goo blog サービス終了のお知らせ 

仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

穗高くんの災難

2010-05-29 20:53:43 | 或る日の柴犬・穗高
 
 
 
心地よさげに、いつもの場所でひるねをしてゐる穗高くん。
この30分後に彼の身に降り掛かることになる災難については知る由もない。


今年に入つた頃からか、穗高はやたらとからだを掻くやうになつた。
獸醫曰く、何かのアレルギーだらうと。
塗り藥は舐めるとからだに惡いので、なるべく使はないはうが良いらしい。
暖かくなつたら洗つてやらう、さう思つてゐたのだが、けふそれを決行することにした。


穗高は、洗つてやらうとすると、かなり激しく抵抗する。
なので、逃げ場のない浴室で洗ふことにしてゐる。

濡れても良いやうに、ズボンを脱いで、山の雨具に身をつつむ。
靴下を脱ぎ軍手をはめる。
準備完了。

穗高に聲をかけるも、彼は不穩な空氣を察知してか、寄つてこない。
チーズで釣つて脱衣所までおびき寄せるが、頑として浴室には入らうとしない。
やむなく、友好的な作り笑ひと猫なで聲といふ假面をかなぐり捨てて、強硬策。
抱き上げて浴室に放り込み、即座にサッシを占めて監禁する。
穗高は後ろ足で立つて、前足でサッシをガリガリと引つ掛くが、そんなことでサッシがどうなるわけでもない。
そぞろ憐れをもよほすが、ここで負けてはならじと心を鬼にする。

シャワーでお湯をかけながら、シャンプーを軍手にとり、その軍手で洗つてゆく。
逃げようとする穗高を押さへ附けながら。
大人しくなつたと思つて油斷すると、からだをブルブルと震はせて水氣を飛ばす。
雨具を着てゐなかつたら、ずぶ濡れになつてゐたところだ。
全身を洗ひ、お湯でシャンプーをすすぎ、タオルでからだを拭く。
浴室のサッシを開けるやいなや、穗高は脱兎のごとく逃出して行つた。


かやうに穗高を洗ふのはたいへんなのである。
こちらもそれ相應の覺悟が必要になるため、なかなかその氣になれない。
けふは、やつと穗高を洗ふことが出來て、まるで一仕事終へたやうな達成感を味はつた。
さう、喩へるなら、部屋の大掃除をした時の感覺に似てゐるかもしれない。
もつとも、もう30年以上した記憶はないが・・・

私にとつて充實感を得られる出來事ではあつても、穗高にとつては災難以外のなにものでもないだらう。
でもね、穗高くん。
君が憎くてしたのではないといふことだけは、わかつてくれたまへよ。





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【2010 交流戰】 ○ 阪神4-... | トップ | 2010.05.23 ~ 2010.05.29 の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿