仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

山行17:南アルプス・野呂川右俣~間ノ岳~鹽見岳_1 (1977年7月)

2004-04-09 01:20:49 | 想ひ出の山
場所 :南アルプス
時期 :1977年7月
ワンポイント :千葉高山岳部 昭和52年度夏山合宿
コース :
廣河原 (1520mH) 野呂川林道 兩俣小屋 (2010mH) (テント泊)~ 野呂川右俣 三峰カール 間ノ岳 (3189mH) 農鳥小屋 (テント泊)~ 農鳥岳 (3026mH) 廣河内岳 (2895mH) 池ノ澤池 池ノ澤小屋 (1950mH) (テント泊)~ 雪投澤 雪投澤源頭 (2550mH) (テント泊)~ 鹽見岳 (3047mH) 三伏峠 (2570mH) 鹽川小屋 (1328mH) (テント泊)

<メンバー(假名)>
顧問:櫻井先生
OB:泉谷さん(S50卒)、岡部さん(S51卒)
3年:寺本さん(CL)
2年:市原(渉外)、日下(氣象)、方波見(裝備)、私(SL・食糧)
1年:大草、鵜澤


昨年の北アルプス黒部東澤遡行に引續き、今年の夏山合宿もアルプスの澤登りに決定。
高校生を中心とした10名程の人數が、25キロ相當の荷物を擔いで登ると云ふ、
そんな條件を滿してくれる澤を見つけるのは、なかなか大變である。

他に、北アルプスの藥師岳に突き上げる岩井谷や、
南アルプスの間ノ岳に南側から突き上げる大井川東俣なども檢討したが、
安全性やアプローチ日數などを綜合的に判斷して、今囘の野呂川右俣に決定した。

古い「山と溪谷」「岳人」のバックナンバーを調べて、野呂川右俣に關する情報收集をしたが、
大きな瀧も無く、手ごはいゴルジュ帶もないことが確認できた。
ただ、アプローチが野呂川沿ひの林道歩きで、
南アルプススーパー林道の工事の進捗如何によつては、
昨年同樣殆ど丸一日林道を歩くことになるのがタマにキズである。

<1日目>

廣河原は北岳に登らうとする登山者で賑やかだつた。
朝食をとつてから、例の如く、「縣民踊り」をする。
昨年は黒部ダムの上で觀光客だらけだつたから、今年はまだ恥づかしさもそこそこ。
廣河原小屋の前で、北岳に向かふ登山者と別れて、吊り橋を對岸に渡り返す。
いよいよ根性の林道歩きのスタートだ。
幸ひなことに天氣は快晴。
林道上に我々以外の人影はまつたくない。
この林道は、北岳から小太郎山に續く稜線を大きく廻り込んで、北岳の西側まで續いてゐる。
つまり、我々は北岳の東側から北側を通つて、
反對の西側まで延々20數キロも歩かなくてはならない譯である。

朝は涼しかつたので、快晴が良い天氣だと思はれたのだが、
道のりの半ば邊りまでくると、照りつける日射しにうんざりとしてくる。
全員が麥藁帽子をかぶつて、日射し對策は萬全だつた筈なのだが、
それでもつらい。
同期の日下は昨年の反省から、登山靴を買ひ直して、
私や市原と同じハンスワグナーを履いて來てゐる。
どうやら今年は大丈夫なやうだ。

北澤峠からの林道が合流するあたりから1年の鵜澤が疲れ出して來た。
まだ林道は10キロ程は殘つてゐる。
小仙丈澤出合を過ぎ、大仙丈澤出合あたりで、もう一人の1年大草も疲れて來た。
すでに鵜澤はバテて來てゐる。
殘す林道はあと5~6キロ、
林道の終點から本日のテントサイトである兩俣小屋まではせいぜい1キロ餘りだ。

「ガンバ!、お前ら歩き續けなきや、何時までたつても兩俣小屋に着かねえぞ!」
OBからも叱咤激勵の聲がかかる。

兩俣小屋に着いた時には1年は使ひ物にならず、丸太のやうにころがつてゐた。






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