仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

マウリツィオ・ポリーニ逝く

2024-03-24 06:05:00 | クラシックはいかが
 
マウリツィオ・ポリーニが亡くなった。
82歳だった。 

2010年10月にサントリーホールで聴いたベートーヴェンの最後のソナタが忘れられない。
今から思えばまだ68歳だったんだなぁ。
巨星墜つ。
合掌。

以下は当時書いたブログから一部引用。

32番。
これまた最高の演奏。
冒頭でハデなミスタッチをやらかしたが、そんなことは演奏の價値に關係ない。
そこに音樂があればいいのだ。
ミスタッチなんかあげつらつてゐたら、リヒテルのライブなんて聽けないぞ!(もう死んでるから聽けないけど)
ディオニソス・ポリーニの面目躍如たる演奏。
歌ひまくり(比喩でなく)、腰を持上げてから勢ひをつけて叩きつける左手。
バランスなんぞ、犬に喰はせろ!
そして第2樂章。
ああ、天國のトリル。
トリルの美しさは、おそらく古今東西、ポリーニの右に出るものはゐないだらう。
この曲のこの長大なトリルを、粒を揃へてリズムを亂さずに彈き續けられるピアニストは稀だ。
リヒテルでさへこの曲のトリルは粒が揃つてゐない。
それを實演でここまで見事に彈いてみせるのだから・・・
最後の音がホールの空氣に溶けて消えていつた時、私の目には涙が滲んでゐた。

素晴らしい演奏だった。
きつと客席は總立ちでブラヴォーが飛び交ふに違ひない。
さう思つて私は遠慮した。
だつて2曲續けてブラヴォーなんて叫んだら、單なる「ブラヴォーおぢさん」だと思はれてしまふぢやないか。
それなのに、あれ?誰も立ち上がらないし、ブラヴォーの聲もかからない。
そんなバカな!
こんな素晴らしい演奏だつたといふのに・・・
そのくせ、カーテンコールを續けるうちにだんだん立ち上がるやうになつて、やうやくブラヴォーの聲がかかるのだから、わけわからん。
東京の聽衆はみんなシャイなのかな? 
關西在住30年にして、どうやら私は少し關西に染つたのかもしれない。 
 
 


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