仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

『梅原猛の授業 仏教 』 梅原 猛

2008-12-20 22:18:58 | 讀書録(一般)
『梅原猛の授業 仏教 』 梅原 猛


お薦め度 : ☆☆☆☆
2008年12月20日讀了


梅原猛の授業 仏教 (朝日文庫)
梅原 猛
朝日新聞社

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讀み始めたのは1ヶ月以上前だつたが、けふやうやく讀み了へた。
決して本書がつまらないからではない。
ひとへに私の頭腦の調子によるものだ。
けふはあひにく風邪で一日中ベッドにゐたので、うつらうつらとしながらも、讀み了へることができた。

最近の日本人の公徳心の無さは何に由來するのだらう。
電車の中などの公共の場での、周圍への迷惑をかへりみない振る舞ひには目にあまるものがある。
それは子供や若い人たちに限つたことではない。
4、50代と思しき「大人」でも、男女問はず、ひどいものがある。

それは何故かと考へると、「道徳心」の缺如があるやうだ。
道徳の根柢には宗教がある、と梅原氏は云ふ。
そして、公立の學校では宗教について教へることがタブーになつてゐる。
そこで、梅原氏は、京都の私立洛南高校附屬中學で「佛教」の授業を行なつた。
本書はその授業の内容を出版したもので、梅原氏の語つた言葉を活字にしたものである。

洛南高校は、前身が弘法大師空海のおこした綜藝種智院で、東寺の隣にある。
かういふ學校だからか、生徒たちのディベートの場面は思ひの外素晴らしい。
中には中學生とは思へぬほどに、理路整然と自分の考へを開陳してゐるものもゐて、吃驚した。
私の中學生時代とはエライ違ひだ。

それはともかくとして、この本は、佛教についてあまり知識のない私にとつて、日本の佛教の歴史を知る上で、たいへんに有意義な本であつた。
また、世界の宗教のなかでの佛教の位置付けもわかりやすかつた。
中學生向けの授業だつた筈だが、私にはちやうど良い。
梅原氏の語り口のお蔭かもしれない。

あとがきで、この授業が梅原氏にとつて20年ぶりのまとまつた授業だと書かれてゐた。
この授業が行なはれたのが2001年なので、その20年前といへば1981年。
なんと、私が大學で梅原先生の講義を受けた年だ。
私たちへの講義が、いはば大學での最後の講義だつたのか・・・
「祟り神の諸相」といふタイトルのレポートを提出して「優」を頂いたのを、昨日のことのやうに思ひだした。
私の數少ない「優」のひとつは梅原先生の優しさのお蔭であつた。

この本の次は、親鸞について梅原氏が著はした本を讀まう。



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