仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

連續テレビ小説「おひさま」最終囘

2011-10-01 09:52:14 | ドラマ、映画
NHKの朝の連續テレビ小説「おひさま」が終はつた。

私が連續テレビ小説を觀たのはじつに久しぶりだ。
いま調べてみたら、前に觀てゐたのは平成13年度(2001年度)前期の「ちゅらさん」から平成15年度(2003年度)後期の「てるてる家族」まで。
ちゃうど私がS社からA社に轉職した時のことで、A社はフレックスタイムだつたので朝ゆつくりと家を出られるやうになつたからだつた。
それでも、最初から最後まで觀たのは少ない。
平成13年度後期の「ほんまもん」だけのやうな氣がする。
といふことは、10年ぶりといふことになる。

では、何故「おひさま」を最初から最後まで觀たのだらうか。
一言で云へば面白いからなのだが、その「面白い」にはいくつかの要素がある。

まづ第一に時代設定。
主人公一家は1932年(昭和7年)に安曇野に引つ越して來た。
これは1931年(昭和6年)の滿洲事變の翌年であり、1937年(昭和12年)の蘆溝橋事件に先立つこと5年、戰爭の足音がひたひたと聞えてくる時である。
それから大東亞戰爭を經て、最終囘は戰後の1952年(昭和27年)4月、日向子が小學校に入學する日だつた。
私は大東亞戰爭前後の日本の歴史に多少の興味を持つてゐる。
なので、このドラマが戰前、戰中、戰後の庶民の暮しを一氣通貫で描き出すといふことで、大きな期待をもつて觀た。
その期待は、十分にかなへられた。
戰爭による被害、特に松本の空襲や1945年3月10日の 東京大空襲 を庶民はどのやうに受け止めたのかが、十分ではないながらも少しは理解できた氣がする。
近現代においては、原則として戰爭は軍隊がするものであつて、この戰爭でのやうに一般民衆が多數被害を受けることは稀有なこと。
灣岸戰爭などでは、一般人が數名死んだだけでもアメリカは非難されたものだ。
それが、東京大空襲での死者數は確定したデータで8万3793人、行方不明者を含めれば10万人を超える。
一夜にして10万人を超える一般民衆が殺されたのである。
まさに、 史上最大の大虐殺 と云つても過言ではないだらう。
つい熱くなつてしまつた。
そんな大空襲を育子が生き延びてくれたのは、嬉しい限りであつた。

次に、登場人物のキャラクターと演じた役者。
ひとりひとり擧げてゐてはきりがないので、私の特に好きな人物だけに言及する。
・須藤紘子(原田知世):原田知世が好きなもので、もう無條件に良かつた!
・須藤良一(寺脇康文):「相棒」での龜山薫のイメージが強過ぎて大丈夫かと心配したが、いいお父さんを演じてゐたと思ふ。
・桐野富士子(渡辺美佐子):戰前、日本には、 華族 がゐた。いまの私たちにはイメージしづらいが、さう云つた「貴顯」を少しだけ垣間見せてくれたやうに思ふ。
・丸山道夫(串田和美):ほんのり温かい人柄。私はこの人が好きだつた。演じた串田和美さんの演技が良かつた。
知らなかつたのだが、 串田孫一 の息子さんなのだとか。「山のパンセ」「忘れえぬ山」など串田孫一の本にはお世話になつた。
・筒井育子(満島ひかり):陽子の女學校時代からの親友で「白紙同盟」の盟友。新しい時代の女性像を體現してゐる。
じつは満島ひかりといふ役者さん、私のS社時代の部下によく似てゐて吃驚した。
いまの育子を誰が演じるのかと思つてゐたら、最終囘で黒柳徹子が登場。見事にイメージ通り。
・高橋夏子(伊藤歩):陽子の先生。いつまでも若いのがどうかと思ふが、でも伊藤歩さんが好きになつたので許す。
・飯田小太郎(近藤芳正):渾名はオクトパス。女學校の英語の教師として嚴しい顏を見せるが本當はどうもあやしい。「教師」の素顏を隱してゐるやうに思はせる近藤芳正の演技がよい。
ああ、もうダメ。
やつぱり、きりがない。
みんな魅力のある人物ばかりだつた。

最後に、安曇野といふロケーション。
背景に登場する梓川の流れや北アルプスの山々。
なかでも、これぞ山!といふフォルムの常念岳がたびたび背後に見えてゐて、山戀の情にかられた。
マイナーなところでは、富士山のやうなカタチをした有明富士。
陽子の通つた「有明山國民學校」の場面などで何度か背景に登場してゐた。
もしかしたら、あ、富士山みたい、と氣づいた人もゐるかもしれない。

10年ぶりに魅せられた連續テレビ小説、「おひさま」。
けふ最終囘を迎へて、來週からは新しいドラマが始まる。
なんといふ名前かすら覺えてゐないほど期待してゐないのだが、一應少しは觀てみようかな。






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