カーブが連續するところがある。
それをカウンターをあてて尻を振りながらクリアしていく。
「わかつた、もういい、頼むから歸つてくれ」
要するに、定められた時間で計測ポイントを通過するためには、どんな状況であらうとスピードを保持する必要があるといふことらしい。
ああ、怖かつた・・・




【1983年】(3囘生)

18:30 阪急梅田驛 改札口附近
花房晴美:ベートーヴェン ソナタ111 + シューマン「子供の情景」
安川加壽子:ベートーヴェン ソナタ17「テンペスト」 + シューマン「子供の情景」
ホンダ¥10,000 貸

金曜日。

Hと一緒に聽きたいと思つて、12日に 花房晴美 のリサイタルのチケットを買つた。
大御所・ 安川加壽子 とどちらにしようか少し迷つた。
30歳の若手ピアニストと60歳の大御所、どちらも捨てがたい。
しかし、結局、 作品111のソナタ が決めてになつた。
テンペストも好きな曲だが、 作品111 は、 鴫原先生の英語の試驗 のお蔭で好きになつた曲で、ベートーヴェン最後のピアノソナタ。
是非、實演で聽いてみたいと思つたのだつた。

會場は確か厚生年金會館中ホールだつたやうに思ふが、自信はない。
作品111は、冒頭の減7和音(Diminished 7th chord:これは英語の試驗で覺えた)が印象的なので、最初から集中を強ひられる。
花房晴美はここをかなり鋭く彈いた。
そして、少々、性急な、前のめりな感じがしたのを覺えてゐる。
あとは曲のおもむくままに音樂が流れて行つたやうな感じ。
2樂章の「天國のトリル」の印象も殘つてゐない。
ただ、聽き終へて私はかなり感動した。
これは、花房晴美の演奏が良かつたのか、そもそも曲が素晴らしいからなのか、私にはわからない。
「子供の情景」についてはまつたく記憶がない。
歸りし、Hと話をしたのだが、彼女は作品111の演奏が氣に入らなかつたらしい。
音樂を演奏する立場から聽くと、おのづと演奏の受け止め方は變はるのだらう。
喜んで貰へなかつたのは殘念だつた。
安川加壽子にしておけば良かつたかなと云ふ思ひが少しよぎつたが、「我、事に於て後悔せず」だと自らを戒めた。




【1984年】(4囘生)

ラック購入。

土曜日。

一瞬、オーディオラックかなと思つたのだが、そんな洒落たものを買つた記憶はない。
たぶん、生協で賣つてゐるスチール製の7段ラックだらう。
大學入學時に1つ買つたのだが、本が増殖してしまひ、卒業する時には4つになつてゐた。
この時點までに3つ、あと1年で1つ。
勘定は合ひさうだ。







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