仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

【ことば】  「努」

2011-03-27 01:25:23 | ことば
學生の頃、塾の講師をしてゐた。
いま唐突に思ひ出したのだが、父兄面談をしてゐて襃められたことがある。

その子は、國語が苦手といふか、國語を學ばうといふ意欲に缺けてゐた。
さういふ子供は結構多い。
ほかの教科と違つて、國語は毎日使つてゐるので、ことさら勉強しようといふ氣にならないのだ。
私自身さうだつたので、その氣持ちはよくわかる。

あるとき、努力することは大事なことだ、などといふ話題になつた。
努力することは簡單なことではない。
それは、ひとつの才能だと云つてもいい。
しかし、それを小學生に傳へることもまた難しい。

だからといふわけでもないが、努力の「努」の字は、「女の又に力をいれる」なのだと教へた。
小學生の男の子は、かういふエッチな雰圍氣のことが樂しくて仕方ない。
私自身さうだつたので、その氣持ちはよくわかる。
それ以來、よほど氣に入つたのか、彼は自分なりの覺え方を考へるやうになつた。

それはそれでいいことだ。
漢字を丸呑みするより、どれだけ樂しく漢字を覺えられるか、それだけでずゐぶん違ふものだから。
しかし、赤面することが起つた。
その彼の親との父兄面談の時、親が云つたのだ。
「先生、女の又に力をいれる、といふのはいいですね。」
「は?」
「お蔭で、○○(生徒の名前)は國語が好きになつたと云つてます」

をいをい、ノジマくん、親に話すなよ。
恥づかしいぢやないか。
でも、女の子の親から抗議がなくて良かつたなあ・・・





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